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#1 『インセプション』 過去に囚われた男/感想と考察【後半ネタバレ有り】

どうもだてまきです。

突然ですがあなたは夢をよく見ますか?夢を見ることが好きですか?
私は結構好きです。たまーに嫌な気分になる夢もありますけど笑

好きな理由は当たり前ですが現実味がないからです。
絶対交わらない友達同士が一緒にいたり、もう大学生なのに中学校に通っていたり、そして目が覚めたらどんな夢か忘れていたり。
不思議なあの感覚が好きです。

前置きが長くなりましたが今日はそんな夢に関する映画『インセプション』についてお話ししていこうと思います。

『インセプション』について

あらすじ

人の夢に潜り込んでその人のアイデアを盗み出すことを生業としているスパイのコブ。ある日アイデアを盗み出すのではなく、逆にアイデアを植え付けるインセプションの任務を持ちかけられる。話にのったコブは仲間を集めてインセプションに挑む。

簡単にいうと他人の夢に入って頭の中からアイデア盗んだり植え付けたりするぜ〜って話です笑

ドラえもんと似ている

主人公のコブのチームはコブを入れて6人です。
で、私が観てて思ったのがドラえもんの登場人物に似てるなーって笑

コブ:リーダー=のび太
チームのみんなを引っ張っていく主人公です。
のび太よりしっかりしていますが、たまにドジ踏みます。

アーサー:相棒=ドラえもん
主人公の相棒的存在。すごく頼りになります。映画を観た人に共感してもらいたいのがほんっとにアーサーかっこいいです笑

アリアドネ:設計士=しずかちゃん
女性はもう1人後に出てきますがこのしずかちゃんが今作のヒロインです。設計士とは夢の世界の構造や町並みを作り上げる係です。
のび太を支える役でもあります。

イームス:偽装師=ジャイアン
演じているのがトム・ハーディさんなので体がゴツいです笑
偽装師とは夢の中でターゲットを騙すために変装する係です。
イームスは変装だけでなく格闘や銃撃戦でもすごく頼りになります。

ユスフ:調合師=スネ夫
結構ビビりでお調子者なので本当にスネ夫みたいです笑
調合師とは夢が覚めてはいけないのでぐっすり寝れるように薬を作る係です。

サイトー:依頼主=出来杉くん
任務の成功を見届けるために同行します。しかし前半でほとんど足手纏いになります笑
何もできない出来杉くんです。

ここまで簡単に登場人物を書きましたがドラえもんのキャラクター構成と似ていませんか?笑
重要な登場人物はあと2人ほど出てきますがこの6人で任務を進めていきます。

【ネタバレ無し感想】

この映画を初めて観たのが確か2020年ぐらいなんですよ。この映画の公開年が2010年なのでちょうど10年経ってたから観ました。
初めて観た時の感想は

衝撃

です。もう本当に衝撃という言葉以外思いつかなくて。ずっとエンドロール中も呆然としていました。
なんだこの映画は、こんな面白い映画があるんだ、ラストこれで終わり?、みたいな感想がずっと頭の中でグルグルしていてしばらくこの映画のことが頭から離れませんでした笑
そのぐらい私に衝撃を与えてくれた映画なんです。今までたくさんの映画を観てきましたが『インセプション』が人生で1番好きな映画です。オススメの映画を聞かれてもとりあえずこの映画を勧めています。
この先の人生で『インセプション』を超える映画は正直出会わないと思います。
それほど私の感情を揺さぶり、人生を変えてくれた、そんな映画です。

『インセプション』はこんな人にオススメ

・スパイ映画が好き!
・非日常感を味わいたい!
・かっこよくスーツを着こなした俳優を見たい!

