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職場の人間関係の悩み~とても多い相談です

本日は、職場の人間関係の悩みについて、どういう風に対処していけばいいのか、ということを精神科医目線でお話しします。

こんな話お前にできるの?と思われそうですけど、カウンセリングの中でよく扱うテーマなんです。

精神科の僕みたいな駅前のメンタルクリニックだと職場の悩みがほとんどです。

6割以上は職場の悩みじゃないかなと思います。

残りは家族の悩み、夫婦間の問題、子育ての問題が多いんですけど、職場の人間関係の悩みというのはよく聞かれる悩みかなと思います。

そもそも会社とはどういうものなのか。

どうしてこういう人間関係の悩みが出てくるのかということを考えるためには俯瞰的に考えてあげた方がいいです。

上から見ていくと、そもそも会社って何?という話です。️


◾️会社とは?

会社とは何かというと「資本主義の下では」と付きますよ。

ややこしいですね。

資本主義が行き過ぎている会社と資本主義がなかった時代、共産主義を中心とした会社はまたちょっと意味が違うので、資本主義の下で、と言いますけど、基本的には現代社会、現代のお金を追求する組織です、会社というのは。

お金を追求することが正しいと言われてる社会の下では、会社というのは何なのかというと、ある目的のために集まった集団、主にお金を儲ける経済的な機能を中心として、+α色々な目的のために集まった集団です、会社というのは。

人間の集団である、と。

生まれたときに、その土地で生まれたから、生まれた場所がそこだったら、何となくそこの組織に所属してた、そういう場所ではないということです。

ある目的に基づいた集団である、と。

ひとりひとりは分担された機能を持つということなんです。

だから基本的に会社というのは良くも悪くも歯車なんです。

会社から見てみると社長も含めて全ての人間というのは歯車でしかないんです。

歯車なんだよということです。

そんなの酷いじゃないか、それは良くないだろう、というのはマルクスが言ったりして、色々な人が言ってるんですけど、酷いんですよ。

こんなの良くないだろうと思うんだけど、そうなんだよね。

まだマシという。

資本主義で、民主主義で、そういう中で生産するというのは、他の集団よりはまだマシなだけであって、まだマシかもしれないけれども酷いところはあるよね、ということなんです。

だから歯車なんです。そして経済的な意味、文化的な意味、幸福の追求など、様々な機能を会社は担います。

1日の大半、人生の大半を労働に費やすんです、人間というのは、原則。

会社に属する人がほとんどなので、会社というのは人生のほとんどを支配するものなんですけれども、人生のほとんどを支配するからこそ、経済的な理由だけじゃなくて、幸福感、その人のアイデンティティの問題、あと文化的、というのはそのカルチャーですね、その集団が持っている価値観、例えばグーグルだったらグーグルらしい価値観、YouTubeだったらYouTubeの価値観というのがありますよね、クリエイターが自由に発信できる価値観とか。

その価値観を追求する組織であるというのは、お金をもらうことだけじゃなくて、私たちはその一員なんだというひとつの価値観を提供してるわけです。

精神科医だったら患者さんを診てお金が儲かるというだけじゃなくて、ウチの診療所にしても、YouTubeにしても、やはりこういう生まれながらに持つ不平等について明らかにしていき、福祉として補っていく、知識で助けていくということが大事だと思うし、区別はしても差別はしない、というか。

あとは科学の名の下に隠蔽しない、甘えなんだという形でいじめに発展させない、仕方がないんだということを伝えていく、そういう価値観も担うんですけど、そういうものだ、と。

そういう色々な要素があるんですね、会社というのは。

ここも面白いんですけど、あまりにも複雑なので誰も把握できずにその役割を忘れてる、ということなんですね。

これね、面白い。

これが集団の持ってる本質でもあるんです。

僕もそうだけどなぜやってるのかよくわからなくなってくる。

目先のことはわかるよ、YouTubeをちゃんと撮る、毎日発信する、より良いコンテンツを作る、正しいコンテンツを作る、再生回数を稼ぐ、広告収入を適切に分配してみんなの給料を出す、給料を増やしてあげる、色々あるんだけれども、

あれ、そもそも何でやってんだっけ?

