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pulse 2019 report(CS HACK#31)の即日イベントレポート!

夢のサンフランシスコ、pulse2019に行きたかったのですが、大人の事情で叶わなかったので、CSHACK主催のpulse2019の報告会に参加してきました!濃密な1時間のセッションを即日レポートします。

LT1. 株式会社ABEJA 丸田氏のレポート「プロダクト体験を磨き込め・CSはプロフィットセンター化せよ」

1人目は株式会社ABEJA Insight for Retail事業部 カスタマーサクセス責任者 兼 SIX総責任者 の丸田 絃心さんです。generalセッションの内容をまとめてくださっています。

カスタマーサクセスは今後どう変わっていくべきか

カスタマーサクセスは最初、とにかくチャーンを減らすことを目的に立ち上がった。解約防止のためになんでもやるというスタンスだ。そこから、お客さんの自走が大切という論調になってきたのが去年までの変化。そして今後は、「プロダクト重視・顧客重視」へとシフトしていくべき、とpulseでは語られていた。

その上で重要な5つが、

1. プロダクト磨き込み
2. カスタマーサクセス からカスタマーグロースへ
3. 顧客中心
4. オペレーション化された成果創出
5. データインフラ整備

である。

3は米国のCSがデータ偏重になっている背景を踏まえてのメッセージだ。顧客がデータ化されすぎていて全く見えていない状況らしい。これは日本においては真逆だろう。データは未整備でハイタッチ中心。米国はそこが一周してしまっているようだ。

CSの役割をプロダクト体験の磨き込みによって実現せよ

1や4は面白い。これまでCSはプロダクトが埋められていない部分を補う形で発展してきているが、今後はプロダクトの中に組み込んでいくべきだと主張されている。

顧客を成功させるのはあくまでプロダクトの役割。プロダクトの進化に伴い、CSがさらにハイレベルな成功を狙っていく、というループが回ることでプロダクトもCSも相互に成長していくのが理想的な姿だ。

CSは収益ドライバーになれ

コストセンターとして捉えられがちなカスタマーサクセス だが、顧客中心とデータ活用の2本柱によって事業の継続的な売上成長を推し進める存在になるべきと説かれている。

なぜか。1つはサブスクリプション型モデルが広がったことによるCSの重要性の高まり。2つ目はディスラプティブなテクノロジーが次々に生まれている環境要因。ユーザはそれらを使いこなすのは容易ではなく、CSの役割がますます求められている。そして3つ目が指数関数的な売上増を実現できる可能性をCSが秘めていることだ。

上記を踏まえ、SaaS経営者はCSにより一層投資をする必要がある。

LT2 Repro株式会社 山中氏のレポート「カスタマージャーニーではなくアダプションジャーニー・ヘルススコアは3つで十分」

2人目はRepro株式会社 Repro App Division General Manager の山中 啓奨さん。カスタマーグロースのセッションの内容をレポートしてくださりました!

データ活用×チーム横断=カスタマーグロース

米国ではとにかくデータ・ドリブンが進んでおり、そのセッションの内容は、幼稚園児が大学の講義を聞くくらいの圧倒的な差があった。どのセッションもありがちな失敗→ベストプラクティス、という構成だったのでその中からいくつかを紹介します。

面白かったのは、3 common data mistakesというもの。

ずーっとデータコンサルみたいなのをやり続けていた人が話していたスライド。よくある勘違いの3つが、

1. 完璧なデータを揃える必要がある
2. データサイエンティストが必要である
3. データはたくさんあったほうがいい

というもの。データと売上の関係性を色々と調べていくと統計的なアプローチはほとんど意味はなく、顧客理解から立ち上げたスコアの方が遥かに有益だったとのこと。

Customer JourneyではなくAdoption Journey

Linkedinはとある時期にチャーンが止まらなくて、様々なチームがありとあらゆる対策を個別に実施したそうだが、結果的にチャーンは止まらなかったそうだ。その時Linkedinは全ての施策を停止し、顧客を理解することに振り切った。

その時作成したのが部署横断でのジャーニーである。それも各種機能をどれくらい活用しているかを測る、AdoptionJourneyを活用したとのこと。活用の幅や深さがどの程度になっているかを日々トラッキングすることで、適切な連携ができるとのことだ。

また、カスタマーサクセス は更新率をKPIにすべきではないとのことだった。それにより、 CSと顧客が商業的な関係になることはデメリットが大きい。代わりにやるべきはCSと営業/マーケの連携強化だ。ほとんどの企業が、SaaSにおいても新規営業を重視してしまうが、そうではなく、既存顧客のアップセルパイプラインを持って管理するのがポイントである。

