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息子と緊張とピアノ
週末、小学校6年生になる息子のピアノの発表会があった。
保育園のとき、自分から習いたいと言い出して始めたピアノ。
習いはじめてみたものの、そんなに練習をするわけもなく、でも週1回レッスンに行き、もう6年続けている。
同じように通い始めた双子の姉は2年前
「わたしはピアノをやめたい」とあっさり辞めた。
息子も一緒に辞めるかな?と思ったけど「僕はやめない」と続けることになった。
でも、だからといって一生懸命練習するわけでもなく…。
レッスンに行きたくないという日もあった。
練習もしない。レッスンにも行かないのならもうピアノをやめてほしい。
そんな話し合いをした日もあったけど、なぜか息子はやめなかった。
いよいよ今年は5回目の発表会。
演奏する曲が決まると、その日から、ちょっと様子が変わった。
毎日自分から練習するようになった。
練習すると、弾けるようになって。
弾けるようになると、また練習して。
そうそう、こういう状態を見たかった。
それはこの6年間、私が見たかった光景だった。
先生からも「最近、練習に熱が入っていますよね」と言われた。
いつになく順調。
迎えた発表会当日。
未就学児さんから順番に演奏する。
今年が発表会デビューの子もたくさんいて、双子がピアノを習い始めた頃と重なる。
小学校6年生になった息子の順番は後ろから数えるほうが早かった。
小さい子たちの演奏を聞きながら落ち着きのない様子の息子。
ちょっと外の空気を吸いに行く。と言って会場を出た。
ロビーの片隅で「あー緊張する」とソワソワ。
こんなに緊張した息子を見るのは初めてだった。
5回目の発表会なのに、緊張するんだね。と話していると
「5回目だから緊張する」
「去年までは2週間しか練習してなかったから。それで失敗したら仕方ないや〜って思ってたけど。今年はずっと練習してきたし」(おい!!2週間しか練習してないってどういうことだよ!という母の気持ちはさておき)
「実は、まだ3回中2回しか成功しないところがあって…。家を出る前に弾いたとき2回成功しちゃったから、次は本番で3回目で失敗する気がする。家で最後に1回失敗してくればよかった…」
とかなんとか…。
緊張にまつわる言葉が止まらない…。
息子も緊張するようになったんだなー。母は少し感慨深い。
「あー緊張する。自分の周りはみんなうまいし。」
「でも、緊張するより、楽しんで弾くことが大事なんだろうな…。」
「あーでも緊張する。」
緊張は収まりそうもないが、「緊張している」と言えているので自己一致しているんだなと思う。
息子は、緊張した面持ちのまま舞台袖に消えていった。
いざ本番。
ピアノの前に座ると、息子は堂々と演奏していた。
今までで一番力強く、練習した部分もしっかり弾けていた。
3回中1回失敗するジンクスの箇所も、しっかり成功していた笑。
なんとか最後まで無事に演奏し終えると、安堵した表情で会場に戻ってきた。
帰り道、息子に「いつまで緊張してた?」と聞いてみたら「鍵盤に手をおいたときかな?」と言っていた。
ほう。そんなものなのか。意外に冷静なんだな。
こうして5回目の発表会は無事に終わった。
今までは毎年どうやって練習させようかとあの手この手で、時には私が先に練習して、弾けるようになる姿を見せたり、試行錯誤してきたピアノの発表会も、大きくなってくるとこんな風に手がかからなくなるのか。
練習よりも、当日の心のケア?のほうに重みが出てきたことで、子育てのステージが変わっていることをしみじみ感じた発表会だった。
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