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【合格体験記】実務経験0から始めるプロジェクトマネージャ試験攻略法
2024年10月13日に行われたプロジェクトマネージャ試験(PM試験)に独学で一発合格することができました。
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自身は表題の通りエンジニア・PMの実務経験ゼロの文系営業人間ですが、それでも合格することができたので、そういう方向けの学習方法の参考、及び試験勉強のモチベーションの種になれば嬉しいです。
●はじめに : 試験概要
はじめに、プロジェクトマネージャ(PM)試験について。
本試験は、「独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)」が行う国家試験です。
本試験の対象者像としては、IPA公式では下記のように紹介されています。
高度IT人材として確立した専門分野をもち、組織の戦略の実現に寄与することを目的とするシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトの目的の実現に向けて責任をもってプロジェクトマネジメント業務を単独で又はチームの一員として担う者
位置付けとしては、ITエンジニアとしての基礎的知識・技能を問う「基本情報処理技術者試験」や、その応用版である「応用情報処理技術者試験」の上位資格として認定されている高度試験です。
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●自分のステータス
職歴 : 新卒3年目 / IT系の法人営業 (文系出身)
→ 基幹システムやSFAに組み込んで業務支援を行うようなサービスを提供する企業の法人営業をやってます。業務上、先方のシステムと絡めて提案を行うことはそこそこあります。
→ PM自体の業務経験はないですが、この領域で営業やってたのは後々の論述対策にも結構活きたな、と思うポイントになります。資格取得歴 : ITパスポート(2022年), Salesforce認定アソシエイト(2024年)
→ ITパスポートは入社時に取得必須だったため。Salesforce認定は業務上Salesforceをよく扱うため取得しました。
→ PM試験へのステップである基本情報や応用情報は受験経験ナシ。もちろん他の高度試験区分もナシ。(ex. ITストラテジスト / ITサービスマネージャ etc.)勉強期間 : 半年間 (2024年4月~10月)
勉強時間 : 約60 ~ 70時間
→ 4~7月は結構ダラダラやってましたが、8月からは毎日30分以上は試験勉強に充てられるようにしました。
●受験のきっかけ
受験のきっかけは非常にシンプルで、今勤めている会社の上長から「向いてそうだから取ってみたら?」と言われたことです。
その時がちょうど、新規でガツガツやる営業スタイルが自分には合わず悩んでいたタイミングでした。
「営業でPM?」と最初は思いました。
ただこれは着手し始めて分かったことですが、PMには総じて「プロジェクト要件を満たすこと」が求められます。これを達成するために、「顧客が抱えているプロジェクト要件はなんなのか?」「この成果物でプロジェクト要件は満たせるのか?」といったことを色んな軸で考えます。
これを実現するのに必要になってくるのが、「顧客との認識齟齬をなるべく減らすこと」です。
PJに関わる納期面・予算面・成果物の性能面といった顧客との認識のズレを無くしていくことが、プロジェクトの目的を実現することに繋がっていきます。
こうしたスキルは、普段自分が行なっている法人営業でも同様に求められると感じました。
抽象的ですが、(顧客と仲良し関係とかではない限り)「顧客が抱えているニーズ」と「自社で提供できる効果」が噛み合っていないと、普通はサービス受託には至りません。
ここで関わってくる「要件整理」と「整理の結果得られた要件をどう満たすか」という観点にリソースを使うという点では、営業もPMも変わらないと思います。
この共通点を軸に、「自分が今やっている法人営業のスキルアップの延長線上で、PMもトライしてみよう」と捉え、勉強を開始しました。
●試験対策方法(全般)
この後個別で対策法について述べます。
が、その前に、全般的な学習スタイルについて以下に記載します。
新しくモノを学習する際の学習スタイル
こうした試験勉強などの際、自分が大事にしているのが「学習記録」と「アクティブリコール」と「分散学習」です。
「学習記録」は、主にモチベ管理と後述のアクティブリコールに効いてくる要素です。
記録する内容は主に、学習時間・学習教材・学習内容です。
