「あ、あれ?あのKPOPアイドルも同じ事務所?」BTSを世界一にしたHYBEの戦略がやばい!
将来的な仕事のために英語・韓国語を勉強中。
なかなか韓国語勉強のモチベーションを維持できない悩みを抱え始めていた。
「好きなアイドルグループを作れば勉強のモチベーションになるのではないか。」
単調だがこう考えた。
YouTubeやインスタで知ってる名前のKPOPグループを調べているとふと気づいたことがある。
「所属事務所が同じグループ多くないか・・?」
有名どころBTSもセブンティーンも”HYBE”という事務所だ。
この時からHYBEという会社について知りたいと思うようになった。
HYBEについての本は出版されておらずしっかりと事業内容などまとめてくれている人がいない。
こんな潜在的な需要に応えるため、そして自分の好奇心を基づき調べて見ることにした。
最近KPOPの勢いが止まることを知らない。
2018年9月24日にBTSが国連でスピーチ。
3年後の2021年9月にはBTSの『Dynamite』全米ビルボードで1位を獲得。
HYBEが2023年8月に出したIR資料を見てみよう。
アメリカにおいてのアルバム売上数はTOP10中6枚がKPOPという素晴らしい結果だ。(赤枠内参照)
※その中でもHYBEはTOP10中4枚を占める。(黄色色付け)恐ろしいまである・・笑
「BTSを世界一にしたHYBEってどんな会社なの?、何がすごいの?」
そんな疑問をこのnoteで解決しよう。
1.HYBEって何者?
BTSをはじめ数々の人気アーティストを輩出しているHYBEの基本情報と生い立ちから見て行こう。
発足は2005年ー
作曲家であるパン・シヒョクさんが、 ”Big Hit Entertainment”を設立した。この会社がHYBEの前身だ。
2013年に同社から初のグ ループ「防弾少年団」としてデビューしたが、まだ事務所の知名度はかなり低かった。
SNSを駆使してよ り多くの人の目に留まるように投稿をし続けたことで人気が徐々に上昇。その後アメリカ進出を視野に入れ防弾少年団のグループ名をBTSに変更。
ここから怒涛の快進撃が始まった。
アメリカのビルボード、イギリスのUKオフィシャルチャート、iTunes、SpotifyMusicなど世界有数のチャートで1位を獲得。
「第63回グラミー賞授賞式」で、韓国の歌手として初めて単独ステージを披露し、「ビルボード・ミュージック・アワード」と「アメリカン・ミュージック・ア ワード」、そして「グラミー賞授賞式」といった、アメリカ3大音楽授賞式でパフォーマンスするに至る。
そんな凄腕の社長パン・シヒョクさんはこんな人だ。
「エロオタクお○さん・・」
そんなこと言うのはやめよう。
優しさと包容力がありふれそうなこの人、超とんでもない。
資産額はなんと約32億ドル(約3500億円)(2)
※株価により変動はある。
ビルボードの資産ランキングによるとSpotifyの共同創設者ダニエル・エク氏とマーティン・ロレンツォン氏に次いで、音楽業界堂々の3位にランクイン!(3)
なんと国内外個人賞も立派すぎる状態。
独立前にはあのJYPエンターテイメントであのパク・ジニョン(JYパーク)の音楽プロデューサーをしていたらしい。
J.Y. Parkといえば日本でもお馴染みこの人。
※TWICEやNiziUのプロデューサーでお馴染み。
KPOPに詳しくはない方でも1度はテレビなどで見たことがあると思う。
やっぱりすごい人だ。。
億万長者パン・シヒョクさんが代表をするHYBEという会社。
どれだけ売上があるのか。
直近2023年4月~6月期の連結決算はこうなっている。
BTSが2022年6月に活動休止して約1年が経つタイミングでこの数字。
なかなか悪くないと思う。
ここまで圧倒的なHYBEだが国内にはライバルももちろんいる。
続いて現状のKPOP界の勢力図も俯瞰して見てみよう。
2.K-POP市場の勢力図
元々韓国には3大芸能事務所があった。
登場してもらおう。この3社だ。
No.1:KPOPの歴史を築いたSMエンターテインメント!
東方神起や少女時代といった日本のKPOPブームの先駆けになった。
最近人気はEXO、YouTubeの再生回数は4.4億回。
No.2:KPOPを世界に広めた先駆者YGエンターテインメント!
