舞台付箋 舞台『モノノ怪 ~化猫ayakashi~』
薬売り、顔が……顔が良い……!
■公演概要
原作:モノノ怪「怪~ayakashi~」化猫
舞台脚本:月森葵
原脚本:横手美智子
演出/映像:ヨリコ ジュン
公演期間
2023年2月4日(土)〜2月15日(水)
飛行船シアター
〒110-0015 東京都台東区東上野4-24-11
https://hikosen-theater.com/
・グッズ
劇場販売、オンライン通販あり
個人ブロマイド(全7種/1セット2枚入り)500円
ジオラマアクリルスタンド 3,500円
舞台パンフレット 2,500
ランダムブロマイド(全21種/1セット1枚)200円
https://officeendlessshop.stores.jp/
・チケット
S席(全席指定)※特典付き 13,000 円 (税込)
S席(全席指定)特典なし 11,000 円 (税込)
S席注釈付き(全席指定)※特典付き 13,000 円 (税込)
S席注釈付き(全席指定)特典なし 11,000 円 (税込)
A席(全席指定) 7,500 円 (税込)
立見席(全席指定) 6,500 円 (税込)
■出演
薬売り:荒木宏文
珠生:岡田夢以
坂井伊行:大平峻也
坂井伊行:大重わたる
加世:水原ゆき
坂井伊國:伊藤裕一
小田島:白又 敦
勝山:西 洋亮
笹岡:遠藤拓海
さと:伊藤わこ
坂井伊顕:高山猛久
坂井水江:新原ミナミ
弥平:中村哲人
坂井真央:波多野比奈
パフォーマー
川村理沙/肥田野好美/大橋美優/鈴木彩海(G-Rockets)
■作品概要
元はフジテレビ系列「ノイタミナ」枠で2006年1月12日から同年3月23日まで放送された日本のホラーアニメ作品『怪 〜ayakashi〜』(あやかし)を発端とするテレビアニメシリーズのうちの一つ。『怪』は『四谷怪談』『天守物語』『化猫』の三作品からなる全11話のアニメだった。その後前述『化猫』の登場人物を主人公とした『モノノ怪』として2007年7月より9月までの期間に放送されたアニメ作品。
■舞台付箋
個人的な前提をしよう。筆者はアニメ『モノノ怪』は未視聴であった。しかしその前身である『怪 〜ayakashi〜』の『化猫』だけは見たことがあった。音楽が初代プリキュアやアニメ『NARUTO』を担当した高梨康治氏が手掛けたアニメだったからだ。始まりはPS2ゲーム『GENJI』(2005年)、『GENJI-神威奏乱-』(2006年)という2つのクソゲーに筆者が嵌ったこt(中略)という訳で高梨康治氏の和風な音楽のアニメだと知っていたのであった。
ここが良かった舞台モノノ怪
・開演直後の弥平役中村哲人氏による「東西東西(とざいとーざい~)」から始まる前口上があり、これから始まる!感があってとても始まって良かった。
・薬売りの顔が良い。
化粧や衣装で隠れるかと思っていたその美貌は美しい人に施されても美しいことがよくわかった。歩き方、所作はやはり美しいと嬉しい。
・珠生役、岡田夢以さんかわゆ。
なんという可愛らしい声なのか……それをあんのクソ親父どもくっそものすごく胸糞悪ゥゥゥ
・ダンサー、パフォーマーがすごい。
とても凄い。所謂アンサンブルの立ち位置の彼女らは4人しかいないのに舞台上の演出含めて全て関わっていて、終盤の布ロープのアクションめっちゃワクワクしました。すごい。あれ何ていうんポールダンスみたいのを布でやるやつ……すごい。G-Rocketsね覚えた。
・劇場の残響が心地よい。
BGMを鳴らしている筈なんだが、劇場客席後方で三味線の生音を打ち鳴らしているのではと思うほどの音とその残響。
ということだったらしい。この舞台モノノ怪でどの程度その機構が使われていたのか、はたまた使われていなかったのかは不明だが、心地よい残響を感じ取ることができて、音好きにはホクホク。
・宣伝・物販デザイン大勝利
本舞台のブロマイドやパンフレット掲載のヴィジュアルを担当したのが刀ステシリーズ、舞台血界戦線シリーズ、薄ミュだとかペダステだとか昨今話題の2.5次元舞台のヴィジュアルでいいなと思ったら大体この方、Mujina:artの羽尾万里子氏でした。この方がグッズデザインに関わっていたら確定です、大勝利!!
会場ですぐにパンフを確認した筆者の友人は、パンフ内掲載の各登場人物のポージングについても、生者と死者であるその差異に気がついて沸き立っておりました。あっ、本当に違う!!こまけーでございます美しい。
ゴニョゴニョするよ舞台モノノ怪
・not for me演出
和紙の質感をテクスチャとして使用していたり、和風をベースにした独特な世界観を舞台で表現していたのは、映像演出であった。
しかしこの「270°のプロジェクションマッピング」とやらが座席の方向よりずっと上まで、天井近くまで使用できるものの、舞台の上で演者が動いていると天井を見るか、ステージを見るか、視界の二者択一が常に行われることになる。
・悪い意味で目が足りない270℃プロジェクションマッピング
OPらしき冒頭で、ステージに演者出る、なんか動いている、天井近くで役名、表示が切り替わって役者名が表示されている……とあっても、演者を見ていたら役名も役者の名前もわからないし、上を見て役名/役者名を見ていたら何やらしていた演者がステージから消えているのである。ステージ上を注視しなくとも楽しめる演奏コンサートなどならまだしも、ステージ上部の壁面及び天井近くまでのプロジェクションマッピングを演出として使用するには舞台作品とは相性が悪い。幾らその映像演出が音楽、SEと相まって格好良く作られていたとしても、演者を見落とすのは害悪とも言える。ということでこういう演出は苦手だ。
途中の中弛みがなんだかなーという気がしたものの、終盤に掛けての、薬売りが退魔の剣を鞘から抜くために必要な「形、真、理」を一つずつ見つけ、剣を抜くまでのスピード感はとても良い。
ハイパー薬売りは衣装替えができない関係で全て映像での演出になったのは仕方ないと飲み込める、飲み込めるが映像以外で何か、何とかならなかったんかいなとも(勝手に想像して)思えて少し残念な気もした。
飛行船シアターは2022年にリニューアルされた新しい劇場で、内部も新しく音響も不思議で新鮮な体験ができた。プリキュアステージも行われていたこともあり、映像演出をふんだんに使った特撮寄りの舞台作品と考えればそれはそれで楽しいとも言える。演出で好みではない部分があったものの、振り返れば楽しい舞台だったと思う。