『インセプション』はほんとに衣装が素敵です。特に俳優陣のスーツがとにかくカッコいい!
私はスーツを見たり着たりするのが好きなのですがこの映画の影響です笑

(以下ネタバレ有り)





ここからネタバレです。





【ネタバレ有り感想】

やっぱり『インセプション』でずっと議論されているのは最後のトーテム(コマ)が止まったかどうかですよね。みなさんはどう思いましたか?
私はトーテムは止まった(現実に戻ってきた)派です!理由は直感です笑
最初に観た時にシンプルにそう感じました。少しトーテムがグラついたのであのままだったら止まるんだろうなーって笑
でも倒れた描写が無い以上なんとも言えないんですよね。そこがまた難しい!
他の方の考察で有名なのがコブが夢の中で指輪をつけているかどうかとか、子供の服が夢と現実で違うとか、があります。さらに教授を演じたマイケル・ケインさんは「自分が映っているシーンは現実だ」と発言していたりとそれらの根拠からみんな考察しています。

でも本当に私が思うのは「正解が示されていない以上正解はない」ということです。
クリストファー・ノーラン監督が「ラストはトーテムが倒れて現実に戻れました」ってしっかり発言すればそれが正解です。
しかし正しい解答が無いですし大事なのは観た人たちがそれぞれどう感じたかと思います。
先ほど私もトーテムは止まって現実に戻ってこれた派と言いましたが、しっかり根拠とかを探せばもしかしたら意見が変わるかもしれないです。
でも最初に観た時にそう感じたのでもうそれで良いかなと笑

クリストファー・ノーラン監督はあのラストシーンについて言及していることがあります。

「大事なのはコブがもうトーテムを見ていなくて目の前の子供を見ていること。夢か現実かはどうでもよくて目の前に映ることが大事なんだよ」

だいぶ自分なりに意訳したのでちょっと違うかもしれないですがこんな感じです。
これについては後の考察でもまた触れます。

とにかく私が言いたいのはこの議論には正解がない、逆を言えば観た人が感じたこと全てが正解になると思うので「自分の意見は間違っているのかな…」とは考えてほしくないです!笑

考察

表のテーマと裏のテーマ

『インセプション』の考察といえば先ほどのラストシーンについてですが今回の考察は違います。ここからのことがわたしが1番伝えたいことです。

少し話がそれます。
個人的になんですがクリストファー・ノーラン監督の映画ってどの映画も表のテーマ裏のテーマが存在すると思っています。(特に『メメント』以降)
表のテーマとはノーラン監督が得意とする「時間」についてです。『メメント』では10分前の「時間」に翻弄される主人公を描いています。『インターステラー』では地球と他の惑星との「時間」がキーポイントです。『TENET テネット』では「時間」そのものがテーマになっています。
このようにその映画のテーマというかジャンルというか、いわゆる主題になっているものです。私もなんですがノーラン監督が好きな人たちはこの「時間」の描写が好きなのではないのでしょうか。

裏のテーマとは表のテーマである「時間」を描くことによって見えてくるものです。
個人的にノーラン監督が描く裏のテーマは「愛」だと考えています。「愛」といっても「夫婦愛」、「親子愛」、「友愛」などがあります。

『メメント』では妻の復讐に燃える主人公の妻に対する「愛」、『インターステラー』では主人公の娘に対する「愛」、『TENET テネット』では主人公と相棒の「友愛」、とこんな感じです。

じゃあ『インセプション』は何なのか。それは

表のテーマ:夢の中の「時間」
裏のテーマ:主人公と妻の「夫婦愛」


です。

他の作品も一緒に下にまとめました。↓

『インセプション』
表のテーマ 夢の中の「時間」
裏のテーマ 「夫婦愛」

『メメント』
表のテーマ 過去の「時間」
裏のテーマ 「夫婦愛」

『インターステラー』
表のテーマ 宇宙の「時間」
裏のテーマ 「親子愛」

『TENET テネット』
表のテーマ 逆再生の「時間」
裏のテーマ 「友愛」

こんな感じです。どうですかね?正直こじつけな部分もありますし、じゃあ『ダークナイト』は?、『ダンケルク』は?と言われたらあんまり思いつかないです笑

まぁそこは置いといて『インセプション』の考察に戻ります。

コブとモルの過去

先ほどの登場人物の話では出てきませんでしたが、『インセプション』には後2人キーパーソンがいます。それはターゲットであるロバート、そしてコブの妻であるモルです。

モルは序盤から夢の中で登場し度々コブの邪魔をしてきますが、実はモルが亡くなっていることが途中でわかります。今までのモルはコブの潜在意識の投影、つまりコブの頭の中の存在だったことがわかります。

