【和食ランゲージ通信Vol.17】制約が生む創造性
日本の料理には、歴史的に多くの制限が課せられていました。その最たるものが奈良時代以降、約一二〇〇年にも渡って続いた肉食の禁忌です。中でも仏教の修行僧の食事として発達した精進料理では、殺生戒に従って獣肉はもちろん、魚介や鳥類を食することも禁じられていました。そのため豆、芋、野菜などの食材を濃い味付けで調理したり、油であげたりすることで、体力の消耗が激しい武士でも美味しく満足できる、洗練された料理が完成しました。肉などを使わない代わりに、豆腐や麸を油であげるなどして肉に似せた触感を実現する「もどき料理」が発達したのも、こうした背景があってのことです。
他にも、流通していた砂糖の大半が輸入品のため高価だった江戸時代、それに代わる甘味料として干し柿や干し芋の粉、また甘酒の製法を応用して完成した水飴を発見しました。こうした「本物に似せる」精神は現代にも引き継がれ、本物の触感や風味を再現しながらも、経済性や健康の面からオリジナルの弱点を補ったものをつくる加工食品の技術にも長けています。
制約が生む創造性
和食ランゲージNo.18
和食は、使用できる食材や道具に制限がある中でも、創造的に対処する技術を持っています。
おすずの一言
次回もお楽しみに!
★「和食ランゲージ」商品情報★
■ 和食ランゲージカードについて
和食の特徴を47枚のカードにまとめたクリエイティブツール。各カードでは、イラストと簡単な説明によって、和食の特徴を一つずつ紹介しています。献立のアイデア出しや、和食の理解を深めるワークショップに最適です。ワークショップの手順を紹介する「遊び方カード」もついているので、誰でも簡単に使えます。
■ 冊子『和食ランゲージー和食を織りなす47の言葉』について
『和食ランゲージ』を織りなす47個の各アイデアを、その歴史的背景とともにじっくり紹介した書籍です。読み物としても十分に楽しめる冊子版は、奥深い和食文化についてしっかりと知りたい・身につけたい方に最適です。カード版よりも、一歩踏み込んで和食の世界観に触れることができます。
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