【質問】中年の危機、リセット症候群、家庭環境と精神疾患など
質問が届いているので答えていきます。
◾️境界知能の方
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境界知能の方が自殺されたというニュースを見ました。
何ができないという能力の有無に関して聞き取りをされて、それを苦に聞き取り後に自殺されました。
このような場合はどのようにして話を聞くのが良かったのでしょうか。
これは防ぐことのできない事故だったのでしょうか。
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という質問でした。
リンクをいただいているんですけど、古い記事でもうリンク先がなくなっていたので、記憶を辿ってお話します。
確かマンションの自治会みたいな形で、境界知能の人にも自治会業務をしてもらおうということで、でも自分は病気でもあるし、境界知能があってできないんだよ、と口頭で説明したときに、いや、それじゃわからんから紙に書いてこい、と言って自治会から詰められたんですよね。
これができる、これができない、結構赤裸々に追い詰められちゃったんです。
その結果、亡くなるという形です。
臨床の中でもこういうケースはよく聞きます。
境界知能だからできない、発達障害だからできない、家族も周りもわかってるのにPTAをやらされる、PTAで詰められてうつになってしまってる、パニック発作が起きてしまった。
マンション自治会や親戚付き合いの中でもっと頑張らせろみたいなものがあったとか。
それでどうしたらいいんだろうと思って悩んでいる人たちもいます。
じゃあ僕は臨床の中でどう答えてるかというと、いや、精神医学は難しいからわからないんだよ、と僕はいつも言っているんです。
どうしたらわかってくれるのかと言えば、相手はわからないよ、わからないと思うから、こちらから説明するんじゃなくて、あなたじゃなくて別の人から説明してもらう、距離を取る、いっそのこと法的な手段をとる、診断書を出して休んじゃう、そういう言い方をしています。
よく、でも、でも…と患者さんがよく言っていますけど、ここまで来たらもう無理だよ、と言ったりしています。
なぜ僕はそういう風に無理だよと言うかというと、医者が最後だからです。
医者は最後のラインなんです。
看護師さんがいたり、カウンセラーの人がいたり、他の支援者がいて、最後に辿り着くのが医師なわけです。
だから医師が最終決断をしなければいけない時ももちろんあって、閻魔大王様みたいな感じで「もう無理です」と言わないといけないので言います。
そういう時はもうこちらが言ってあげることもあります。
あなたはもうこの人たちと多分仲良くできませんよ、みたいな時も、時には言ってあげる必要があるし、言います。
そういうパターナルなこともやります。
これは心理士さん達にはできない仕事なんです。
偉そうな言い方をすると、保健師さんや心理士さんにはできなくて、やはり医師がやる。
最終責任として、医師が結構強めに言わなければいけない類いの問題というのももちろんあるので、それは法的な義務とかそういうものとはまたちょっと違って、世の中の構造上、最終的には医師が言わなければいけないことがありますから、言うということになります。
境界知能や知的な問題の差がある、と。
それは努力で乗り越えられず、現代の日本人というか、現代の世界の人たちが考えている世界とはこういうものであるというものとは、常識とは相反すると思います。
その常識を疑ってサイエンスで考えるという発想ができる人は少ないので、結果的に追い詰めてしまうということがあります。
それに対して、どうしようもならないよということを医師が最後に言うというのはとても重要ということでしょうかね。
この説明で大丈夫ですかね?
あまりパリッと言えなかった気がしますけど、あります、と。
◾️マインドフルネスをやってはいけない人
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マインドフルネスはしてはいけない人もいますか?
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という質問ですね。
マインドフルネスをしてはいけない人というのはいて、座禅や瞑想をすることで却って調子が悪くなる人もいます。
例えば5分以上できない人、やっても苦しくなるだけの人、フラッシュバックが起きて苦しくなってしまう、そういう人はやらない方がいいし、幻覚妄想状態の人もやらない方がいいです。
うつがひどい人、躁状態がひどい人、そういう病的な体験の中にいる人もやめた方がいいし、強迫性障害が重い人もやらない方がいいです。
とにかく5分、妄想に支配されず冷静に5分耐えれない人は、やはり今やるべき段階ではなくて、座禅ではなくて他の治療手段をメインにした方がいいということになります。
◾️ミッドライフクライシス
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ミッドライフクライシスについて、その原因と生活に基づいた対策法の動画を見たいです。
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中年の危機というやつですね。
中年になるにあたって、そのアイデンティティが変わっていくんです。
社会的役割が変わっていくんです。
10代、20代の時に必要な「自分はこうである」というアイデンティティと、当然40代の時の「自分はこういうものである」というアイデンティティは異なるし、10代、20代の時に求めていた、価値があると思っていたものと、40代になってから価値があると思っていたものが違う。
社会的立場も違うし、周りの人の反応も違う。
そういう変化の中で対応できなかったり、変化の重圧の中でつぶれてしまいうつっぽくなるというのが、ミッドライフクライシスということになります。
単純に言えばそうです。
周りは結婚していて、子どもがいて、それで苦しいという人もいれば、結婚して子育てをしてるんだけど、子どもに病気がある、奥さんと仲が悪い、色々なことがあったりするという感じです。
職場での圧があるとか。
おじさんやおばさんていうのはヘラヘラ生きてて、若い人から見ると食事制限せずに、おしゃれな服を着ずに、怠けているように見えるかもしれないですけど、みんなそれなりに必死に生きているというか。
歳取ったら楽になるよ、と言って、ホントに楽になるのかな?と思っている人は純朴すぎて。
楽にはなりません。
歳を取ったら歳を取ったなりの問題があるということです。
その問題に対して日々解決していかなければいけない、と。
人生とはそういうことなんです。
問題が起きる、解決する、問題が起きる、解決する。
しばらく問題ないなと思ったら時間が早く過ぎる。
また問題が起きる、解決する。
そして寿命がくる。
そして亡くなる、と。
そういうことなので、ただそれだけなんですけど、それがなかなかわかりにくかったりします。
◾️ODしてしまいそう
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最近調子を崩して、4週間後に診察なので次の診察までが長いです。
ODしてしまいそうです。
薬をたくさん持っていると調子が悪くて3週間後にしてほしいのですが、4週で良いと言われてしまいます。
どうしたらいいですか?
