不安やトラウマに支配されず「仕方がない」「生まれてきてよかった」と思えるようになるには?
本日は、仕方がない、生まれてきて良かった、と思えるようになるにはどうしたらいいのか、というテーマでお話しします。
これは診察室のホワイトボードなんです。
僕の診察室にあるホワイトボードで、よく使うテーマなので、残ってる感じです。
久々、1週間ぐらいこのホワイトボードが残っていて、患者さんと喋る時に毎回このホワイトボードを使ってたんですけど、結構応用が利いて残っているという感じです。
前も治療論をまとめてたホワイトボードがあったんですけど、足しては消して、足しては消してみたいことをしていたものもあったんです。
それはこの『益田式メソッド』本のここのページのホワイトボード2枚です。
これが足しては引いてのホワイトボードだったんですけど、飽きたというか、ちょっと汚くなってたので消したんです。
しばらく治療論というのはホワイトボードに書にいてなかったんですけど、最近このホワイトボードが1週間ぐらい残ってて、ちょっと頑張ってる図なので、今回動画にしてあげようかなと思ってるという感じです。
️◾️治療のゴールは
最近僕は、治療のゴールは「仕方がない」と思えることだよ、不安やトラウマに支配されず「仕方がない」と思うことが治療なんだよ、「生まれてきてよかったと思える瞬間を少しでも増やすことなんだよ」ということをよく言ってるんです。
治療のゴールというものはどういうものかということは、本当はないんですよ、そんなもの本当はないんだけど、ある程度仮置きじゃないですけど、決めてあげた方が今何をすべきかということを逆算しやすくなるので。
嘘でもないですからね、これはひとつの真実でもあるので、これをゴールにしましょうということで伝えています。
ゴールというものをある程度作っていく。
臨床をしていく中で、何となくこの言葉以外にもあるんですよ、例えば「自分を大事にしましょう」とか、色々あるんですよ、「やりたいことをやりましょう」など。それは欧米的な価値観から来ているんだけど、「私、やりたいことわからないんですけど」「幸せになるってどういうことですか?」「こうなったら幸せになれないかもしれない」と言って変に患者さんが混乱することが多かったんです。
なので、もうちょっと日本の文化や価値観に基づいた、治療のゴールとして矛盾しないようなもの、精神科臨床でエビデンスがある治療法のゴールとしても相反しないものは何かなと思って探してきたら、この仏教的用語を見つけてきたので、これを治療のゴールだよ、と仮置きしています。
難しい話が最近多すぎるという苦情が結構来てるんですけど、ちょっと申し訳ないです。
小難しくなってしまっています。
️◾️「仕方ない」「生まれてきてよかった」と思えるようになるには
「仕方がない」と思えるようになるにはどうしたらいいのか、「生まれてきてよかった」と思える瞬間を増やすにはどうしたらいいのか、ということですけど、それには3つの方法があります。
方法①
一つは知的能力を高めていく、成長を待つ、成熟していくということなんです。
30歳ぐらいまでは脳みそが成長し続けるので、成長していけば感情を抑える力が高まってくるんです、前頭葉が進化していくので。
10代や20代前半の患者さんを診るときには、まだまだ脳が成長しているからちょっと待ちましょう、これが起きるからね、と言ったりしています。それ以降の人、30代以降の人は成長しないのかと言われたら、確かに基本的なIQは伸びません。
ただ、IQは伸びなくてもEQは伸びるんです。
なので成熟していきましょうみたいな言い方にシフトしていく。
前頭葉のスペック自体がガツンと上がることはないんだけど、情報、データを吸収することで脳の形が変わってきますから、そういう形でカスタマイズしていく、成熟していきましょうよという風に言ってます。
方法②
次は、知識や経験が腑に落ちるということです。
こんな人もいるんだな、やはり世の中ってこうなんだなということがわかる。
わかるにつれて仕方がないと思えるようなことが増えてくるので、そういう知識や経験を増やしていこうよ、色々な角度から知識や経験を増やしていこうよ、ということを伝えています。
方法③
あと、感情コントロールをどういう風にやっていくのか、そして慣れていくのかということです。
結局、慣れは結構大事で、頭でわかっていてもできない場合、それは慣れの問題なんです。