学習時間を記録することで、
「1週間前と比較して学習時間を増やせたか、逆に減ってしまったか、増減した要因は何か、、、」
といった分析ができるようになります。
また、「今日は○時間勉強するぞ!」といったゴール管理にも使えるようになります。これができると勉強の習慣化にも貢献します。
ダイエットの際の体重記録や、節約のための家計簿チェックと同じように、知識定着化のための学習時間の記録はやはり大事だと思います。
「アクティブリコール」と「分散学習」はどちらも記憶定着のための技法です。
「アクティブリコール」は、直訳すると「能動的に記憶を呼び起こす」的な意味で、一度インプットした記憶から、テキストなどを見ないで単語の意味などを思い出す・白紙に書き出すようなアウトプット手法です。
また「分散学習」は、一日に長時間ではなく、複数の日に細かく時間分けして勉強することを指します。
ここでは詳述しませんが、どちらも脳科学的に記憶定着につながりやすい学習方法と言われている技法です。
(参考)
学習スタイルを具現化する学習支援ツール
上記の学習スタイルを実践する際に私が活用しているツールを以下に紹介します。
○Studyplus (学習記録SNS / 無料)
「Studyplus」は、スタディプラス株式会社が提供する、学習内容を記録・可視化し、学習者同士でシェアできる学習管理SNSアプリです。
下記のようなイメージで、各教材ごとに学習記録(どのぐらい勉強をしたのか)を残すことができます。
この記録自体が、先述したようなモチベ管理に活用できます。
加えて、学習メモを残すことで学習効果が倍増します。
例えば以下のように特定教材を1.5時間かけて勉強した際、自分はその中での重要な語句や考え方を抜き出し学習メモとして残します。
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この記録をスキマ時間で参照し、学習メモに残した単語の意味についてパッと自分の頭だけで思い出すアウトプットを行なっていました。
(前述したアクティブリコールの技法です)
これにより、特に午前試験に必須となる専門用語の暗記の効率を上げられたと感じております。
○Obsidian (ノートアプリ / 無料)
先ほどのStudyplusが学習支援用のSNSアプリなのに対し、こちらは完全なるノートアプリです。
概ね下記のような特徴を持つノートアプリです。
・マルチプラットフォーム対応:Windows、macOS、Android、iOS、iPadOSで利用可能
・ローカル保存:データをローカルに保存し、オフラインでも使用可能
・リンク機能:メモ同士を自由にリンクで繋げ、知識の関連性を視覚化
・タグ機能 : 書いたメモをタグで繋げ、メモの横串化
・カスタマイズ性:豊富なプラグインとテーマで自由にカスタマイズ可能
この内、「リンク機能」と「タグ機能」が重宝します。
まず「リンク機能」があることにより、一つの学習メモと関連がある学習メモを相互参照することができるようになります。
視覚化された例でいうと、下記右側のグラフのようなイメージです。
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左側 : メモ、右側 : 該当メモとのリンク図、最右側 : アウトライン
ずっと上記のリンク図を立ち上げているわけではありませんが、
こうしたリンク機能があることで、今取り掛かっている学習メモが「どの過去問とリンクしているのか?」「どの関連分野とリンクしているのか?」を容易に紐づけられます。
ちなみに、こうした「今学習した内容を過去に学習した内容とリンクさせようとすること」自体が、先述した「アクティブリコール」に繋がっています。また他との関連性があればあるほど想起する際のきっかけが増え、知識定着化が楽になります。
また「タグ機能」を用いることで、例えば要見直しが必要な項目や過去問を横串で管理し、見直しの比重を上げることができるようになります。
下記はタグ名「#PM要見直し」をつけた箇所を参照し、重点的に参照すべき過去問を管理している図です。
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これは先述の「分散学習」に効果的な機能です。
見直すべき項目があらかじめ管理されていることで、何度も参照することが容易になります。これにより、複数日に分けて同一の内容を効率的にインプットできます。
似たような機能があるノートアプリはたくさんあるので、もし取り入れてみたい方はぜひ色々試してみていただければと思います。
「Notion」「Scrapbox」「Roam Reserach」あたりが代替アプリになるかと思います。自分はローカルで動かせる利便性を買ってObsidian派です。