BLACKPINKやBIGBANGといった世界的アーティストも手がける。
エースはやはりこのグループ。KPOP界かっこいい女性の火付け役。
BLACKPINKの「DDU-DU DDU-DU」、この曲は再生回数21億回。改めてみると驚きの数字だ。
No.3:NiziUを生み出したオーディション番組で日本でも有名になったJYPエンターテインメント!
エースグループは世界的に売れないと言われた”かわいさ”コンセプトにしてワールドツアーまで行ったこのグループ。
TTダンスでも人気になった。再生回数は6.6億回。
この3大芸能事務所とHYBEを加えた現在の勢力図を簡単に表すとざっとこんな感じ。
お分かりいただけただろうか。
やっぱり圧倒的にHYBEが強い。
「なぜこんなにHYBEはすごいのか。」
「なぜHYBEはBTSを世界的に成功させることができたのか。」
細々とした情報の説明はここまで。
それではこのnoteの最大の見どころ。HYBEの成功戦略について深掘りして行こう。
3.HIIVEが成功する理由(①〜③)・苦戦することはあるのか(④)
HYBEが成功した理由3つと苦戦する理由を紹介しよう。
【成功する理由】
①世界に向けて戦う経営陣・役員陣のラインナップ!
②盤石な経営基盤!マルチレーベル戦略
③韓国から世界へ!グローバル戦略
【苦戦することはあるのか】
④買収失敗劇
①世界に向けて戦う経営陣・役員陣のラインナップ!
まずは現HYBEの経営陣・取締役と株主構成はこんな感じだ。
HYBEにおけるキーパーソンを紹介する。
先ほども紹介した創業者であり取締役会長パン・シヒョクさん。
彼こそBTSを世界一にした張本人だ。
そんな中2021年7月1日、HYBEの最高経営責任者を退任し、取締役会長に就任することを発表した。
彼はBTSを世界一に仕立てた最高のプロデューサーだが経営のプロではない。
早々にCEOの座を固執せず次の人に移した判断は素晴らしいと言える。
ちなみに株主構成を見るとNetmarbleという会社が18.2%保有していることがわかる。
これは韓国最大のモバイルゲーム会社でその取締役会会長であるパン・ジュンヒョクはパン・シヒョクさんの従兄弟に当たる人物だ。
一族で50%を保有していることになる。
この一族経営的な株主構成が今後の展開に吉と出るか凶と出るか楽しみだ。
話を戻そう。
続いて上段中央の人、この人が現HYBE CEOパーク・ジウォンさん。
HYBE入社前はネクソンというゲーム会社のグローバル事業総括からCEOを歴任。
まさにグローバル戦略に詳しい経営のプロだ。彼を中心とする今後のグローバル戦略には期待しかない。
三人目は一番右のスクーター・ブラウンさん。
イサカ・ホールディングスの元CEO。
そのイサカ・ホールディングスは2021年HYBEがアメリカ進出の足掛けのため買収した際に経営陣に加わった。彼も超がつくほど大物である。
あのアリアナグランデやジャスティンビーバーを世界一に仕立てた腕輪プロデューサー兼経営者だ。
さらに株主にはいないがHYBEのコーポレイトサイトで要人として紹介されているのがHYBE JAPAN CEOハン・ヒョンロックさん。
日経BPの記事に彼の経歴が出ていた。
超優秀なのはもちろんのことハン・ヒョンロックさんもまたグローバル戦略のプロだ。
現HYBE CEOパーク・ジウォンさんにも言えることだが音楽業界出身でないことも革新的な事業を進める上で重要かも入れない。いわゆるアウトサイダー経営者といえよう。
彼らがいったい何をどうしてBTSを世界一にし音楽エンターテイメント会社として3大事務所を打ち負かしたのか。その戦略を探ってみる。
②盤石な経営基盤!マルチレーベル戦略
まずはHYBEが提供する事業内容を簡単に見てみよう。
HYBE は<We believe in music>というミッションのもと音楽を基盤とした世界最高のエンターテインメン ト・ライフスタイル・プラットフォーム企業を目指してい る。
HYBE の事業内容は 2022 年 3 月 22 日に発行した、2021 年 1 月 1 日から 2021 年 12 月 31 日までの「第 17 期 事業報告書」に細かく記載させている。
私も要点だけかいつまんで読んだが全て韓国語のため疲れる。
会津大学短期大学佐々木 瑛捺さん 仙波 優衣さん『エンタメ企業の生き残り戦略』(6)という論文が読みやすい。参考文献に載せておくので興味ある方はぜひ。
