ビジネスの成功はタイミングがすべて
1. はじめに:タイミングの重要性
私は、10年近いビジネスや投資の経験を通して、「タイミング」が商売において何よりも重要だと考えるようになりました。
例えば、2013年当時の中国輸入業界は噂こそ広がっていましたが、実際に参入していた人は非常に少なく、その結果、大変稼ぎやすい状況でした。
なぜなら、他の輸入ビジネスや国内転売に比べて、中国輸入は品質に対する懸念が大きく、多くの市場関係者が「様子見」をしていたからです。
また、この時期、他の業界もまだまだ稼げるチャンスが残っていました。
例えば、eBayから商品を仕入れ、ヤフオクで売るだけで月収400万円を稼ぐ人も存在し、100万円程度の利益を出す人は、セミナーに行けば多くいました。
一方で、輸出ビジネスも人気があり、ヨーロッパのアマゾンに楽天で買った商品を無在庫で登録するだけで大金を稼げる時代もあったのです。
そんな中、中国輸入にあえて参加する人はほとんどおらず、「中国」という言葉に対してネガティブな印象を持つ人も多く、
「怪しいビジネスだ」という雰囲気が広がっていました。
今では「誰でもできるビジネス」と揶揄されることもありますが、
私から見れば、2013年頃に中国輸入業界に飛び込んだプレイヤーたちは、誰もが嫌がる不確実なビジネスに挑戦した「勇者」だと思っています。
彼らがノウハウを改良し、共有してくれたからこそ、その後の成功が生まれました。
しかし、後から参入してきた人たちが「中国輸入は誰でもできるビジネスだろう」と軽視しているのを聞くと、今でも悔しさを感じます。
それは決して私だけではないでしょう。
2. ビットコインと中国輸入のタイミングの本質
2018年、私はビットコインの可能性を何度も他の経営者や知人に伝えましたが、周囲からは「出川組」と笑われ、非常に嫌な思いをしました。
その当時、コインチェックのCMで芸能人の出川哲郎が出演していたタイミングから、そう呼ばれるようになったのです。
今では、「その時にビットコインの話を聞いていたら、誰でも買うだろう」と考える人が多いかもしれません。
しかし、当時の私は「じゃあ、買ってみろよ!」と叫びたくなるほどの反応を受けていました。
思い返せば、2018年のビットコインも、2013年の中国輸入も、非常に似た状況でした。
その時期にビットコインを購入する勇気があった人も、初期に中国輸入業界に飛び込んだ人も、私は「勇者」だと思っています。
ただ、私がここで伝えたいのは、自分が勇者だったとか、先駆者だったということではありません。
この経験を通じて私が学んだのは、ビジネスや業界に参入する際には「タイミング」が最も重要だということです。
3. 今の中国輸入の難しさ
例えば、今から中国輸入ビジネスに参加しようとする人は、確かに先人たちが切り開いたノウハウが至るところにあります。
しかし、それを活かして月収300万円を稼ごうと思ったら、2013年当時に比べて5倍から10倍の努力やスキルが求められると感じています。
「やってやれないことはない」とは思いますが、それでも現在の中国輸入業界で大きな利益を上げるためには、当時以上の継続的な努力が必要です。
スキルだけでなく、資金の面でもそうです。
私は自己資金150万円と友人から借りた150万円を元手に、月収350万円を超えることができました。
それを達成したのは2014年の5月頃だったと記憶しています。
独立してたった7ヶ月目での達成でした。
しかし、今の環境で同じことができるかと言われれば、おそらく無理でしょう。
たしかに、当時は1日16時間も仕事に夢中になり、全力で取り組んでいましたが、今ならその努力量では月収50万円程度しか稼げなかったかもしれません
当時の中国輸入業界は未開の地であり、少しのアイデアでも爆発的に売れる時代でしたが、今はそうではありません。
4. セット売りのアイデアとその影響
ちなみに、今では当たり前になっている「セット売り」ですが、実はこれをアマゾンに最初に導入したのは私です。
セット売りとは、複数の商品を一緒にパッケージにして販売することです。
当時、アマゾンでセット商品といえば、ピンク色の「ウィッグ、ウィッグスタンド、ネット、クシ」の4点を、
一つにまとめた、セット商品しか存在していませんでした。
そのセラーは、タオバオでセットとして売られていたものをそのままアマゾンに出品していただけなので、自分でセット売りを考えたわけではありません。
パッケージを高級にする発想などは、まだ誰もやっていなかったのです。