ゼロからObsidianを始める場合、こちらのブログ記事が非常に参考になります。
また、上記の学習スタイルとの対応関係は直接的にはありませんが、今回のPM試験で重宝した下記サービスも紹介します。
◯Perplexity (生成AI搭載サービス / 無料)
いわゆるChatGPTのような、生成AIを搭載した対話型の情報生成・検索サービスです。
ChatGPTとは異なり、入力した設問に対してブラウジング機能を用いてWEB上の情報を参照の上で回答してくれるのを重宝して使っていました。
このサービスが、後述の午前1および午後2対策に非常に役立ちました。
活用例については個別の試験区分対策の段で説明します。
公式サイト : Perplexity
●PM試験区分と対策の方針
ここまで学習スタイルと利用ツールについて共有しました。
ここから、具体的に各試験区分ごとの対策に移っていきます。
まず前提として、PM試験は下記の4区分に分かれています。
午前I試験
・試験時間: 50分
・出題形式: 多肢選択式(四肢択一)
・問題数: 30問
・内容 : 応用情報技術者試験の午前問題から選抜された基礎知識を問うもの
午前II試験
・試験時間: 40分
・出題形式: 多肢選択式(四肢択一)
・問題数: 25問
・内容 : プロジェクトマネジメント関連の問題が多数
午後I試験
・試験時間: 90分
・出題形式: 記述式
・問題数: 3問出題、2問解答
・内容 : プロジェクトの様々な具体場面を題材にした知識を問う内容
午後II試験
・試験時間: 120分
・出題形式: 論述式
・問題数: 2問出題、1問解答
・内容 : プロジェクトマネジメント全般について自身の考えに基づき論述
本格的な試験勉強に入る前に、上記区分のそれぞれの全容を抑えるべく、まず過去3年分の過去問にいったん目を通しました。
そこで間違いなく今回の受験のネックになりそうだと感じたのが「午前1」と「午後2」でした。
まず午前1については、ITエンジニア経験もない文系出身の自分にとって、回答はおろか問題の意味すら分からないものが半分以上を占めていました。しかも問題範囲もかなり広く、時間をかけて対策する必要があると考えました。
また午後2については、そもそものPMとしての実務経験がないため、設問の意味は分かっても回答できる内容が何一つ浮かばない状態でした。またどの参考書・対策ブログでも「午後2が鬼門」というのは共通していたため、これも重点的に行う必要があると考えました。
一方で午前2・午後1は、プロジェクトマネジメントの基礎知識と考え方、そして現代文の能力があれば、個人的に対策は容易だと感じました。またここで基礎を抑えられれば午後2にも効いてくると考えました。
ただこの基礎知識の部分がそもそも欠落している状態ではあるので、午前2の基礎知識はしっかり抑えつつ、午後1はなるべくリソースを抑えて他の試験区分の対策を厚めにできるように心がけました。
上記を全体方針とし、各個別対策に移りました。
●午前1対策 (勉強時間 : 約20 ~ 25時間)
◯基本方針 : テキストをもとに基礎知識をインプット → 過去問回答でアウトプットの繰り返し
◯利用教材 : 『2024 高度午前1・応用情報 午前試験対策書』, 「過去問道場」
午前1対策は、本当に地道にインプットとアウトプットの繰り返しを行いました。
基数変換やらCPUやらネットワーク層やら、最初は全くちんぷんかんぷんな内容でしたが、そういうものだと受け止めながら食らいつきました。
学習のお供には、アイテックが出している『2024 高度午前1・応用情報 午前試験対策書』を活用しました。
自分のように予備知識ゼロから始める人間でも理解できるぐらい、説明が充実しています。
そしてなによりありがたいのが、自分のように「応用情報処理の午前試験対策」ではなく「高度試験の午前1対策」用で学習したい方向けに、午前1対策で優先するべき過去問をピックアップして掲載してくれている事です。
これにより、少ない学習時間で効率的な午前1対策を行うことができました。
また先述した生成AI「Perplexity」も非常に役立ちました。
上記のテキストの中で、インプットするべき専門用語がどんどん出てきます。
それを参照しやすいように、Obsidianで学習メモをとります。
その際にPerplexityを使って、該当の専門用語に関する要約を出力させます。
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ここで回答結果を出力させる際に、「応用情報技術者試験に答えられるレベルで」というのがポイントです。