あれ、俺は何なんだ?

精神科医で何やってんだっけ?

とよくわからなくなってくる。

僕でさえある。

経営者で、自分で起業してるにもかかわらず、雇われ社長ではなく、自分がゼロから立ち上げたにも関わらず、何だかわからなくなってくるんです。

だから途中から入ってきた人、僕に指示されて働いてる人たちは、もうよくわからなくなってくると思います。

でもこれはそういうものなんです。

会社とはそういうものだし、大きい会社だと特にそうだし、全ての人が全てを把握できないんです。

人類の積み上げてきたものはあまりにも大きくなって複雑になってきているので、今生きている人類は、過去の人類が何を考えてきて何を作ってきたのかを忘れてしまってるし、全てを把握することができないし。

そして作った本人が意図したものでない機能さえ担い始めるというのがまた集団というか組織の面白さというか、ダイナミズムみたいな、ダイナミックな感じ、ダイナミズムだったりするので、これを前提として理解してほしいなと思います、会社というのはこういうもんだと。

◾️トラブルが起きる時

ではどういう時に悩みが起きるのか、トラブルが起きるのかというと、上司が上司としての機能を果たせてない時、部下が部下としての機能を果たせてない時にトラブルが発生するんだという風にまず考えるんです。

こういう複雑な会社の中で、上司は上司としての機能がある、と。

それは分担された機能であり、かつ様々な機能であって、把握できていないんです。

上司は上司役を演じているんだけど、全部を把握しているわけじゃないということです。

でも何となく雰囲気で、空気を見ながら達成してるんだけれども、トラブルが起きた時は達成できてなかったりする。

リーダーとしての上司の機能とは何かというと、例えばリーダーシップをしっかり取る、マネジメントをしっかりする、教育をするということです。

部下はどういうことかというと、指示されたものを実行する、教育を受けるなどの機能があるんですけど、これを果たさなければいけないですね、歯車ですから。

これができてない時にトラブルが発生するよということになります。

難しいね。

️◾️どういう問題か

だんだん具体的になってきましたけど、もうちょっと具体的に言うと、どういう問題かということです。

例えば個人の問題がある時、個人の問題がある時はどういうことかというと、個人の知的能力、IQ的な問題なのか、パーソナリティ・ファンクション、人格的な機能の問題なのか、若い・経験不足などライフステージ上に出てくる問題なのか、ライフステージに関係するような問題なのかがあるなと。

例えば、部下が働き始めたばかりだから、経験がなくてミスをして部下としての機能を果たしてない時もあれば、上司が初めて上司の上司だから機能を果たしてない時もあるし。

部下が計算が追いつかない、処理速度が追いつかないがゆえにIQ的な問題があるがゆえに果たせてない、上司が上司としての知的能力が足りてない時もあるだろうし。

あとパーソナリティ・ファンクション、人格機能が伴ってない、部下が感情的になりすぎてしまう、感情に支配されやすくなってしまう、ストレスに弱い、上司がストレスに弱い、そういうことがあったりします。個人の問題がある時もあれば、外部の問題、例えば家の問題を職場に持ち込んでいる、他の様々な問題、災害があって、そのせいで会社が機能しにくくなってる、何でもいいんですけど、外部の問題であることもあります。

あとは二人の問題です。

個人個人は問題がないんだけれども、この二人の組み合わせの問題として問題が起きてしまう、二人の組み合わせ、この二人の組み合わせだからうまくいかないということもあるだろうし。

集団の狂気、集団が持っている中で病的な集団になっている場合は問題が起きることがあります。

例えばスケープゴート、誰もが責任を取りたくなくて、誰か一人の責任に押し付けたり、
ひとりひとりが自分の責任として考えればいいところを、あいつのせいだ、あいつのせいだと言って最終的にスケープゴート、一人の人間を生贄にするということが起きたりするんです。

