風の吹き抜ける場所へ
あの頃の自分と記憶を探しに
あの頃の本当の笑顔を探しに
私の幼少期に過ごした場所へ
通学路
住んでいたアパート
神社
その場所に行って景色を見ることで
たくさんの記憶が蘇ってきました
・通学路
何年も通った道
何十年ぶりに歩いてみた
こんなに手すりが低かったんだな
大人が通ればあっという間の道でさ
子供の頃は長く感じて
退屈な道をどれだけ楽しく過ごすかってさ
拾った木の棒でカンカンッと叩きながら歩いたり
下をのぞけばデッカい青虫がいたりして、毎日通るたびにその場所をのぞいて確認してたっけな
橋を歩くと穴があってさ
のぞくと下に流れる川が見えて!
ここからよく小石を落として川に落ちるまでをずっと見て楽しんだりしてさ!懐かし!!
この写真でも見える山
私は幼少期に
山の向こうは海外だと思っていた
あの山の向こうはアメリカ
あの山の向こうはエジプト
親は笑ってたけど…山の向こうには、自分の知らない異国の地があると本気で信じていた
あの山を越えるなんて…
いったい何日かかるんだろうかと…
それだけあの頃の私には遥か遠くに感じていたんだ
世界を大きく感じていたんだ
・住んでいたアパート
たくさんの遊びをした
三輪車を漕いだり
兄とキャッチボールをしたり
後ろには道路と家があるのに、兄が本気で投げてくるからもう必死でキャッチしたり、ぶつけて怒られたり逃げたりして
この植物たちの配置からなにから当時のまま
もうここに全部が詰まってるなぁって感じ
この木のこぶの位置からなにから当時のまま
ずっとずっとそばで見守ってくれてた
涙が溢れた
大家さんからしたらさ、綺麗に整えてる場所なんだろうけどさ、そりゃ登りたくなるし入りたくなるし
子供にとって最高の場所なわけで
こんなのあったら冒険ごっこしたくなるよ
なんだろ…子供の頃はさ、高いところ登れたらかっこいいっていう謎の遊びあってさ
よく理解してないけど神様(゚∀゚)?
ぐらいにしか思ってなかった小さな祠も
家の引き出しあさって、1円玉とか見つけたらこの祠に入れたりしてさ
わたしこのアパートにね
高校途中まで住んでたんですよ
幼少期からの酸いも甘いも…
わたしのすべてがここに詰まってるんだなぁ
思い出の記憶を景色を見ながら考えていると…
後ろからガサゴソ物音が…
振り返ると、見覚えのある人
大家さんがいた
ざっと15年…もっとか…くらいだろうか…
歳をとっていたが面影がありすぐにわかった
大家さんには幼少期にとてもよくしてもらっていて
お風呂に入れてもらったり、親が仕事から帰ってくるまで大家さんの家でよく遊んでいた
水「あの〜すみません」
大家さん「はい?」
水「えっと…昔ここに住んでいてお世話になりました…水というものなんですけれども…わかりますか?」
眼鏡とマスクを外して、素顔を見せる…
わたしの顔をのぞくようにじっと見つめる大家さん
大家さん「…あぁっ!水ちゃん!?えぇ〜!うんうん面影あるある!え〜こんなに大人になっちゃって!今日はどうしたの??」
水「小さい頃を思い出しにたまに来るんですよ!」
大家さん「そうだったの〜!ちょっと待ってて!せっかくだからあがってきなよ!!」
水「えぇ!!いいんですか!?」
大家さん「いま家を建て直してるところだからさ、アパートの一室借りてるのよ!あっ!!水ちゃんが住んでた部屋だよ〜!」
まさか…こんなことになろうとは思いもしなかった
幼少期に住んでいた部屋に入れるなんて…
中に入れてもらうと
内装は当時と変わらずそのまんまだった
あまりの懐かしさに感動して涙が出てきてしまった
大家さん「なに?w感動してんの?w」
水「すみませんあまりにも懐かしくて…」
コーヒーとお菓子を出してくれて
お互いのいままでの経緯や昔話に花を咲かせて
語り明かした
怖くてトイレは扉を開けたまましていた
幼稚園の時が反抗期で親には苦労をかけた
押し入れをベッドにして2段ベッドだと喜んでいた
夏は外より部屋の中が暑くて、クーラーもない中を扇風機ひとつでなんとか過ごした
勉強が苦手で…できなくて眠くなってるわたしを父さんは怒って、抱き抱えられて外に3回くらい出されたことあった…鍵も閉められちゃってさ
家出をする勇気もなくて…勉強ができない自分が悪いんだと…父さんを嫌がる勇気もなくて…ただその場で小さく座って、どうにもできない情けない自分に泣くことしかできなかった
しばらくすると母さんが家に入れてくれてさ
数えきれないほどの思い出がある
こう言っちゃあれだけど
狭いんですよ!!w
こんなところにね!家族5人です!