これを入れると、出力の際の関連リンクに、該当項目に関する過去問のリンク( = 過去問道場)を勝手に紐づけてくれます。
※Perplexity AIへの入力プロンプトと出力結果の例
(上記スクリーンショットの内容です)
https://www.perplexity.ai/search/tetazhong-xin-fen-xi-she-ji-ni-uK1FXDrJQziGi7y1DbAAow
もっと時間があったら手書きでノートを書いて、、でも良いと思いますが、なにせ対策時間が限られているので、「何度も繰り返し参照・テストすることで無理やり頭に定着化させる」ことを優先しました。
それを実現するため、下記のような形でインプットとアウトプットのサイクルを可能な限り早めていきました。
・記録・参照用のメモ : Perplexityで出力
・該当項目のさらなる理解 : テキスト参照
・該当項目の実践 : Perplexity経由で過去問セット + テキスト参照
なおPM試験の過去問参照の際はみなさん「過去問道場」を使っていると思いますが、午前1特化用の過去問道場はなく、現状は応用情報処理の対策用のものしかありません。
これを地道に解いても良いですが、そうするとかなり広い範囲をカバーしなければならず、復習の手間がかかります。
そのため、上記のように
「テキストを使って対策するべき項目をある程度限定」
→ 「特定項目に関する過去問をPerplexity経由で引用」
→ 「対策するべき過去問を何度も参照」
といった流れで、ある種逆引き的に行う方が効率が良いと感じました。
●午前2対策 (勉強時間 : 約10 ~ 15時間)
◯基本方針 : テキストをもとに基礎知識をインプット → 過去問回答でアウトプットの繰り返し
◯利用教材 : 『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2024年版』, 「過去問道場」
午前2対策も午前1対策の流れと基本的には同様です。
ただ午前1対策と異なる点は下記です。
・午前2対策専用の過去問道場がある
・午前2で得た基礎知識がその後の午後試験にも活用できる
そのため午前1対策とは異なり、午前2対策ではPerplexityをほとんど使いませんでした。
代わりに、以下を重視しました。
・テキスト熟読を通じて、午前2・午後1・午後2に通ずるPMの基礎知識を抑える
・抑えた基礎知識をもとに午前2対策用の過去問道場をひたすら行う
熟読したテキストは『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2024年版』の「第1章 基礎知識」の部分です。
この内容が頭に入っていれば午前2の過去問はある程度解けたので、スキマ時間等でひたすら過去問道場を行いました。
●午後1対策 (勉強時間 : 約5 ~10時間)
◯基本方針 : 午前2対策で得た知識とテキストでのノウハウをもとに過去問チャレンジ
◯利用教材 : ほぼ過去問
ここはそこまで時間をかけなかったのと、奇をてらった対策法も特にしていないのであまり書くことはないです。
午前2対策でも使った『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2024年版』に解法の基礎的な部分が解説されているので、それに素直に従い過去問を大体5年分ぐらい解きました。
テキストにも書かれていますが「長い設問文に書かれている状況設定を、いかに正確かつ短時間で把握できるか」というのが鍵だと思います。
PMに関する知識も無論問われますが、回答の内容自体は問題文に書かれているケースが多い試験区分なので、人によってはそこまで対策に時間をかけなくても良いパートだと思います。
●午後2対策 (勉強時間 : 約20 ~ 25時間)
◯基本方針 : 重点的に対策すべきテーマと過去問を設定 → 自身が論述するPJの概要を設定→過去問をもとに論述に使えるモジュールを作成→作成したモジュールをインプット
◯利用教材 : 『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2024年版』
鬼門の午後2。
とにもかくにもまずは過去問の傾向と対策法の概要を捉えるため『情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2024年版』の午後2対策パートを読み込みました。
そこである程度重要なテーマを絞り、本書の中で重要過去問とされていた設問約30個に対して8割程度書けるように準備をしました。
また、限られた時間で成果を最大化するために、論述の対象とするPJは1個に決め打ちしました。
自分はIT系の法人営業に携わっていますが、そこでの案件を種に(一部回答の際に都合が良いように架空の内容も混ぜて)PJ概要について練りました。