ヘルススコアは2〜3個でいい

企業によっては最大37個くらいのヘルススコアを運用しているような場合もあるが、サンフランシスコ大学の研究ではヘルススコアは2〜3個でも十分にワークすることがわかってきているらしい。

大切なのはスモールスタートすること、そして改善を柔軟に回していくことだ。スコアは増やそうと思えばいくらでも増やせるがゆえに、シンプルさを大切にした方が良い。

そして、スコアに基づいた施策を実施+結果を振り返るプロセスにエンジニアも噛み込み、高速でループを回すことで、実効的なヘルススコアの運用が可能になる。

LT3 ODKソリューションズ 河合氏のレポート「CJに沿ってCSは分業化すべき・米国ではあらゆるCS施策がパッケージ化されている」

株式会社ODKソリューションズ 事業開発部pottosプロダクトマネージャー 河合勇治さんです。CS SaaSのベンダーとしての立場からCSMの仕事のあり方や日米でのCSパッケージの進化の差を語ってくださいました。

カスタマーサクセスはジェネラリストorスペシャリスト?

カスタマーサクセスは立ち上げ時には、CSに関わる全てを自分で広範囲に担当してしまう傾向にある。が、これは導入者数が増えてくるとCS担当者にとってのストレスが増加する原因であり、結果的にカスタマーにとってのハピネスも減少してしまうことを意味している。

それを放置するとカスタマーサクセスの採用が難しくなり、育成も難しくなり、育成の結果を判断することも難しくなって三重苦になってしまう。

それを避けるために、カスタマーサクセス は長期的にカスタマージャーニーに沿って分業化すべきであるとのことだ。

米国で圧倒的に進む、先人の知恵を詰め込んだカスタマーサクセス パッケージ

日本のカスタマーサクセスはそんなに悲観するほど遅れていない。しかし日本と米国で徹底的に差があるのは、カスタマーサクセス施策のパッケージ化の浸透度だ。

米国ではありとあらゆるデータ活用が先進的であるがゆえに、カスタマーサクセスの施策のほとんどがパッケージ化されており最適化されている。それは言い換えれば属人的な取り組みから解放され、適切なtouch、CSの育成が可能になっていることを意味する。

もちろんデータ偏重によりすぎるのはいけない。がそれを差し引いても、例えば定義しづらいロータッチ施策などがパッケージ化されているのは大きなメリットだ。

LT4. パネルディスカッション

Q.pulse2019で一番心に残ったことは?

丸田さん:セッションじゃなく、全体を通じてテクノロジーのサービスかがすごく進んでいる。お客さん向け教育とかオンボーディング、コミュニティとか色々あるけど、今までトライアンドエラーしていたものが全てプロダクトになってメニュー化されている。それがすごい。

しかも新しいSaaSが流行っていくって感じではなく、圧倒的な猛者がいる。個別のアプリがYahooに乗れるかどうかみたいな感覚。Gainsightに乗るかどうか。Gainsaightに乗ってればプロダクトが乗っていく、みたいな状態になっている。

藤本さん:いわゆるPaaS、Platform as a Serviceのようなイメージですね。山中さんは?

山中さん:今のCSとしてデータ・ドリブンが課題でこれからそれに取り組むつもりだけど、そこに関するレベルの違いは痛感した。確かに自分たちのやっていることは合っているという手応えもあるけど、データ・ドリブンについては日米で隔世の感があります。

河合さん:Gainsightが日本に来たらどうすべきかというのは心に残りました。とにかく圧倒的で。彼らは150億調達してたりするし圧倒的な資金力がある。

Q. ヘルススコア2〜3個に絞るってどうなんだろう?

河合さん:定性的な情報から得られるスコアの方が結果的に実態をより反映しているというイメージはあります。

山中さん:アダプションレートの計測でどれくらい点数増やすかというのはありますよね。サービスの機能が多ければ変数が必要。うちはプッシュが基盤でそれを踏まえてあとはオプションどうするか。10個以上にはならないのかなと。5個とか。必要に応じてやっていく。

藤本さん:必要なアダプションは業種で分けている?それとも企業規模で分けている?

