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リストカットしてしまう人の治療法

本日は、リストカットしてしまう人の治療法、というテーマで、リストカットをして悩んでいる人たちに向けて動画を撮ります。

あと親御さんですね。

自分の子どもが隠れて切っている、太ももの内側を切っている、腕のここら辺を切っていてびっくりした、実はリストカットしていたんだ、ここだとアームカットと言うんですけど、自傷行為をしていた、そういう家族にもまず最初に見てもらいたいなと思う動画です。


◾️リストカットはどうして起きるのか

そもそもリストカットはどうして起きるのかというところからスタートすると、精神科はこういうメカニズムです。

人生の中に何か問題があって、その結果、ストレスや心身の疲労が溜まり、症状が出る。

これを生物心理社会モデルと言うんですけど、わかりやすく言うと、そういう風なことです。

このリストカット、なぜしてしまうのかというと、何かしらのストレスがあるからだと。

そのストレスの根本を考えていかないと、治療は進まないよということになります。

何か問題があってストレスが溜まる。

例えば友達にいじめられてる、その結果リストカットしてしまう。

いじめを解決すればいいのに、なぜリストカットするの?というですよね。

いじめを解決すればいいじゃん、相談すればいいじゃん、なんでそれをしないの?

ということなんですけど、それができない理由というのがありますということです。

例えば、何か問題があっても解決できないんですね。

そういうのをストレスコーピングと言ったりするんですけど、このスキルが足りないんです。

じゃあ何で足りないのかというと、例えばIQの問題、知的な何か問題がある、発達障害も含めて論理的に考えて問題解決しにくいということがあったりするんです。

子どもがまだ小さいうちは、なぜいじめられたかよくわからない、誰に相談したらいいかわからない、知識としてよくわからなかったり、自分が何に困っているのかよくわからないというところもあるし。

問題によっては大人でも結構あるんです。

例えばすごいビックプロジェクトを任されて混乱している、と。

自分では解決できない、問題が難しすぎてわからない時に起きてしまう。

その結果リストカットする、色々あります。

あとパーソナリティファンクションの問題、つまり人格が未熟だということです。

人格的機能が未熟な場合。

人間の心というのは脳なんですね。

脳が起こすもので、脳というのは色々なパラメーターというか能力があって、パラメーター値…

うまく言えてないですね。

色々な能力があるんです、脳には。

運動神経、料理の才能、音楽の才能、頭がいい、頭が悪い。

その頭の良さというのも、勉強ができる良さもあれば、勉強とかではなくて、勉強ができるものを認知能力と言うんですけど、非認知能力と呼ばれるものもあります。

例えば、我慢強い、優しい、誠実である、そういうものを非認知能力として、パーソナリティ・ファンクションというものを精神科では重視していて、こういう人格的機能が備わって十分に高いか低いかを評価したりします。例えば自分は自分であるということがわかるのか、自分の目的意識があるのか、他者への共感機能、感情の安定性、不安定さ、反社会性、自分の欲望に忠実か、それとも抑える力があるのか、色々なところを測ったりするんですけど、こういう能力が未熟だったりすると、やはり問題が起きやすい、ストレス溜まりやすい、ということがあります。

あと発達障害ですね。

ASD、ADHD、不注意があったり、コミュニケーションが苦手だったり。

あと元々生まれつきの不安症みたいなものもあれば、うつ病もあったりするし、10代というそれ自体が脳に負担が来る時だし、急激に脳がでかくなって混乱するんです。

社会がよくわからなくなって混乱するので、それゆえに問題を解決できず落ち込んでしまうということもあります。

あとは家庭環境の問題があったり、トラウマの問題、性的なトラブルの問題、様々な問題があったりします。

こういう色々な問題があったり、その背景には色々な個人個人の能力の問題、色々なものがあって、これらを解決しないとリストカットという症状の問題は解決しないんですけど、こういうものがだいたい隠れています。じゃあなぜリストカットしてしまうのかというと、結局切った瞬間に楽になるからです。

