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乾燥しすぎも困りもの -紙は生きています-

立春を迎えたとは言え、現在、冬真っただ中。
製本に携わる人間、特に書籍製本に携わっていますと、この冬場のカラカラな季節は何かとやっかいな問題が起きやすいく、困ってしまう時があります。
それには、乾燥(低湿度)とエアコンの暖房が関わってきます。

上製本では、ベタクルミをするため、どうしても表紙全体に水分が加わります。
それが、冬場の低湿度により急激に乾燥するため、紙の収縮の強いものですと、表紙に反りが発生してしまうことがあるのです。

もちろん、表紙自体を前もって強制クセ取り機で内側にアーチ状にしておいたり、製本後は1晩以上重しをのせて落ち着かせ、十分乾燥させてから仕上作業をするなどなど、様々な工夫はしています。

でも、オモテ紙と裏の見返しの紙の組み合わせによっては、その収縮率の違いによって、どうしても起きてしまうことがあるのです。

さらに、現場ではなんともなかったものが、納品した先で、エアコンの当たるところにポンと置かれて表紙がそっくり返ってしまい、何だこれ?、みたいなクレームもあります。

紙の収縮率は、それぞれの紙のスペックには載っていませんし、製紙メーカーさんに伺ってもわかりませんので、なかなか、これは難しい問題になってしまうのです。

逆に梅雨から夏の時は、湿度が高く、急激な乾燥・収縮が起きづらいせいか、あまりこのような問題は発生しません。
ですので、6月から9月にかけては製本屋さんにとってはそれほど嫌な季節ではないのです。
(但し、仕事の夏枯れがなければなぁ・・・・・・・)

そんな訳で、皆さん、冬場の本の保管は、きちんと立てかけておいてくださいね。
くれぐれも、エアコンの吹き出し口の真下にポンとそのまま置いておかないでくださいね。

一晩たったら、表紙が「くの字」に反っちゃった、なんてことが起きてしまうかも・・・・・・
(今回は、微妙な問題なので画像は上げられません。文章ばかりですがご勘弁を)
 (記事担当:社長)

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