内容はぼかしますが、プロジェクトの概要は概ね下記の内容で策定しました。
///
・概要 : クライアントK社が利用するSFAの改修PJ
・プロジェクトの目的 : K社のSFA改修による社員の工数削減と売上拡大
・プロジェクトの目標 : 2023年12月までのカットオーバーの納期順守
・開発期間 : 2023年7月 ~ 12月
・開発工数 : 60人月
・予算 : 1,000万円
・社内組織体制 :
API開発チーム : 5名
導入管理チーム : 5名
UI/UXチーム : 5名
PM : 1名
・それ以外のステークホルダー :
K社 : B部長 人事部(要員育成に関心)
K社 : L取締役 営業本部長 (決裁権者)
K社 : 情報システム部門 (現SFAの管理担当)
K社 : 営業部門 (現SFAの実ユーザー担当)
///
PJ概要の策定に関して、いくつかポイントを連ねます。
○PJの目標は「納期」にしておく
PMとしてのPJの目標は、指定予算内で抑えることや○%以上の工数削減を実現すること等が他に想定できるかもしれませんが、納期遵守が1番書きやすく、達成未達成の基準も分かりやすいので未経験者はオススメです。
○PJの内容に「未検証の内容」を想定する
これまで実装したことのない未検証の内容を、PJの内容として盛り込めるよう準備すると良いです。
直近のトレンドとしてテキストにも記載がありましたが、DX実現という目的達成や不測の事態に対処するために、新技術を伴ったPJ実施が求められるケースが今後増える見込みのようです。(今年の午後2も一部これを想定した対策が活きました)
会社としてまだ検証したことがないモノを含めてどうリスク管理やスケジュール管理をするか、を準備しておくと、そうでないトピックが出ても応用が効きやすいです。
○PJ概要は常に更新する
過去問を解いて回答例を参照する際、この工夫はいいな!と思ったら箇所があったら、その工夫点が活かせるように自身のPJの構成要素も組み替えていくと良いです。
例えば過去問の一つに、「PJを進めていく上で、ステークホルダー間で相反する期待が生じた際にどうその期待を管理しつつPJ目的の達成に導くか」みたいな設問があります。
見た当時は、相反する期待なんて全く浮かびませんでした、テキストの過去問解答例に「ベテランメンバーも巻き込みつつ納期を必ず順守してほしいクライアントと、PJの若手メンバーの成長機会を与えてあげたい人事部」という対立例が書いてあり、なるほど!と思いました。
それを踏まえて、自身のPJ概要にもステークホルダーに人事部を設けるようをし、同様の設問が来た時にその例を引き出せるようにしました。
このように、過去問との格闘を通じてPJの概要を更新し続けることで、よりPM試験に対応しやすい基盤を整えることができます。
ここまでで、基礎的な部分の説明をしました。
ただこれだけでは、実際の論述に用いるネタは用意しきることはできません。
過去問の回答例に書いてあるのは自分の馴染みのないPJの概要とその取り組みばかりで、必ずしも全てが参考になるわけではありません。
そこで午後2対策でも活きたのが、生成AIサービスのPerplexityです。
狙いと用途としては下記です。
○狙い : 自身が策定した特定のPJ概要に基づいた過去問への回答例を生成する。
○用途 : 上記で設定したPJ概要を回答生成の際の制約条件とし、過去問の設問内容をそのまま入力→回答案を生成する。
下記のようなイメージです。
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ここで出てきた回答案の要素をメモし、あとは写経なりなんなりしてひたすら暗記しました。
暗記の方法は、前述した「アクティブリコール」を基盤とします。
また中には異なる設問でも同じような回答案が出てくるときもあるので、その際はObsidianのリンク機能を用いて関連付けを行い、定着化の足掛かりにしました。
これを、テキスト内で対応優先度が高いとされていた設問のうち約30個全てに対して行いました。
本来1番時間がかかるであろう論述回答案の作成を生成AIが自動化してくれているので、想像以上に時間はかかりませんでした。
ここまでで、ある程度論述に必要な構成要素は揃います。あとはこれを2時間かつ筆記という制約の中で出しきるため、本番に近い形で最重要設問のうち数問に対して本番同様の環境で回答する練習をしました。
以上が、各試験区分別の対策法となります。
●試験当日
試験当日は開始30分前に会場に着きました。