見せびらかしたいとかそういう話じゃなくて、切ると心配してくれるからじゃなくて、切ったら楽になるんです。

それはもうわかってる。

痛みを感じると楽なんです。

エンドルフィンというものが出ます。

アレと一緒です、痛いマッサージを受けるみたいな。

針マッサージみたいなもので、痛いと、ツボを押されるんじゃないですよ、アレは。

痛みに慣れてくると、快楽物質が出てくるんです。

そうすると楽になるんです。

だからハマってしまうんです。

もちろんほぐす、休める、そういう効果もあるけど、治療の中の一つに、痛みを適切に与えてあげると、快感物質が出てくるんです。

なのでやってしまうんですよ。

そうすると苦しかった気持ちが楽になるんです。

だからやってしまう。

またストレスが溜まるとまたやりたくなってしまうんです。

切ったら楽になるから。

そうして依存のようにグルグル、グルグルこのサイクルが回ってしまう。

切ってしまう、楽になる、でも苦しい、また苦しくなる、生活、日常の中で苦しくなる、問題を解決しないから。

だからまた切ってしまうということをグルグル繰り返してるというのがあります。

そうこうしてると最初は快楽物質のために切っていたのが、そのうち心配されたり、これがファッションとしてアイコン化していくんです。

そういうのがあります。

例えば心配してくれるから、他の人に仲間入りさせてくれるから、SNSとかでリストカットしてる友達に出会えて学校では話せない話ができるからやめれなくなってしまう、新しいコミュニティになるのよね。

そのコミュニティーから抜けられなくて今度はやってしまうということもあったりします。

癖が抜けなくなってしまうというのもあったりする。

これがリストカットのよく言われている全貌です。

最初はそうだったと。

だけど途中から何かグチャグチャとそれが習慣化してくる中で、メッセージになったりSNSで繋がったり、独自のカルチャーの中でのやり取りに変わっていくということになります。

独自のカルチャーという言葉でわかりますかね?

何て言うのかな、それが文化として定着、文化になってしまってるということです。

お酒も同じで、酔っ払いたいから飲んでいたのが、美味しくはないんです。

お酒は本来美味しくはないんだけれども、それが癖になってくると、芋焼酎でもそうですね、この臭いのがいいんだよということになってくるわけです。

独自のカルチャーが生まれてくるんだよね。

今度はお酒で問題を起こしても、飲み友達がいるとお酒を止められなくなってくるし。

お酒は良いもんだよというカルチャーもできてしまうんです。

小説や映画の中にあるように。

リストカットのある種のカルチャーというのはあるわけです、若い人たちを中心として。

そこに巻き込まれていって、自分を肯定したくなる。

酒を飲んでグダグダしてるのは本来美徳じゃないんだけれども、それでさえもファンタジーの世界で、酒の細道みたいな形で、こういう生き方もあってもいいよねという風になった世界に入っていくと、酒飲みも肯定されるかのような、二日酔いも肯定されるかのような錯覚になります。

そして止めにくくなる。
それと同じようなことがやはりあるということです。

◾️リストカットの治療

じゃあどうやって治療していくのかというと、精神科の治療は3本柱でやります。

薬物療法とカウンセリングと環境調整ないし福祉導入ということです。

診断して薬物療法をする。

なぜこれを起こしてるのか、色々な病気でリストカットをするんですが、例えばうつ病だったり不安症だったり、躁うつからくることもあれば、統合失調症の人が不安だからやってしまうこともあるし、有名だと境界性パーソナリティ症の人がやってしまうこともあるし、ADHDの人がやることもあるし、色々な病気で起きるので、適切な診断をして、それに合わせた薬を使うことが必要だということです。

もちろん合併症の時もあります。

うつ病+発達障害ということもあるし、境界性パーソナリティ障害+発達障害などもあるので、合併症のパターンもありますけど。

きちんと診断して薬を使う、と。

薬物治療の中で、例えば抗うつ薬は若い人に出すと衝動性が上がってしまうこともあったりするので、そうすると、衝動性が上がってリストカットしやすくなってしまうので、そこら辺も加味して色々考えることが重要かなと思います。

言わなかったですけど、リストカットを繰り返していると、自分を傷つけることにためらいがなくなってくるんです。

そうすると自殺のハードルが下がります。

抵抗があるんです、自分の身体を傷つけることには、本来。

自殺することには抵抗が本来あるんだけれども、こういう行為を繰り返していると抵抗感がなくなってしまって、自殺のリスクが上がってしまうんです。

それはタトゥーやピアスと同じで、自分の身体に手を加えることには抵抗感が本来あるんですけど、生理的な抵抗感が人間の本能に備わってるんですけど、その本能を慣らしてしまうというか、そういう風に身体に手を加えること、人工的な何かを加えることに慣れると、やはり抵抗感がなくなってしまうんです、自分の身体に手を入れることに。その結果、自殺のリスクが上がったりすることもあるので、全員がそうというわけではないんだけれども、ハードルが下がっちゃいますから、それも気をつけるということが大事です。