山中さん:会社規模、売り上げ、ビジネスモデルって話が確かあったと思います。Reproの場合はまだ分けられていないですがアプリのジャンルとかを分けていくべきかなと思っています。

丸田さん:ヘルススコアやアダプションは実は僕は懐疑派です。活用されればいいのではなく、結局売上をカスタマーサクセスが持つべきだと思っていて。営業の8倍持ってます。MRR成長率もになっている。

LTVを考える時にただ続けてもらうリテンションよりもエクスパンションが大切だと思っていて。そういう時にただ単に使ってもらっているだけではダメで、クライアントがマーケティングで売上げを上げるというのがないとだめ。僕たちはお客さんのKPIを見られるようになっているのでそっちを見ていますね。

Q. カスタマー育成にはどう取り組む?

丸田さん:SaaSで面白かったのはcertification。資格ですね。ABEJAでもABEJA検定1級、2級、3級っていうのをやっている。そうするとお客さんが資格を取っていこうとなる。それにコミュニティを絡めるといい。1級になれるという優位性がありそれがコミュニティで公開されるとすごい。3級だったら頑張ろうとか。1級だから下の人を育てたくなるっていうのがあるらしい。知識レベル別に分けると交流が始まるんですよね。

山中さん:うちの場合、宇宙船に乗ってマーケター、マーケ能力を高めていくという世界観でやっています。コミュニティリーダーをユーザから出して、バッジを作っていく。そういう取り組みでロイヤルを高めようとしている。

丸田さん:資格を作るときにCJと紐付けます?こうなって欲しいっていうのをレベル1、2とか。それをやれば資格のアップとCJが紐づいて本当に自動的にCJを進んでくれるのかなということも考えていて。

山中さん:そこまではやってないですね。お客さんによってCJが変わるとするとそこの資格も変わる。うちの場合CJを定義するのがこれからなので。それが見えてくると、今の質問にあったように進められるのかなっていうところがあります。

報告会を聞いた感想

真っ先に思ったのは、今まさに自分たちが悩んでいることは、海外でも悩まれていることなんだ、ということ。例えば個人的に今まさに悩んでいて、pulseでも取り上げられていたリンクしたのは以下。

CSが担う役割をプロダクト化していくべき
CSがLTV向上の中心的役割を果たすべき
Human Centeredが重要

最後のは一周まわってるかどうかという違いはありますが笑、結局考えるべきこととしての優先度は変わらないのかなと。

CS機能のプロダクト化は特定スポットで起こることというよりは、継続的にプロダクト改善をしていく上で重要なことかと思っています。CSはプロダクトにとっての先行開発プロトタイプ的要素もある。もちろんできることできないことはあって、特にプロダクトアウト的なプロトタイプはできないですが、逆にマーケットインで何が必要かを考え試作し、顧客の反応を見るのは実は一番プロトタイプを回しやすいところだなと。

そうやってCSとして洗練されたプログラムで顧客の反応が良いものや定着に寄与するものをプロダクトに組み込んでいくというループができると、プロダクトは相当強化されそうだなと思っています。


大いに参考になったのは以下の話。

Adoption Journeyで見るべし
Journeyは企業ジャンルごとに分ける
商業主義とCSは分けて、営業連携強化をすべし
CJに基づいた分業化をすべし(盲目的ジェネラリスト育成をしない)
CSのデータ活用体制にエンジニアを巻き込むべし

Adoptionの話はうっすらと考えていたものの、うまく言語化されたなと。機能活用の頻度だけでなく幅や深さを見ることで、データからでもお客様の活用状況を把握できるなと。それはお客様と関係性を築く上で大切なことだと感じています。

また連携強化、というところもちょっと迷っていたところに1つの方向性を与えてくれたなと思っています。CSがLTVを指標として持つことも十分考えられるし、実際ABEJAさんではそういう持ち方をしているという話もありましたが、結局、肩書きはどうあれ機能としては分けるべきなんだなということを確信できました。


最後にスコアについてはちょっと迷うところだなと思いました。スコアそののものの思想もあると思いますが、個人的には適切に細分化されていても良いのかなと。2-3個だとちょっと抽象度が高くなってしまい、人によっての判断基準がブレそうだなと。全てがデータで定義されるなら良いですが、そういう方向性でもないのかなあと。

ただ、柔軟に改善しスモールスタートすべきというのは全くその通りだなと思ったので、日々のスコア活動にも反映していきたいなと感じました。

長くなりましたが、イベントレポートとしては以上です。運営の皆様、登壇者の皆様、お疲れ様でした!

Twitterでも日々カスタマーサクセスのことなどを呟いていますので、ぜひフォローくださいませ。

最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。

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