HYBEは下の図のように韓国・日本・アメリカをメイン市場としている。
またアーティストを育成し、音楽コンテンツ 制作を担当するレーベル(Label)
ビジネスソリュー ションを提供し、音楽を基盤とした公演、映像ゲーム など様々な事業を展開するソリューション(Solution)領域。
そしてハイブの全てのコンテンツとサービスを連結し、拡張させるプラットフォーム(Platform)事業の 3 つ に事業を区分している。
どの業界でも抱えている問題だが音楽業界でもアーティストとマネジメント、レコード製作者、レコード流通、公演企画者、放送及び広告製作者など様々な参加者が存在するため時間とお金ばっかりかかってしまう課題があった。その問題の解決のため音楽産業Value Chainを統合して高度化する戦略ため3つの事業を展開しているようだ。
さらに知っている人は多いと思うがHYBEは多数の超有名アーティストを保有している。
羅列して見るとこんな感じ。
BTS以外にもセブチの愛称で人気なSEVENTEENや最近AppleのCMに大抜擢されたNewJeans。
なぜこれだけのアーティストを輩出し続けることができるのだろうか。
秘密はマルチレーベル構造にある。
2019年にBTSが第61回グラミー賞授賞式に、最優秀R&Bアルバム賞のプレゼンターとして出席していたその頃。
GFREND等が所属する韓国のレーベル・Source Musicと音楽ゲーム会社・Superb Corpを買収してから本格的に取り組まれ始めたマルチレーベル構造の強化。
次々と中小規模のレーベルを買収していった。
HYBEはこの買収劇について『各事務所の独立的な運営権限を残しつつも「互いに成長し、相乗効果でより大きなビジネスを展開していこう」という共通意識のもとで強力なマルチレーベル構造を創り上げ、今後国外での事業を有利に拡大していくための基盤を確保した』としている。
BTSで一気に成り上がったHYBE。
そんなBTSのメンバーも最年長は今年で30歳。
BTSで培ったグローバルで成功した経験とノウハウを活用し、BTSに頼らない継続的な利益の確保を狙ってだろう。
音楽レーベルの難しい点は”継続性”だと考える。
あるグループ成功しても次のグループをすぐにでも探し出さなければならない。
流行の移り変わりは早く、1グループに依存する体制では継続的な利益を出せないからだ。
そこでパン・シヒョンさんたち経営陣は即戦力のアーティストを獲得し経済基盤を作り上げるため買収という戦略を取ったのだろう。
企業買収にはさまざまメリットがあるが21世紀最高の経営者と呼ばれるジャックウェルチの著書「我が経営」でこんなことを言っていた。
「買収のメリットは人材を獲得できることである」
アーティストに限らず長く信頼関係を築いてきたその会社やマネージャーも併せて獲得しようとする狙いもあるはずだ。
今後もBTSをきっかけにさまざまなアーティストで更なる世界進出をはかるHYBE。
次はそんな彼らのグローバル戦略を見て行こう。
BTSがなぜこんなに世界的な有名アーティストになったのかわかるはず。
③韓国から世界へ!グローバル経営戦略
BTSが世界的成功を収めるまでのKPOP界はあくまで自国である韓国・日本を中心としたアジア市場をメインに活動していた。
音楽業界において最大の市場はアメリカである。
それは知っていたものの「アジアの音楽がアメリカやヨーロッパに広がるはずがない。」潜在的に感じていたのではなかろうか。
たとえそうであっても真っ向からアメリカ市場に挑んでいったのがHYBEとBTS。
「10代・20代に向けられる社会的偏見や抑圧を防ぎ、自分たちの音楽を守り抜く」という意味が込められたBTSのグループ名を体現するが如く、韓国語の歌詞を貫き通す姿勢が全世界の音楽界に大きな衝撃をもたらした。
HYBEのグローバル戦略において大きな武器となっているのがこの3つ矢である。
【グローバル戦略A:現地地域密着型のマーケティング】
2022年12月にHYBE JAPANは日本で9人組の男性グループ”&TEAM(エンティーム)”をデビューさせた。
また2022年、元欅坂46メンバーの”平手友梨奈氏”が、HYBE傘下のHYBE JAPAN に移籍することが発表された。
HYBE JAPAN のCEOハン・ヒョンロックさんは日本の音楽業界の課題についてこう言っている。
これから日本からアメリカそして世界に出ていくアーティストが増えるかもしれない。
さらに!