アルコールもそうなんですけどね。

アルコールやお酒とか飲んでると、違法ドラッグもそうですけど、そういうドラッグを使ってると、より危険なドラッグに対する抵抗感が薄れてしまうんです。

そういうのもありますね。

あとはカウンセリングです。

アセスメントしてしっかりカウンセリングをする。

この人はどんな人なのか、生い立ちはどうなのか、学歴はどうなのか、パーソナリティ・ファンクションはどうなのか、家庭環境はどうなのか、家族の中で色々な対立など家族病理はないのか。

学校での人間関係はどうなのか、もしくは職場の人間関係はどうなのか、性被害の有無や色々なことを調査して、それに合わせてカウンセリングをしていく。

カウンセリングもナントカ療法だけではなくて、合わせ技でやることも多いです。

認知行動療法をする、弁証法的行動療法する、支持的な精神療法をする、家族療法をする。

認知行動療法をすることによって、論理的に考える力を身につけていく。

言葉にならない、言葉にするのが難しい感情や気持ちの問題、人間関係の問題を書き出せるようになる、そしてそれを論理的に整理する、ロジカルに整理できるようになる、解決策を提案できるようになる、そしてそれを実際実行してみて、それを次に活かす、行動計画を立て行動修正していく。

こういうものを認知行動療法と言うんですけど、そのトレーニングをしたり。

弁証法的な行動療法、白か黒かにしない。

リストカットをしてしまう人というのは言語化が苦手で、客観的に考えたり、相談することが苦手な人が多いんです。

相談するより先に切ってしまうということになってしまうので、説明する練習です。

良いものもあれば悪いものもある、このグレーを表現する。

良いか悪いかじゃなくて、グレーを表現するために弁証法という考え方を身につけるということです。

それが弁証法的な行動療法です。

自信を失っていることがあるんです。

否定されてたりすることが多いんですよ。

この問題の中で否定されていて、私が悪いんだと思っていることが多いので、自信をつけてもらう必要があるんです。

なので支持的精神療法をする、支える、傾聴する、自信をつけてもらうようなカウンセリングをする。

あと家族療法です。

家族の問題があることが多いんです。

もしくは家族の中で相談しにくい空気が流れていることがあるので、特に子どもは。

なので学校でのストレスを家で発散できないことがあるので、家で発散できるように家族全体の問題を考えていくということも治療の中で求められます。

あとは今どんな問題があるのかと問題を整理して、自分では解決できないこともあるので、親、家族、学校の先生、色々な人が介入することで環境調整していく。

いじめがあったらいじめを止める、大人が止めてあげるようなやり方を考えるということになります。

結局、心というのは色々な要素から成り立つんです。

ハードウェアです。

スマホみたいなものでスマホ本体の機械的な部分は脳です。

だから脳なんです。

心とは何かというと、脳です。

たんぱく質でできているんです。

たんぱく質でできた機械の中で動いているものが脳です、心です。

その中にデータがインストールされているんです。

日本語だったり、しつけられていたり、勉強したこと、色々今まで経験したことがインストールされているんですよ、記憶として脳の中で。

それが心でもあるので、脳の問題があったら薬物で調整してあげる。

記憶のバージョンアップをすることで人格そのものを成長させる必要があるので、適切なデータを注入してあげる必要がある。

ハードとソフトの問題じゃなくて、外部刺激環境の影響も受けますよね、心というのは。

今どんな状態なのか、今どんな刺激を受けているのか、今誰としゃべっているのかによって心の在り方は変わってくるので、この外部も環境調整してあげるのが重要ということになります。

️◾️傷のケア

ここまでが精神科的な話なんですけど、もうちょっと先の話をします。

つまり傷です。

この自傷してしまった傷のケアと傷跡のケアをどうしたらいいのかという話をします。

ここから先は僕の専門外なので詳しくは「きずときずあとのクリニック」院長の村松先生、YouTubeやってますから村松先生も、村松先生のチャンネルに飛んでもらうのが一番いいんですけど、村松先生も本を書かれてますので、今回紹介します。

ちょっと概要欄の方に貼っておくので見てください。

村松先生と今度おしゃべりするトークイベントやるんですけど、本を出されたということで、村松先生の動画を見てもらったらいいんですけど、この本から、ちょっと引用させてもらいました。何かうまく言えてないですね。

