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この先文化観光とキャラクター・コンテンツ企画が重要になる理由を聞かれた記録

一つ前の記事とリンクしていますが、雑談は続いたので…

なんで弊社(ことほむ合同会社)が文化観光とキャラクターのデザインにこだわっているか? という投げかけに対して。
※前提が長いです。

そもそも、ことほむ って何をやっているの?

文化観光のサポート業務として、弊社はプロデュースとディレクションを行っています。
これは広告戦略やブランディングを始める前に、まず何を目指すのか、どんなことが必要なのかをはっきりさせる作業です。
更新がしやすいウェブサイトやECカートシステムなどを作るときに、どんな機能が必要かを決める『要件定義』と同じです。
(ウェブサイトを作る時、一度くらいは聞いたことがないでしょうか?)

具体的には、地域文化や文化財がどんな人に興味を持ってもらえるのか、どんな人にアピールしたいのか、どんなメッセージを伝えたいのか、どんな方法で伝えるのが一番効果的かを一緒に考え、情報をまとめる作業です。
ワークショップやフィールド・ワークなども挟みながら、この段階でしっかりと計画を立てることで、ターゲットが明確になり、後の広告やブランディングがスムーズに進み、効果的な結果を得ることができます。

ツアー会社と観光協会(DMO)、地域大学と連携して業務を行うケースが殆どですが、着地型ツアーを考えることも多いので、実はもっと繋がれるのでは? と思っています。(なかなか接点がなくて広がらないですが…)

今更前段階の準備って必要なの?

観光資源の情報は過去から大量に出回っています。
しかし、同じ情報でもターゲットが変われば表現も変わります。
また新たなにアップデートされた歴史情報などもあります。
過去の情報は、多くの先人観光客によって消費され、傷んでいる(飽きられている)ことが少なくありません。

たとえば、「関ヶ原の戦いで東軍が攻め込んだことで有名な〜」のような表現は、「あ〜、はいはい」で流されてしまい、興味の対象にすらならない場合があります。これは価値の消失につながっています。
これらの傷んだ価値は適切に修復し、再価値化(リブランディング)する必要があります。

特に人の興味の対象は時代や世代とともに変わっていきます。現在はインバウンドという過去の情報すら知らなかった海外の人が来ているので、有名観光地は表面上潤っているように見えますが、国内よりも遥かに遠い場所から移動してくる彼らは、より自分の旅のテーマに沿った情報があれば、すぐにそちらへ向かうようになります。
もちろん、国内旅行者にもその傾向は見えています。
そのため需要を把握し、それに応じた新しい情報や体験を提供することが求められます。
過去の情報のままでは、これらの常用に対応できないことが明らかなため、もう一度棚卸しをして上げる必要性が出てきています。

同じ観点から見られるものは飽きられる(価値の消費)

そもそもプロデュースやディレクションって何?

一般的に言われていることとして、観光地の魅力を最大限に引き出すためには、計画的なプロデュースとディレクションが不可欠です。
これにより観光資源を効果的に活用し、観光客にとって魅力的な体験を提供することができます。
プロデュースとディレクションは、観光地のストーリーを作り上げ、観光客に強い印象を与えるために必要で、どのようなテーマに力を入れるのかを指南するのがプロデュース。そのテーマを実際にプロモーションや観光商品などに落とし込み、制作していく指揮がディレクションです。

ちなみに、文化観光でプロデュースとディレクションを行うためのスキルをまとめてみました。

  • 企画力:テーマやコンセプトを考え出す力。

  • 調整力:プロジェクト全体を管理し、様々な人がスムーズに連携できるようにする力。

  • コミュニケーション能力:人とのコミュニケーションもそうですが、フィールド・ワークから過去の痕跡を見つけ、当時の人の意志を汲み取る力。

  • クリエイティブな発想:持っている知識と知見から一つの事象、痕跡を元にストーリーを広げられる力。

  • マーケティング知識:ターゲット層に効果的にアピールするための知識。

自前でこれをやろうとしても、なかなか難しいです。
弊社の強みは、歴史調査や過去の社会常識、風俗・風習、宗教学的知見を活かしたスキル展開に加え、サブカル方面の暗黙知を活用できるクリエイティブ力です。
これにより地域の文化や歴史を、小さな痕跡から深く理解し、それを基にした魅力的なストーリーへ転化させることができます。
最終的に見える形は文章がメインになるので、なかなか理解しづらい作業なのですが、ここができていないと、写真やイラストなど、ビジュアルへ転用することは難しいのです。

時代が変わった→消費世代が変わった

いよいよスマホが生まれたときからあって、小中学校とスマホを使って育ってきたZ世代が消費者層に入ってきました。
彼らは物に対する価値よりも、体験やストーリーを重視する傾向があります。これは金額ではなく、「時間」に対する価値をより重視していることになります。(コスパではなく、タイパの所以)
彼らにとって、時間は何よりも大切です。そのため、自らの興味の対象とならないものには、大切な時間を割くことがありません。
戦略やブランディングの前に観光資源の棚卸しが必要と言っているのは、大きなターゲットにZ世代が入っているからで、時間が経過すればするほど、彼らは消費の中心に移ってきます。

彼らの限られた可処分時間を割いてでも体験したい、行ってみたいと思わせるためには、観光の競合相手がゲームやオンラインコンテンツ、デジタルコンテンツになっていることを理解する必要があります。

これらを行うときの費用はどのくらい必要なの?