ジャスティンビーバーやアリアナグランデのマネジメントしてきたイサカ・ホールディングスを買収したHYBE。
アメリカの音楽市場に詳しい現地の人材を獲得ができたことは大きいだろう。
また現地法人を立てることでその国の流行をいち早くキャッチできるメリットもあるはずだ。
2021年HYBEアメリカは、HYBEとユニバーサルミュージックグループ(UMG)傘下のGeffen Recordsが合作して披露するグローバル女性ポップグループデビュープロジェクト『The Debut: Dream Academy』を発表。
アメリカのレコード会社がK-POPの音楽事務所と協力し、真にグローバルな規模と広がりを持つグループを作ろうとする試みは初めてとのこと。
そのコンテストを追ったドキュメンタリーも2024年にNetflixで配信されるようだ。
現地発祥のアイドルグループがどれだけの結果を出してくれるのか楽しみでしょうがない。(6)
【グローバル戦略B:世界的ブランドとのコラボレーション】
世界的ブランドであるコラボも認知度を向上させるにはもってこいのはずだ。
BTSを始め数々のグループがそれぞれハイブランドとコラボしている。
また世界的なアーティストとのコラボもしている。
YouTubeにアップされているSteve Aokiとのコラボバージョン「MIC Drop (Steve Aoki Remix)」のMVも、現在(2020年9月26日時点)の再生回数が7億5000万回超と大人気だ。
【グローバル戦略C:『Weverse Company』】
米ビジネス誌“Fast Company”が発表した「2020年世界で最も革新的な企業TOP50」でHYBEが3位のステラに続き4位に選ばれた。
HYBEの子会社であるWeverse Companyでは独自のコミュニティー・プラットフォーム「Weverse」で。世界各国の利用者が誰でも簡単に他のファン、応援するアーティスたちの最新の投稿内容を閲覧しコンタクトをとることを可能にした。
ここまでHYBEはなぜこれでけグローバルに成功を収めてきたのかについて触れた。
だが成功の裏ではHYBEが苦戦を強いられたこともある。
④HYBEの苦戦!買収失敗劇
2023年2月東方神起、少女時代、aespa、Red Velvetを有するSMエンターテイメントの創業者から同社株式を4200億ウォンで取得。所有株比率は14.8%で、同社の筆頭株主になった。
SM創業者以外の株式についても一部取得し、同社を買収する計画していた。
ところがそれを阻む存在が出た。あの有名なカカオであった。
カカオが公開買い付けに乗り出すなど、SMの経営権争いが加熱化したため、HYBEはSMの買収を断念することを同年3月に発表した。
企業買収を重ねるHYBEをよく思わない人たちがいるもの確かだ。
4.今後のHYBEに期待!
事実上の買収失敗後バン・シヒョクさんがCNNのインタビューにこう答えた。
この発言から今後のKPOP業界に危機感があると読み取れる。
「ただの1時的な流行りで終わってしまうのではないか」
この強い危機感と共にHYBEはこれからも革新的な取り組みを続けてくれるだろう。
輝かしいアイドルたちの裏には資本経済が広がっている。
今後のKPOP業界、特にHYBEの動向に注視していくと面白いかもしれない。
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次回は水素水事件について投稿します!お楽しみに!!👋
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5.参考文献
(1)
外務省ホームページ 大韓民国
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/korea/data.html
(2)
K-Pop Billionaire Behind BTS Doubles Wealth on Adding Bieber (Bloomburg)
(4)HYBE Wikipedia
(5)日経BP
「グローバルなファン獲得の仕組みを作る」HYBE JAPANのハンCEO
(6)BAZAAR
3名の日本人も参加! 米国でHYBE主催の新オーディション番組が始動。オープニング・セレモニーの共同創業者であるウンベルト・レオンがクリエイティブ・ディレクター
https://www.harpersbazaar.com/jp/celebrity/celebrity-buzz/a44956229/hybe-dream-academy-interview-230901-lift1/
(7)
https://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2212883#:~:text=HYBEのバン・シヒョク議長,決めた」と明かした%E3%80%82
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