任務が始まる前にコブはアリアドネに夢の中で記憶を再現しすぎてはならない、現実と夢の区別ができなくなると警告します。しかしコブは定期的に夢の中で過去を作り出し、モルに会っていました。

任務が始まってすぐにコブの過去の記憶が夢に再現されて(車に列車が突っ込んでくる)計画に誤算が生じます。そこでコブはモルとの過去を話します。

昔にコブはモルと50年間夢のより深いところで暮らしていました。しかし夢が深ければ深いほど現実の時間が遅くなることを知らなかったので現実に戻った時には一晩しか経っていませんでした。そのギャップによりモルは夢と現実の区別がつかなくなり、「夢で死ぬと現実に戻れる」というルールから現実で自殺してしまいます。
ここの話だけではまだコブは全てを話していません。

終盤で虚無に潜り、モルと話をしますが、ここでコブが何の罪悪感に囚われていたのかが判明します。それは自分がモルにインセプションをしてしまったことでモルが自殺してしまったことでした。モルは夢の中でずっと過ごし、現実に戻ることを拒んで夢に囚われていました。だからコブはモルの夢に潜入して「ここは現実ではない」というアイデアを植え付けました。
しかしそのアイデアが現実でもモルの中に残ってしまいました。モルの中に一度現実ではないというアイデアが芽生えてしまい、その考えは簡単には変わりませんでした。

この虚無でモルはコブに一緒に夢に残ろうと言います。しかしコブは「モルはもう存在しない。君はモルの影でしかない。」と言います。
コブは自分のせいで自殺してしまったモルと向き合いますが、それはつまり自分と向き合うことでもありました。
モルはコブを襲いますが一緒にいたアリアドネが銃でモルを撃ちます。

モルは死ぬ前にコブに「プロポーズを覚えてる? 一緒に年を取ろうって」とコブに言います。コブは「取っただろう 忘れたのか?君を失うなんて耐えられない でも一緒にいられた もういいだろ もう十分だ」と言いモルと夢に残るより現実に戻ることを選びました。
ここでモルは死にますが、撃たれて死んだのではなく、コブがモル(自分の過去)と向き合うことでモルが消失したと考えています。


ここまで長くなりましたがこれがコブとモルにあった過去とモルの最期です。
今見てきたようにコブは夢の深いところ、つまり深層心理に潜るにつれて少しずつ自分の過去を打ち明け、自分や過去と向き合ってきました。
夢の第一階層ではアリアドネにモルとの過去を打ち明けることで心に少し変化が起き、第三階層ではモルに邪魔をされましたが最後の第四階層(虚無)でモルの死を受け入れて自分の罪悪感やトラウマと共に現実に戻りました。

まとめ

夢の中では現実のことを忘れて自分たちの世界を作り上げることができます。
しかしコブはモルのように真実(夢ではなく現実ということ)を忘れ去って夢の中で永遠に過ごすよりも、いつか最期がくる現実を選びました。
現実を忘れて終わりのない時間の中で愛しあうことより、一緒に過ごした時間を忘れずに起こってしまったことを受け入れながらも生きる、つまり過去という時間と向き合い前に進んでいくことが大事だと『インセプション』は伝えたいのだと思います。

さいごに

先ほどラストシーンについてノーラン監督が「大事なのはコブがもうトーテムを見ていなくて目の前の子供を見ていること。夢か現実かはどうでもよくて目の前に映ることが大事なんだよ」と言っていたと話しました。
ここでも言っているように目の前のことが大事なんです。起こってしまったことは仕方ないのでその後どうするか、どう過去と向き合うかが大事なんだと思います。

人間って一人一人失敗や後悔が絶対あると思うんですよね。でもそれを変えることができない。だから今からどうするかを考えるのが重要だと思います。
わたしもアルバイトなどでミスをしてしまってもすぐにそのミスについて考えてるのではなく、ミスは仕方ないから今何をやるべきかを考えます。反省は後からゆっくりできますしね笑

ただでさえ壮大なSFスパイ映画なのに人間の愛についても考えさせられる物語を作るノーラン監督恐るべしです。
本当に大好きな映画を記念すべき1本目に投稿できて良かったです笑

長くなりましたがここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
拙い文章ではありましたが、気に入っていただけたら良いねやフォローよろしくお願いします。
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また次の映画でお会いしましょう!

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