うまく言えてないけど許してください。

傷のケアはどうしたらいいのかというと、まず洗浄することが大事です。

切った後の洗浄。

きちんと水で流してあげるのが大事です。

異物がある場合は取ってあげるというのも大事です。

消毒はしなくていいだろう、と。

ばい菌が入ってるということはあまりないので、ばい菌まみれのもので切っているということはあまりないので、きちんと水洗いして、大丈夫そうだったらそのまま消毒はせずにやる。

消毒すると健康な細胞まで傷つけちゃうことがあるので、消毒せずに洗浄する。

その後に保護してあげるのがいいですね。

そもそも人間の身体の中にも毒というか、その細菌をやっつける力ってあるので消毒までしなくてもいいことが多いです。

ハイドロコイド製剤を使うのがいいです。

商品名のキズパワーパッドというやつです。

傷ができたらその浸出液が出るんですよ、透明の液体が。

それが治す成分なんです。

傷跡をきれいに治してくれるので、それを拭き取らずに適切にジュクジュクの状態を保つのがいいんです。

それをジュクジュクの状態してくれるのがハイドロコイドなので、これをつけてください。

できれば運動は控えた方がいいんです。

運動すると傷口が開いちゃうことがあるので、しっかり止めてあげる。

傷が強いときにはこう切っている場合などテープで止めちゃうとかあるんですけど、止めるようにペタッと貼ってあげるといいです。

紫外線によって傷跡が目立つようになってしまうので、色素沈着することがあるので、遮光テープをしっかり貼ってあげるといいですということです。

ある程度落ち着いてきたら、今度は保湿をしっかりすると。

例えばヒルドイドやビタミンAやCが入っているような保湿液を使って、できたら1日2回ぐらいやったらいいよと言ってました。

あとはメイクです。

化粧道具を使って、うまく傷口を隠してあげるといいよということになります。

メイクするタイミングですけど、ジュワーっと浸出液が出てるときはメイクを止めてください。

ある程度それが出なくなった時にメイクをして傷を隠してあげるといいよということです。

ファンデーションとかを使ってあげたらいいよということでした。

村松先生が言うには、2年くらい経ったら傷跡のケアをしてもいいんじゃないかという風に言っています。

ただ、全員がやるべきだとは村松先生も考えてらっしゃらないみたいですね。

2年くらい経ち、新しい自分になっていきたい、挑戦したいということがあれば、自費になってしまうんですけど、やっていいんじゃないかということです。

どんなことをするかというと、ダーマペンを使ったり、レーザーを使ったり、切除術、取ってしまう、削皮術、皮だけ取る、植皮術、きれいなところから皮を取ってくる、こういうことをやったりしますよということです。

ダーマペンやレーザーは刺激を与えることで活性化させて、健康な皮膚を作るように皮膚を活性化させるやり方ですけど、詳しくは本を読んでもらったり、村松先生のYouTubeを見てもらったり、実際行ってみるといいかなと思います。

ということですかね。

リストカットしている患者さんはいっぱいいますし、実際それで通院につながらない人もたくさんいます。

来ても一回ぐらいで終わってしまう人も時々います。通院の有無にかかわらず、やはり心の傷、身体の傷をケアしていくというのは年単位でやるものなので、今これを見てる学生さんは、えっ2年!とかすごいもう何かめちゃくちゃで途方もない時間に感じるかもしれないですけど、すぐですね。

すぐだったりしますから。

でもまあ、色々なことを考えたり傷ついたりしながら、ああでもない、こうでもないとか考えながら過ごしていくいうのも人生の楽しみ、インタレスティングな楽しみというと失礼だけれども、そういうのもあるので一個一個やりながら、一個一個淡々とやっていくと、優しい人たちがいるんだなということに気付けることも多いです。

もちろん周りに本当に優しい人がいない人もいるんですよ。

いるんだけれども絶対いるので。

世界は広いですから、出会えますから、絶対出会えるんですね。

絶対良くなるんですよ。

だいたい患者さんは良くなりますから、それを忘れずに進んでもらうといいんじゃないかなと思います。

ということで、今回はリストカットしてしまう人の治療法というテーマでお話ししました。

️◾️本日の宿題

今回の宿題は、リストカットの経験がある人、アームカットでも構いません、ネックカットでも構わないんですけど、自分の体験談、こうやって良くなったかを書いてもらうと他の人にもいい学びになるんじゃないかなと思うので、ご協力の方お願いします。

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