賽子の目
自分の人生が全く進んでいない時、人と話すのが怖い。
その人と喋っているようで、実際は自分の怠惰を眼前に突きつけられているだけでしかないから、怖い。
ある人と打ち合わせをして、終わったのが16時前。
ご飯を食べていなかったので遅めの昼食にする。丸亀製麺を選んだ。僕が生まれ育った岡山は、うどんに関して香川の植民地と言って差し支えない。当然店舗数やクオリティはあちらに及ばないが、なかなかどうしてこちらのお店もちゃんとしている方だと思う。というか、これは大阪や東京に住んでみて気づいたのだけども。
結局は香川で修行していたり暖簾分けをしていたりと、岡山のうどん屋さんもちゃんとした素養があるケースが多いからなのだろう。瀬戸大橋を渡れば気軽に香川にうどんを食べに行けてしまうため(私の家でもよくそうしていた)全国的に見ても岡山県民はうどんの舌が肥えている方ではないかと思う。
丸亀製麺は香川県民に悪しく言われる代表のチェーンうどんだが、東京で食べられる中では十分美味しい方だと思う。価格面でも相当頑張っているし。僕の好物はなんと言っても半熟玉子天なのだが、以前この店舗に来た際に置いてなかったので、なんとなくそれに近しい釜玉うどんを頼む。2秒後に視線を先へやると半熟玉子天130円。あるんかい。前は夜遅かったから品切れだったのか。
結局それはそれとして半熟玉子天も取り、ダブル玉子を満喫することにした。これに加え、カロリー爆弾もとい野菜かき揚げを取る。この天ぷら、恐らくあと7〜8年以内に身体が受け付けなくなると思うので、最近あえて選ぶようにしている。
この店舗は混んでない時間帯なら4人掛け想定の席を独占できるのが気に入っている。久々の「讃岐うどん」を堪能できて嬉しかった。
街へ出たので、ついでに本屋へ行く。
大阪にせよ東京にせよそうだが、それなりの規模の駅の最寄りには大きな本屋が大抵あるから嬉しい。
今日はハードカバーの小説を2冊買った。
4000円近くする。
高い。
でもそれがいい。どちらも出たての新刊だから仕方ないし、各冊2000円弱を払っているという事実が僕を読書に追い込む。
最近の本屋はセルフレジもあるけど、カバーはやはり店員さんにかけてほしいのでカウンターに並んでしまう。ごめんなさい。
そして包装は手持ち部分が無い紙袋タイプをあえて選ぶ。何種類かあるうちから選べて、これならタダ。でも数円をケチるより、手提げタイプを選ぶ方が絶対取り回しが良い。
なのになぜこのタイプを選ぶかと言えば、小さい頃急に親父が買ってきてくれた「かいけつゾロリ」はこの紙袋に入っていた気がするし、入院中にフルネームも知らない親戚のおばちゃんが買ってきてくれた「ぼくらの七日間戦争」はやはりこの紙袋に入っていた気がするからだ。事実はこの際どうでも良い。
自宅近くの駅に帰ってくる。まだ時間がある。わざわざDMを投函してくれた電気屋は、今日までならその系列で使えるポイントor景品(レンジとかでも使えるタイプの皿だった)を、買い物の時にハガキと交換してくれるらしい。
歩いて向かい、最近壊れたムダ毛を剃るシェーバーの代替機を買うがてら、ポイントの方をもらう。ついでにゲームソフトを買おうかと悩んでやめる。
我ながらどうせ大した額でもないし、どうせ死ぬんだからゲームの1,2本買っておけばいいのにと思う。こうやって思っているので近々買うのかもしれない。それか先に死ぬかもしれない。
近くのドラッグストアで破格の酒とカットされてるタイプのサラダチキン、千切りキャベツを買って帰宅する。家に残っていた期限切れの豆腐とそれらを合わせて、晩飯兼つまみとする。
やがて酒が足りなくなる。洗濯機を回してから
近くの店に行く。本は疲れて読めなくなるだろう、映画やドラマに移るならこれだ!と思いプライベートブランドのポップコーンを買う。
結果、酒とポップコーンで小説がグイグイすすむ。やはり大抵自分の思うようにはならない。
そんなわけで2024年9月30日、役者鷲田遼平はフリーになりました。引き続きよろしくお願いします。