弊社の作業は、よほどの例外を除けば広告費に該当します。
広告費のうち、年間予算の20%から30%をプロデュースやディレクションに割り当てることが適正と云われています。弊社の作業は、単年度よりも連続して数年間は継続することをオススメしています。
PDCAを回し、補正をしながらデータを取得する必要があるからです。
そうすることで、テーマを増やしながら、質の高い情報発信とプロモーションが可能となり、Z世代やインバウンド観光客の興味を引き、情報を定期的にアップデートすることでリピーターを増やし、地域のファンを作るために必要だからです。
具体的な割合は、プロジェクトの規模や目的によって異なりますが、プロデュースとディレクションに十分な予算を確保することで、成功の可能性が高まることは間違いありません。

前提からの ことほむ への質問と答え(雑談記録)

  1. 文化観光にこだわる理由は何?

    • 地域の文化や歴史を活用することは、グローバル化やコモディティ化が進む現代において、その地域ならではの独自の価値を際立たせるための重要な要素です。そういうところから地域の魅力を最大限に引き出すことで、そこだけで手に入る体験や、何らかのグッズ、コラボレーション企画ができる企業が増えたら楽しいじゃないですか。

  2. 文化観光とキャラクターデザインの関係性は?

    • 文化観光と言っていますが、その実態は「お話」。つまりストーリーです。であるなら「語り部」は必要ですよね? また登場人物も必要になるわけなので、キャラクターは自然とセットになってます。

  3. キャラクターデザインの特徴は何?

    • 歴史上の人物というか、フィールド・ワークで見つけた痕跡を作った人や現象、概念などを擬人化しています。
      そのほうがキャラが立ちやすいし、伝えたいのはバックストーリーとなる痕跡から膨らんだストーリーそのものなので。

  4. キャラクターの役割は何?

    • 役者さんの場合でもイラストの場合でも、キャラクターの役割はストーリーテラーです。またガイドの役割を担う場合もあります。
      イラスト系のキャラクターの場合、アプリ化やゲーム、メタバース空間などでも活躍しやすいですし、言いにくいことを伝えやすい役割も持たせられます。
      キャラクターは、グッズ化を通していろいろな展開が考えられます。
      もちろん、プロモーションにも参加してもらうことで、アイコン的な役割も担ってもらえます。
      要するに…便利に使えるマルチツールみたいなものですね。

  5. 文化観光の未来像は見えていますか

    • ARと会話型AIが普及することがもう見えているので、それこそ興味の対象をAIガイドがスマホを通して教えてくれたり、ARで痕跡をピックアップしたり、過去の姿をARで再現したり、その地域をベースにした自らがクリエイトしたVR ワールドとアバターキャラクターで遊ぶ空間を作ったりする未来が見えています。
      何かをサービスとして用意してするだけではなく、n次創作に役立つストーリー情報やデジタル(バーチャル)素材、キャラクターを提供できる地域ほど高価値になっていくと考えてます。

  6. キャラクターデザインを通じて伝えたいメッセージは何?

    • キャラクターは先に書いたようにマルチツールです。
      基本は「楽しいこと」をバーチャルで手伝ってくれる存在です。
      そして、タイパが悪くならないように寄り添ってくれる存在でもありますから、地域文化は他になく楽しんでもらえる最高のコンテンツ材料であり、コンテンツそのものであることを伝えたいです。

  7. 文化観光プロジェクトでの成功事例はある?

    • 文化庁が方針を発表してからまだ数年しか経っておらず、こうした情報整備もまだまだこれからなので、事例そのものが少ないことが現状ですし、成功の姿が確定していない以上、法則が存在していません。
      また観光庁との連携もまだ完全ではないですので、未来志向で考える地域がこれから事例を作っていくことを期待しています。

  8. ことほむ が文化観光とキャラクターデザインにこだわることで得られるメリットは何ですか?

    • やっていて「楽しい」という一言に尽きます。(笑)

  9. 今後の展望は?

    • コラボレーションを多くやっていきたいです。
      楽しくワイワイと進められるようなプロジェクトを目指してます。
      結果的に想定以上に儲かれば嬉しいな…くらいのノリでないと、続かいないと考えていますので。

文化観光が観光業界以外にもたらすメリット

今までのことから…。
文化観光とは、地域の文化や歴史を観光資源として活用し、観光客に深い理解と感動を提供することを目指すものです。
簡単に言えば、ファンづくりです。
これにより、地域の持つ価値を最大限に引き出し、その地域ならではの独自性を際立たせることができます。
Google検索で上位を狙うという考え方がここ数十年続いてきましたので、独自性を際立たせる重要性は理解しやすいのではないでしょうか?

そしてキャラクターデザインは、この独自性を伝える際のストーリーテラーとして、さらに地域文化を魅力的に伝えるための重要な要素です。
キャラクターを通じて文化や歴史を親しみやすく伝えることで、ユニークな体験を提供し、地域ブランドを強化することができます。

例えば、〇〇産の〇〇に加えて、江戸期に〇〇さんが強化した信仰と、〇〇を願って作られた〇〇が、地域の独特な技術を生み出し、この土地ならではの考え方に基づいて、現代の考え方で再アレンジした製品。これを使うことで、〇〇を体験することができます。

〇〇を自分の地域のものに当てはめてみるとイメージしやすいかもしれません。この〇〇の部分を深堀りしていくことが、重要な要素となっています。


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