高校になってもね、自分の部屋なんかなくてね
思春期なんかいかに親の目を盗んでやっ…っていうのは置いといて…
寝る時なんか布団敷いて家族みんなで「川」の字
寝室なんてないからさ、空いてるスペースに布団敷いて寝たりして
もちろん、ビンボーだ!って思うこともあった
おかずひとつで、ふざけんな!って時もあった
でもね
こういう生活があったからこそ
いまだに兄弟・家族全員は友達のように仲がいいし
ソーセージを薄く切ってカリカリに焼いたやつあれば飯はいくらでも食えるなと感じる
当時の記憶を鮮明に思い出せばいまはわかる
家が狭いこと自体なにも悪くない
おかずがひとつしかないことはなにも悪くない
ただ
「わたしが自分で悪くしていた」
ということ
水「ここまでこれたのも、大家さんに小さい頃たくさんお世話になったおかげです。本当にありがとうございました。」
大家さん「楽しい時間をありがとう。またおいで!今度は家族みんな連れてきな!」
こうして、アパートを後にした
・神社
アパートから見えるすぐそばに
熱田神社がある
御祭神は日本武尊、天照大神、倉稲魂命(ウカノミタマノミコト)、天日穂大神(アメノヒボコノオオカミ)、弟橘姫命(オトタチバナヒメノミコト)
子供の頃は神社での良し悪しなんてわかってなくて
ここで水をたくさん出して溢れさせて、水で流れていく葉っぱを見て楽しんだり、葉っぱで作った船を浮かべて競争して遊んだり…めちゃくちゃ楽しかった
昔は公園になってて、滑り台と鉄棒があった
缶けりをして、鬼ごっこをして、かくれんぼをして
集まって遊ぶのは必ずこの場所
夢中になってどんぐりを集めたり、落ち葉を1箇所に集めて飛び込んだりして遊んだな
汚いからやめなさい!なんてなかった
手も顔も服もたくさん汚して、家に帰ったらすぐにお風呂に…その繰り返しだった
神社=神様がいる
足を引っ掛けて一生懸命登って
この上にはいったいなにがあるんだと
神様を見れるんじゃないかと
うまく登れなくて…登れても力尽きてほんの少ししかのぞけなくて…ワクワクする気持ちが止まらなかった
ここはほんとはサラサラした砂になっててさ
ここの下にアリジゴクの巣がたくさんあって
小さな木の枝を拾って、巣の中に刺してクルクルかき回すとアリジゴクが巣から出てくるんだ
ありくいむ〜し〜で〜てこい♪
ありくいむ〜し〜で〜てこい♪
そう歌いながらクルクルまわす
知ってる人いるかな?これ誰に教えてもらったんだろ…母さんかな…
まだハッキリとしないんだけど…記憶ではこの狭いところに2人で入って…こうすると出てくるんだよ!って、歌いながら教えてあげてた…
あの男の子は…
夕日の光を浴びた
優しい風が落ち葉と共に吹き抜ける
深呼吸をした
あの匂いがする…
目の前にあの頃の自分を呼んで
声に出して話した
もう一度、深呼吸をした
帰ろう
ジャリ…ん?
ふと足元を足元を見るとキラキラ光るものが
誰かが落としたのかな?綺麗だった
穴が空いてないな…ブレスレット用じゃないのかなぁ
汚れてたから手水で綺麗にして、どうしていいかわかんないからわかるところに飛ばないように置いて合掌してその場を後にした
うん…やっぱりその場所に行くと
記憶はすごく鮮明に蘇ってくる
ちゃんと会えた
全部を許して
優しく抱きしめてきた
全部抱きしめて 君と歩いてゆこう
君が泣くのなら 君の涙まで
全部抱きしめて 君と歩いてゆこう
君が笑うなら 君の笑顔まで
もちろん今日で終わりじゃない
何度も通って、脳を少しずつわたしのペースで騙していって…
このマトリックスの世界を楽しもうではないか
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