そのとき、私は、貿易商人が主人公の大河ドラマ、『黄金の日々』の一場面からアイデアを得ました。
豊臣秀吉に瓦を売る際、呂宋助左衛門(るそん・すけざえもん)が石田三成の助言を受けて、瓦を絹の布で包み、木箱に入れて献上するシーンを見て、
「アマゾンでもこの方法が使える」と思ったのです。
それは、織田信長が天下統一の直前に、安土城(あづちじょう)を琵琶湖の横に建設している最中のお話です。
中国人が青い瓦(かわら)を大量に日本に持ってきて、売れ残って、困っているのを見かけた呂宋助左衛門(るそん・すけざえもん)が、
ちょうど、城を建設中だった、豊臣秀吉に買ってもらうとする話から、応用させてもらいました。
豊臣秀吉に、その青い瓦を大量に買ってもらおうと船に乗せ、琵琶湖の反対岸まで到着した助左衛門(すけざえもん)は、
門番をしていた石田三成に「そのように大量の瓦を秀吉公に見せたところでガラクタにしか見えぬぞ。」
そうではなく、綺麗な見本を一つだけ選び、絹の布で包み、木箱に入れて献上せよ。
さらに、中国人が持ってきただけと伝えるのではなく、人里離れた奇人の職人が作ったもので、城の屋根一つ分ほどしかなく、代わりはない。と伝えてみよ。」
「茶器や茶壺と同じように扱って献上せよ」とアドバイスするシーンがあったのです。
「我が国では、いまだ誰も使用していない珍しい瓦でございます」と、石田三成に教わった物語を秀吉に話す助左衛門(すけざえもん)、
「瓦を焼いた職人は、山の中に1人籠り、滅多に人に合わない、奇人でございます。」と秀吉に語る助左衛門。
そして、建設中の城の屋根に使おうと考えていた秀吉の前に、織田信長がやってきて、その青い瓦を見つけてしまいます。
「主人(あるじ)より良い瓦を使うとは何事じゃ!」と、秀吉は信長に怒られてしまい、信長に、あの青い瓦を取り上げられてしまったのです。
そして実際に、織田信長が、最後に作った安土城の最も上に位置する天守閣の屋根は、青い瓦が採用されていたそうです。
私はその話をずっと覚えていたので、はじめて中国輸入の商品を仕入れてみたときに、
家に到着した段ボールの中で散らばったガラクタのような中国商品を見て、すぐにドラマの話の内容を応用したというわけです。
話は長くなりましたが、
今では「簡易OEM」や「単純転売」と揶揄されることもありますが、当時、この発想は非常に革新的だったのです。
私はこのアイデアを当時のコンサルタントや懇親会で、大河ドラマの話を交えて、熱弁していたことを覚えています。
それが2014年の中盤の話です。
5. 中国輸入の裏話
過去のプレイヤーやコンサルタントたちは、「それは本当の話だ」と認めてくれるでしょう。
なぜなら、2014年当時、セミナーなどで出会う人々は、皆、誰が何を売っているのかを裏でしっかり把握していたからです。
業界は思っている以上に狭い世界でした。
余談になりますが、当時、ノウハウが出回っていたものの、それらは「相乗り出品」と呼ばれ、まだまだ発展の余地が残されていました。
多くの参加者は、ただ「儲かる」と聞いて参加してきただけで、自分で物事を考え、工夫することが苦手な人が大半でした。
結局、広まっていたノウハウをそのまま使うだけで、独自の工夫を加える人はほとんどいませんでした。
これは日本人の悪い癖かもしれません。指示されたことしかできない、言われた通りのことをただ繰り返す性質です。
厳密に言うと、独自のノウハウを加えることができたセラーからバンバン物が売れて行ったのです。
しかし、時代は進み、現在のOEM業界は「行き着くところまで行き着いた」感があります。
新しいノウハウはほとんどなく、すべてのノウハウが出尽くしているように見えます。
6. 競争が激しくなった理由
今や、業界に出回っているノウハウは誰もが知るところとなり、多くの人が同じテクニックを駆使して競争に臨んでいます。
例えば、2015年に「この商品をセット売りにしよう!」と考えるだけで、多くの商品で既存の1位を上回ることも可能でした。
しかし、その後さらに多くのプレイヤーが参入し、ページデザインを工夫するために大金をかけたり、広告に巨額を投じるようになりました。
結果、初期費用や広告費が高騰し、利益率はどんどん圧迫されていきました。
さらに、アマゾンの配送コストも段階的に値上げされました。
それ以前は、アマゾンの長期保管手数料も現在の水準とは比べ物にならないほど安かったのです。
ノウハウがこれだけ広まってしまった今、多くの人は「簡単にできそうだ」と思い込み、参入してきます。
しかし、現実はそう簡単ではありません。
大勢が同じノウハウを知っているため、その知識だけでは太刀打ちできない状況になっています。