着いてから、筆記用具を丸ごと家に置き忘れたという衝撃的な事実に気づきましたが、周辺のコンビニを4軒はしごしてなんとか消しゴムと鉛筆を購入することができました。早く会場に着くことによって時間的に余裕を作れたのと、会場が比較的都心でコンビニが充実していたことが幸運でした。
午前試験および午後1までは余裕を持って回答しきることができました。
ただ午後2は、2時間で初見のテーマに対して論述しきるという経験が不足していたこともあり、設問3がまさかの字数足らずでした。
設問1と設問2を字数上限ギリギリまで書いており、時間が足りませんでした。
設問3は600字以上の指定に対して、確か書けたのが400字ぐらい。しかも最後の方はあまりにも時間がないため、とんでもない殴り書きで書いていました。文章も途中で終わってしまい、この時点で「終わった」と思いました。
午後2が終わり、頭が真っ白な中で会場をあとにしました。
一刻も早く帰りたいと思っていましたが、ちょうど衆議院の解散総選挙をやっていた時期で、会場の最寄駅では石破さんが街頭演説をしていました。
当然、駅前は人でもみくちゃな状態でした。石破さんを一目見たい観衆とそれを制止する警察が入り混じり、5分で着くはずの駅までの道のりで20分ぐらいかかりました。
その日はコンビニでシュークリームを爆買いして夜のうちに5個ぐらい平らげて、そのまま死んだように眠りにつきました。
翌日午前試験の自己採点はかろうじて行い、6割以上は達成できることは確認しましたが、午後2の最後が不甲斐ない結果に終わり、しばらくは仕事も手につきませんでした。
●試験後振り返り : やっておいた方が良いと感じたこと
そんな絶望的な心境でしたが、いざ結果が出るとまさかの午後2がA判定だったので、本当に驚いたとともに、勉強した過程が報われて非常に嬉しかったです。
合格こそなんとかできましたが、今振り返ってみて、より試験合格の安定感を上げるためにやっておいたほうが良かったと感じたことを以下に共有します。
○午前1 : 午前1免除資格はやっぱり獲得しとくべき
自分は今年の4月から勉強始めたので不可能でしたが、可能なら応用情報処理を事前にとっておいて、午前1の試験免除を行った方が間違いなく良いと思いました。
午前1対策で使われるリソースが結構多い事は、やってみてより実感できた部分です。
いざ試験を受けた際も、午前1がそもそも解けていなかったら他の試験区分は採点すらしてくれないので、必然的に「午前1の見直しをなるべく多くやらなきゃ」という心理的状況に陥りました。
一方で午前1の対策は、その後の試験区分とは個人的にはほとんど繋がりがない知識範囲だと考えます。そのため、ここに学習リソースを使うこと自体がPM試験全体で見た時に、非常にコスパが悪いです。
可能であれば、応用情報処理を事前に取っておく、もしくはPM試験等の高度試験で午前1を突破しておき、午前1免除の資格を得ることが非常に有効だと感じました。
○午後2 : 未知のテーマで2時間で書く練習をもっとしておくべき
今年の午後2で自分が回答したテーマは「外部環境の変化 + それに対応するリーダーシップ」という、近年の出題トピックとは若干離れた内容だったと思います。
(もう一個のコストマネジメントについては全く勉強してない範囲だったので即切りしました)
そのため、どういう風に構成をしていくかに少し時間をかけてしまった部分があります。
自分の場合2時間で書く練習自体はそこそこしていましたが、いずれも問われているテーマがある程度頭の中に入っている状態で練習をしていました。
そのため本試験で経験したような、「そもそも問われているテーマがわからない状態から、2時間で論述しきる」という経験を積んでいませんでした。
新規のテーマに対しても、落ち着いて2時間で論述する対策を積むことが本来もっとしておけば、試験終了後にもやもや後悔する要素も減らせたと考えております。
専用の講座などに通っていればおそらく独自の対策問題等も用意があると思うので、ここは独学の限界点だと思います。
●今後の話
今後に向けてですが、まずキャリア面では今回の資格取得を社内で評価いただき、自分がやりたかった業務ができそうな部署への異動の方向になってます。
社内での成果に限らず、自分の頑張りで自分の評価を変えていけた点は素直に嬉しいです。
また、せっかく合格して他の高度試験の午前1が2年免除になったので、来年4月のITストラテジストも受験してみようと思ってます。同じような独学方法で通用するか、チャレンジしてみたいと思います。
以上です。気づいたら11,000字以上となってました。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
読んでくださった皆さんの何かしらの参考になれば幸いです。
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