『カスタマーサクセス』には段階がある 【わたちゃんの、まったりビジネスコラム】
今の生活の一段上を目指そう!!」と言われて、それは天国に近づくことか、と解釈してしまったお年頃の、わたちゃんです。若い頃はまったく興味が無かった寺院や仏像に興味が沸いてきたのは、「一段上」を目指しているということなのかな。
近年、サブスクリプション型のサービスが広がり、ITソフトウエア業界、なかでもクラウド業界はこの変革に対応すべく「カスタマーサクセス」という新たな業務や組織名称が登場しました。
カスタマーサクセスは、最近ではIT業界のみならず小売りなどのコンシューマビジネスにおいても使われるようになってきました。小売業でカスタマーサクセスというワードに少し違和感がある方には、「豊かな生活」と置き換えて考えるとわかりやすくなります。
購買した商品で成功(サクセス)するとは、すなわち商品を通じて豊かな生活が実現できることです。そして、小売業者は目先の売り上げというゴールだけに着目するのではなく、購入した顧客が購入品を通じて「豊かな生活」を実現できることをゴールにすべきでしょう。そのための企業の支援に高い満足が得られた顧客がファンになり、継続購買していくことを考えると、クラウド(SaaS)事業者と同様にカスタマーサクセスが重要であることは理解できるはずです。
ただし、その豊かな生活(=カスタマーサクセス)には段階があります。マーケティングを学ぶ題材として、「ドリルを買う顧客はドリルが欲しいのではなく、穴が欲しいのです」という教訓があります。これは「ドリルを買ってどのようなサクセスを得たいのか」という考え方で、マーケティングのテキストでは、ドリルのスペックばかりを主張するのではなく、「顧客の立場でどのようにすれば穴を開けやすいか、という視点でマーケティング活動をしなくてはいけない」という考えが通説になっています。
しかし、カスタマーサクセスの考えでは「穴を開ける」上にもうひとつ、サクセスがあります。たとえば「立派なテーブルを作る」というサクセスです。さらにその上には「楽しい食事をする」というサクセスがあるはずです。
つまりカスタマーサクセスには段階があって、どのサクセスをターゲットにした支援を提供するかが重要で、場合によっては物販業からサービス業へのビジネスモデルの転換も視野に入れるケースもあるはずです。
ということで、僕のサクセスライフも、もう一段上の仏像彫りにでもチャレンジしてみようかと思っています。