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物語ることで命を繋いだ女性の話〜千一夜、語れるものはありますか?〜
「千一夜物語」をご存知でしょうか?
イスラム世界の説話を集めた物語集で、
日本では「アラビアンナイト」という名称でも
親しまれています。
「アラビアンナイト」と言えば、
「アラジン」や「アリババと40人の盗賊」
といった話が有名ですね。
実は、これらの物語は、ヨーロッパに広まって以降で
新たに付け加えられた物語なのだそうです。
元々、初期の「千一夜物語」には結末がなく、
ヨーロッパ等の各地に広まるにつれて
様々な物語や結末が付け加えられていきました。
アンデルセン、グリム、ゲーテ、デュマなど、
多くの作家たちの心を惹きこみ、
様々な作品に大きな影響を与えてきた物語たち。
ある種の“ヒーローズ・ジャーニー”の原型といっても
過言ではないのかもしれません。
そんな「千一夜物語」のあらすじは、次のようなものです。
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古代ペルシアの王シャフリヤールは、弟王の訪問を受けたことがきっかけで王妃の不倫現場を目撃。以来、女性不信にかられた王は、一夜限りの妻を迎えては翌朝に殺す、という掟をつくる。国中の若い娘がいなくなる事態に、賢く勇気ある宰相の娘シェヘラザードが自ら王の花嫁に志願する。夜明け前に妹ディナールザードの最後の願いにこたえ、シェヘラザードはそらんじている物語を語り聞かせる。そのあまりの面白さに続きを聞きたくなった王は、次の晩まで彼女を生かしておくことにする。こうして千と一夜の物語が語り始められる……。
(岩波書店『ガラン版千一夜物語』特設ページより)
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まさに“物語ること”で命を繋いだ女性の話。
主人公がお話を語り、
さらにその物語の登場人物が
次々と語り継いでいく、
ロシアのマトリョーシカ人形のような
物語の連なりに面白さがあります。
※という私はまだ読んでいないのですが…
とにかく、一夜では完結しない物語が
この女性を救い、王や国の運命も変えたのでした。
実際には180話ほどの物語がまとまっており、
「千一夜」というのは、1001日に区切られている、
あるいは、それくらい長い期間、という意味
でもあるそうです。
千一夜も語り続けるとしたら、
あなたは何を語りますか?
***
「千一夜物語」に学ぶ契約継続の極意とは?
さて、今回の本題です。
この女性シェヘラザードは、
自分の命を繋ぎ、王の悪行を止めるために、
次々と物語を語って聞かせます。
3年以上に渡る月日を毎日語れるものが
彼女の中に備わっていたからこそ
成し遂げられた偉業でした。
ここから学べることは大きく三つ。
***
①物語を細分化して続かせる
②「この続きは、また今度」といって興味を引く
③語り続けられる土台を作っておく
***
まず①について、千日と一日だけ語るとしても
毎日違う話をしなければならないということはなく、
むしろこうした場合には、話を途中で区切ることが
継続への大きな切り口になります。
②にも繋がりますが、
「続きが知りたい」という気持ちにさせることで
営業なら次の面談に繋げたりもできます。
例えばテレアポでも、
電話越しで全て情報を伝えきってしまうと
相手は満足してしまい、アポに繋がらない、
ということは往々にしてあります。
プレゼンや大学等の授業も同じですね。
ひたすら情報だけを与えてしまうと
聴き手はお腹いっぱいの状態になり、
それ以上聞かなくてもいいと思ってしまいます。
私は何かとこの傾向があり、
情報をすべて伝えようとする癖があるので、
的確に手短に伝えて関心を持ってもらうことを
意識するようにしています…
そして③について。
この女性は、毎晩その日に語るお話を
考えていたのでしょうか。
おそらく違います。
彼女が今まで見聞きしてきた物語や、
学んできた物事の積み重ねが
千一夜の語りに一役買ったのだと思います。
使う時になって探すのでは遅い。
使う時のために事前に準備することが大切。
毎朝のスピーチでも、
突然得られたプレゼンの機会でも、
出来る人はスマートにこなせてしまう。
それは日頃から準備を重ねてきたからです。
やはり、そういう人に憧れますし、
私自身もそれを目指したい。
コンサルティングのプレゼンは
物語とは違うかもしれません。
ですが本質は同じです。
企業の成長ストーリーを語り続けることで
そこにいる登場人物たちの共感を引き出し、
その先に待っている結末を変えさせる。
フィクションを語り、行動することで、
その物語はやがて現実となる。
どれだけ感動的なフィクションを
語れるかどうか。
つまりは理念やビジョン、
夢を語れるかどうか。
常に語れる題材、
日頃からしっかりと蓄えていきたいですね。
この続きは、また次回。
*参考文献*
岩波書店『ガラン版千一夜物語』特設ページ
https://www.iwanami.co.jp/galland/