3Dプリンターの種類の違いと、フィギュア制作での使い分け
家庭用の3Dプリンターには大きく分けて2種類の方式があります。
光造形方式
フィラメント溶解製法
それらの違いの簡単な説明と、私がフィギュア制作にどのように活かしているのかをご紹介します!
光造形方式とは
光造形方式とは、液体のUVレジンを紫外線(UV)で硬化させて造形をしていく3Dプリンターの種類です。
光造形方式にも色々と種類がありますが、一般的に家庭用の光造形方式は「SLA光造形方式」と呼ばれているものです。
私が実際に使っている光造形方式はこちらの3Dプリンターです。
このように、上にあるプラットフォームと呼ばれる板に硬化したUVレジンが張り付いてぶら下がって造形物が作られます。
くっついている棒のようなものは「サポート材」といい、取り除いて原型として仕上げていきます。
プリント物の上部には積層痕という模様のようなものができます。
これは層を積み上げた痕であり、これをいかに綺麗に、細かいピッチを出せるかを3Dプリンターメーカーは心血を注いでいます。
積層痕はヤスリで削って、綺麗な表面にして仕上げて原型にしていきます。
フィラメント溶解製法(FFF方式)とは
フィラメント溶解製法は、FFF方式とも呼ばれている方法で、フィラメントというプラスチックの糸のようなものを熱で溶かしてソフトクリームのように積み上げて造形していく方法です。
FDM方式とも呼ばれることがあり、同じことを意味しますが少しややこしい事情があります。
フィギュア制作での使い分け
この二つの方式の3Dプリンターをどちらも持っていますが、どのように使い分けているのかをご説明します。
原型制作には、光造形方式3Dプリンター
フィギュアの原型を作る際には、必ず光造形方式を使っています。もちろん積層痕は残りますが、FFF方式に比べて圧倒的に細かな積層なので上部以外は積層痕がほとんど目立ちません。
また、UVレジンはヤスリがけや削り作業も容易なので原型制作に向いています。
精度が高いため、小さい原型でも彫り込みやテクスチャがしっかりと表現できるのが光造形方式の特徴です。
FFF方式3Dプリンターは、サイズ確認・ビッグサイズ・治具に
FFF方式は、直接的にはあまりフィギュア制作そのものには使っていません。
ただし、私が使用しているBambu社のFFF方式プリンターは、光造形方式に比べて印刷速度が早いためサイズ確認や形状確認用として使用しています。
グラムあたりの材料費も安いため、複数のサイズのバリエーションを検討する際にはFFF方式が適しています。
また、光造形方式よりも大きなサイズを印刷できるので15~20cmほどのビッグサイズのフィギュア(ディスプレイ用)などを制作することもあります。
積層痕が目立ちやすいのがFFF方式の特徴ですが、大きいサイズにしてしまえば相対的に積層痕が気にならなくなるからです。
治具やプロダクト製品のようなものを作る時には、FFF方式がおすすめです。
FFF方式は光造形方式と違って造形物の歪みが少ないので、直線や曲線をデータ通りにしっかりと出すことができます。
造形時間について
光造形方式とFFF方式では3Dプリントの方法が違うため、印刷にかかる時間の決まり方も違います。
光造形方式は何個作っても同じ時間、
FFF方式は1個の時間×個数になります。
光造形方式は、造形物の高さによって造形時間が決まるので何個もいっぺんに作ってもかかる時間が同じです。
プリンター内部にあるディスプレイが光るため、1個であろうと、10個であろうと同じくらいの時間になります。
5cmほどのプリントに2時間かかるとすると、一度に作れば何個作っても2時間です。
FFF方式は、ノズルが物理的に移動してフィラメントを絞り出して積み上げていくスタイルなので、個数が増えれば増えるほど時間がかかります。
1個30分のものを10個プリントすると単純計算で300分ほどになります。
経験上、複数個を同時にプリントすると精度が下がる印象があるので、10個を一気に作るよりは、2~3個ずつくらいにしたほうが安全です。
まとめ
造形時間と、それぞれの特徴を考慮して3Dプリンターを使い分けています。
原型制作をするのであれば、光造形方式一択ではありますが、光造形方式はアルコールで洗浄したり臭いの問題があります。
私がレッスンでお伝えしているのは、「原型を高頻度で作らないのであれば光造形でのプリントは外注し、自分ではFFF方式を買ってサイズ検討や形状の検討をスピーディに行うのも一つの考え方」と言っています。
YouTubeでは光造形、FFFのどちらもご紹介しているので、よろしければご覧ください!
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