もちろん、指示されたことを正確に実行するのが得意な人にとっては、このような環境の方が活躍できるかもしれません。
しかし、私は今の業界を「美味しい業界」だとは感じません。
かつてのように簡単に利益を上げられる時代は終わり、今はより厳しい努力とアイデアが求められる時代となっています。
そして、この現象は仮想通貨の市場にも通じるものがあります。
7. 仮想通貨市場との共通点
仮想通貨の質の高い有料グループに所属していると、定期的に新規参加者から「どうしてビットコインは価格を維持しているのに、アルトコインは下がっているんですか?」という質問が寄せられます。
主催者たちはこう答えます。
「極端な話ですが、2017年以前はアルトコインが10種類しかなかったと考えてください。ビットコイン以外で爆益を狙う参加者は、限られた選択肢の中でアルトコインに資金を入れていました。しかし今では、アルトコインが1000種類もあり、資金が分散してしまっているため、爆上げするコインが少なくなっているのです。」
この答えが示すのは、結局のところ「チャンスは初期に最も大きい」ということです。
中国輸入やビットコインも同じで、初期段階では「怪しい」「嘘くさい」といった印象を持たれることが多かったのです。
しかし、それこそが参入者が少なく成功のチャンスが大きかった理由です。
8. 先に成功した人との違い
しかし、しばらくして成功が広まると、こう言われるようになります。
「あの時期に参入できてラッキーだったね」とか、「お前は運が良かっただけだ」と。
そして、最後には「こんな誰でもできる業界で偉そうにするな!」と批判されることもあります。
こうやって後発の参加者たちは、その業界がまるで最初から確立されていたかのように思い込み、先行者たちを軽視しがちです。
確かに、先に参入した人たちは時代の恩恵を受けたのかもしれません。
しかし、当時その場に戻れば、99%の人が「怪しい」「ダサい」「品質が悪い」「不良品が嫌だ」「中国は嫌いだからやりたくない」と言って、チャンスを逃していたことでしょう。
それと同じことが今のコンサル活動やビジネスの世界でも起こっています。
9. タイミングがすべてのビジネス
正直なところ、2024年の今、当時と同じことをしても、あの時のような大きな成功はおそらく得られないでしょう。
コンサルティングビジネスにおける顧客からの申し込みの数においても、また、顧客の実績の面においても、
あれほどの成果をほぼ全員に出させるのは難しいと感じています。
これも、タイミングが命であることを示す一例です。
私が活躍していた当時は、コンサルやスクールの数も今よりも圧倒的に少なく、ましてや、業界のトレンドの中心であったアマゾンやOEMを使わずに、
Yahooショッピングと楽天で、既存のOEMプレイヤーを出し抜くノウハウを提供していたのは、間違いなく、私一人だけでした。
一部からは「大したことのない手法だ」と揶揄されることもありましたが、
もしそう思うなら、まさに、それこそが「タイミングさえ良ければ、どんな手法でも上手くいく」ことを証明しているに過ぎないのです。
また、余剰資金を投資に回すことができたのも、非常に良いタイミングだったと思います。
今からビットコインに投資しても、あの時と同じパフォーマンスを出すのは非常に難しいでしょう。
すべてが「良いタイミング」によって動いていたからこそ、なんとか生き残り、次のチャンスを探す時間を作り出すことができたのです。
今の輸入業界では、成功者と同じことを真似すれば成功するという考え方が蔓延していますが、
私は「今やっても遅いんじゃないか?」と思うことがよくあります。
10. 成功者を真似しても成功できない理由
「TTP(徹底的にパクる)」という言葉がよく使われますが、それが必ずしも成功を約束するわけではありません。
もちろん、成功者のやり方を真似することが間違っているとは言いませんが、私はそのまま模倣するのではなく、自分自身で考えた方が良いと感じることが多いです。
その成功者が成功したのは、業界の初期においてベストなタイミングで資金やアイデアを投入できたからかもしれません。
4年もタイミングがずれてしまえば、同じ方法を模倣しても同じ結果は得られません。4年どころか、2年でも危ういかもしれません。
だからこそ、時代や市場に合わせて、自分なりの方法を見つけ、適応することが重要だと、私は考えているのです。
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