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これは、医師にちゃんと言って変えてもらう必要があるし、そうすると、病院が混んでたりすると、いやちょっと無理だよ、と言われたりします。
はい、ということです。
ちゃんと言った上で、その病院の混み具合、その地域の患者さんと医師の割合が不釣り合いだと、そういう融通が利かないこともあったりします。
その場合どうしたらいいのかということですけど、訪問看護を入れる、他の医師以外の人間を入れることで治療を何とか成立させるというやり方をするのかなと思います。
もちろん病状によりますけど。
医師が頻回に診るのか、医師の診察の間に何か別のものを入れるのか、訪問看護を入れるのか、デイケアみたいなものを入れるのか、何かしら別の手段を加えるのか、もしくはやはり入院が必要なのかを検討するということになります。
まず聞いてみて、どの手段を取りうるかということを検討するということです。
ただそれだけですね。
ちょっと相談してみてください。
◾️リセット症候群
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リセット症候群に興味があります。
うつ病がひどい時など、不安な時に色々なもの、データ、連絡先など全部捨ててしまうことが多々あります。
無関係かもしれませんが、自殺未遂をしてしまう前などは日記やアルバムなどの思い出の品を捨ててきてしまったので、卒アルなども何も残っていません。
生きてきた証になりそうなものを気分でポイポイ捨ててしまう癖は、今後も繰り返してしまうものなのでしょうか?
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繰り返してしまうので、リセット症候群という俗称が広まっているということです。
そうしてしまう人がいるということです。
調子を崩したり気分が落ち込むとデータを消してしまったり、そういうもの、大事なものを捨ててしまう人たちが一定数いるよということです。
なぜですか?と言われたらわかりません。
脳科学で解明されてないのでわからないんですけど、どうやらたくさんいるということがわかってるということです。
どうやらうつがひどい時にそういうことをしてしまうらしいので、こういう人にはうつ病の治療をちゃんとしようよということが臨床的にはわかってるということです。
もちろん理屈をつけることは簡単なんですよ。
例えば、身体の調子が悪い時にはゾウは仲間から離れて死ぬ、ネコも離れて死ぬみたいな形で、人間も社会から離れた場所に行こうとしているとか、そういう理屈、屁理屈をつけてあげることは可能ですけれども、サイエンス的にはまだ何もわかってないということになります。
◾️精神疾患と家庭環境
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個人的にメンヘラは子ども時代の家庭環境による人間不信から来ていると考えますが、精神疾患と家庭環境には相関がありますか?
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はい、もちろんあります。
精神疾患の発症と幼少時の家庭環境には相関関係がめちゃくちゃあります。
幼少時の家庭環境が良い悪い、両親の仲が良い悪い、ストレス環境がある、災害被害にあってる、貧困家庭である、そういうものは全部影響します。
家庭環境という目や耳から入ってくる情報だけじゃなくて、子ども時代に飲んだ水、感染症等という意味ですけど、違法薬物、アルコールなどの影響、大麻の影響もあるということがわかっています。
じゃあ精神疾患の発症を減らすため、子ども時代のうつを減らすために、社会的にどういうアプローチが必要なのかということを精神科医、その支援者たちは政治を通じてきちんと社会に訴えかけていかなければいけないということになります。
ということですね。
当たり前と言えば当たり前ですよね。
子どもは病気にならないってわけはなくて、そりゃそうですよね。
同じ種で、野菜でもスイカでもメロンでもいいです、同じ種を植えて育てても、最初に踏まれちゃったりしたら、同じ陽のあたりでも育ち方が悪かったりするじゃないですか。
人間も同じなんですよね。
やはり怪我がないように大事に育ててあげるというのはとても重要です。
限界はありつつも、大事に育ててあげるというのが大事です。
◾️ASDの傾向があると言われた
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初めて心療内科を受診した時に、今の状態や性格などの診断テストみたいなのを受けて、ASDの傾向があると言われました。
専門的な病院に行ってきちんと診てもらった方がいいと思いますか?
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これだけでは判断しかねます。
もちろん、これから手帳を取る、障害年金を取る、そういう社会的な保障を得るためにはきちんと診断された方がいいと思います。
学校の勉強の配慮、合理的な配慮、試験などの合理的な配慮を受けるために、ASDの診断書が必要な場合は、やはり専門的な病院にきちんと診てもらった方がいいです。
そうじゃなくて何となく自分のことを知りたいなということであれば、専門的な病院で治療してもらうのもいいし、今の病院で自分のASDらしさを捉えるような治療、理解を進めるような治療をしていくというのもいいのかなとは思いますけど。
そもそも心理テストも受けたので、診断はしてるということなのかなという気もしますけど、ちょっとわかりません。
主治医に聞いてください、ここら辺は。
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