そういう場合は組織の問題だったりします。

人間ひとりひとりも色々な人格があって、色々な脳の知識の連合のシステムがあったりして、個人の中でもトラブルが起きたり、葛藤状況が起きたりするように、集団の中でも病的な問題が起きたりするんです。

パーツそれぞれは機能してるんだけど、組み合わされることによって歪みが起きて問題が起きているような状況、それが組織の病だったりします。

時々あります。

ナチスドイツや旧日本軍も集団の狂気の状態だったわけで、そういうこともあったりします。

そこまで暴力的でなくても、会社の中で組織カルチャーが崩れてしまって、ひとりひとりの人間は良い人なんだけれども、集団では愚かな行動をとってるということがよく起きますね、人類の歴史上。

そういうことで人間関係の悩みが起きているのかもしれないと。

こういう風に問題を分類していくと。

️◾️診察でやること

診察の中では、話を聞きながら何が起きているのかをこういう風に考えて、分類して考えていって、あなたのこういう問題からこういうことが起きているのかもね、ということを言い換えてあげるということをします。

何か問題があって、ストレス等が溜まり、うつになったり症状が出てきたりする、もしくは感情的な行動を取ったりする、と。

こういうのを生物心理社会モデルと言うんですけど、何かしらの背景に問題があったりして、こういう問題ができる。

人間関係の問題があった結果、精神的な障害が起きたり何かの異常行動が出るということです。

それは診断の有無に限らず、そういうことです。

合理的な行動が取れない時には、こういうことが背景にあったりします。

この問題やストレス、ただの単純な社会的な問題だけじゃなくて、その人の持っている生まれ持った体質、知的な問題、認知能力、IQの問題、パーソナリティ・ファンクションの問題があったりとかするだろうし、認知の歪み、独特な考え、価値観の問題を抱えていることもあったりするし、色々あります。

問題行動というのが感情的な行動であった場合、それが意識できるものなのか、その行動が感情的な行動なんだけど、それが意識できるものなのか、それとも無意識にやっていることなのか、それは感情的で合理的じゃないという風に指摘されても、本人はピンとこないものなのか、ここら辺も鑑別のポイントかなと思います。

難しいですね、こんな話をすると。

とても抽象的で目に見えないものを扱って難しいんですけど、こういう風に考えるということです。

職場でなぜ問題が起きているのか、それはあの人の性格が悪いとかあの人は嫌なやつだから、私が悪いからだ、私の性格が悪いからだ、何かできないから、そういうことではなくて、そもそも何の集団なの、何の目的なの、そしてどの機能が破綻しているの、という風に順序立てて考えていって、じゃあどこでどういう原因なのかを考えたりすると。

こういう冷静な考え、だからが大事なんです。

人間を人間として見ないというか、人間を動物の一種と見るような感じなんです、精神医学は。

人間を人間として見ずに、ある種の生命体がどういう行動をとっているのか、この集団はどういう習性があるのか、この群れはどんな習性があって、どんな異常行動、病的な行動を引き起こしてしまっているのか。

そういう風に考える。

自分のことも他人事のように考えるというのは、精神科の考え方の基本の一つなんです。

だからこういう風に考えたりするということです。

自分の問題だったり個人の問題というよりは、会社病理全体の問題なのか、二人だけの問題なのか、それとも個人の問題なのかを考えたりするということをしていきますよ、ということでした。

今回は職場の人間関係の悩みというテーマでお話ししました。

◾️本日の宿題

ちょっと抽象的で難しいんですけど、何かこういうことね、会社とはこういうことなんだ、等々気付いたことを教えてもらえたらなと思います。

あとは上司の機能とは何なのか、部下の機能とはどういうものなのか、一緒に考えてもらうといい学びになるのかなと思います。

そういうのをコメント欄で書いてください。

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