【和食ランゲージ通信Vol.10】出汁のうまみ
西洋や他のアジア諸国のように獣肉の脂やタンパク質、また刺激的なスパイス類を歴史的にあまり使用しなかった日本では、鰹節、昆布、煮干し、椎茸などの食材から引く、洗練された独自の味わいが発達しました。中でも和食の出汁の基本となる昆布と鰹節を合わせる出汁は本膳料理や懐石料理とともに発達し、室町時代以降に文化として広まったとされます。
日本の出汁には、他の食材の風味の邪魔をせずに味わいを引き立てる力があります。出汁のうまみが加わることで、野菜や海産物を中心とした淡白な食材でも、美味しく味わうことができます。
出汁の引き方にも日本人の粋と繊細さが表れています。野菜や獣骨を長時間かけて煮出す西洋料理とは対照的に、日本の出汁は短時間で引き終えます。鰹節はほんの一瞬しか煮立たせませんが、その時点でうまみの九割ほどが抽出されます。逆にそれ以上煮込んでしまうと、えぐ味が出てしまうため、この時点で火を止めます。うまみを最大限引き出しつつ、余分な雑味はなるべく避ける、繊細で粋な日本人の技術と感覚が垣間見れます。
出汁の活用方法は幅広く、具材と味噌や酒を加えて味噌汁やすまし汁として楽しむことはもちろん、一つの調味料としても使用します。味付けが濃くなってしまった際や、味に物足りなさがある際、塩味のない出汁を加えることで味のバランスを調整したり、味に深みを加えたりすることができます。また出汁に醤油や味醂などで味付けをした「割り下」は鍋物や丼物など多くの料理の下味として使われます。
出汁のうまみ
和食ランゲージNo.7
「出汁」のうまみは、和食の味わいを支える基礎です。
おすずの一言
次回もお楽しみに!
★「和食ランゲージ」商品情報★
■ 和食ランゲージカードについて
和食の特徴を47枚のカードにまとめたクリエイティブツール。各カードでは、イラストと簡単な説明によって、和食の特徴を一つずつ紹介しています。献立のアイデア出しや、和食の理解を深めるワークショップに最適です。ワークショップの手順を紹介する「遊び方カード」もついているので、誰でも簡単に使えます。
■ 冊子『和食ランゲージー和食を織りなす47の言葉』について
『和食ランゲージ』を織りなす47個の各アイデアを、その歴史的背景とともにじっくり紹介した書籍です。読み物としても十分に楽しめる冊子版は、奥深い和食文化についてしっかりと知りたい・身につけたい方に最適です。カード版よりも、一歩踏み込んで和食の世界観に触れることができます。
■冊子・カードのご購入はこちらから
コークッキング official BASE
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?