筋トレなどのスポーツのトレーニングとかと一緒で、きつい思いをしないと成長しないものがあるんです。
これは慣れの作業です。
人の前に立つと不安になるなどの場合は、頭ではわかっている、クビにならないとわかっているけど怖いんです、不安なんです、というときにはもう立つしかないんです。
慣れていくしかない。
頭でわかってもできないんです、感情がついてきません、というときにはやる、もうやるしかないんです、そうなってきたら。
ただやるにしても、いきなり300人の前に立つのはきついので、暴露療法的に、例えば1人の前に立つ、家族としゃべる、5人の前でしゃべる、と段階的にステップアップできるように強度を下げてあげながら慣らしていきます。
そういうトレーニングがいいよねということになります。
この3本柱をもって仕方がないと思える、生まれてきてよかったというゴールに到達するということになるんです。
️◾️ラーニングゾーンにいる
と言いつつ、じゃあどれくらい頑張ればいいのかということですけど、その目安がここなんです。
楽すぎないし、苦しすぎない、ちょうど中間のラーニングゾーンと呼ばれるところにいる、と。
知識や経験が多い方がいいよ、じゃあどれくらい勉強しなければいけないの、どれくらい経験を積まなければいけないのかというと、無理のない程度にいる。
慣らさなければいけない、益田は頑張れと言って慣らなければいけない、じゃあどれくらいやらなければいけないのか、というと、ラーニングゾーンにいなければいけない、これくらいの、ちょっとストレスのかかる程度を維持し続けるということなんです。
ガッツリやって、パニックゾーンくらい苦しくなるほどやる必要ないし、かといって楽すぎると成長はないので、ちょっと辛いぐらい、ちょっとストレスがかかる程度やった方がいいよということになります。
でも自分はどれくらいやったらストレスなのかはよくわかりません、とよく言われるので、診察の中で話しながら調整したり、マインドフルネスをしながら自分のリズムをつかんでもらう、理解してもらうということをやります。
パーソナルトレーナーと一緒ですよね、医師も。
筋トレした方がいいというのはわかってるじゃないですか。
わかっていても、どれくらいの重さの量をどれくらいやればいいかわからないし、どういうメニューで組んだらいいかわからないし、考えたくないじゃないですか。
だからお願いしたいというときがあると思うので、それと似ています。
あなたは今週はこれを考えてきたら、こういう宿題を渡してね、これを考えてきたら、あなたはこういうところがあるね、じゃあこれについて考えてきたら、みたいな形でメニューを渡したりしていくという形です。
基本的には学びながら、規則正しい生活をしながら、マインドフルネス、座禅を組みながら学び続ける、と。
向き合って自分で考えていく、と。
日々の問題を、PDCAサイクルと書いてますけど、解決していくということです。
自分の色々な問題があると思うので、その問題に対してどういう風に解決していくのか、目標を立てて、計画を立てて、行動して、修正していく。
またその結果に合わせて修正していく、また目標を立て直してという、これをPDCAサイクルというんですけど、回し続けるということです。
人生とは何かというと、ここに来たらゴールというものではなくて、目の前の問題を少しずつ解決し続けるということなんです。
解決、解決、解決をしていけば、寿命が来たら死ぬ、と。
ただそれだけなんです。
ただそれだけだから、何か嫌なことがあったり、困ったことがあっても仕方ないな、と。
不安やトラウマに支配されず、仕方ない、と。
建設的に今の問題をどう解決できるのみたいに解決していく。
解決していって、また次の問題が来たら仕方ないなと解決していく。
そして寿命が来たら死ぬ。
これだけ。
シンプルなんです。
だけど、じゃあ全部解決できるかというと解決できないので、僕らは日常の中で遭遇するすべての問題を解決することはもちろんできないので、ある程度妥協しつつ、だけど長期的には生まれてきてよかったなと思える瞬間を増やしていく。
生まれてきてよかったと思える瞬間というのは、幸せになるということとはちょっと違うんです。
幸せを感じる、脳内麻薬がブワっと出るということとはちょっと違うんですよ、もうちょっと質の高い幸福ということなのでわかりにくいんですよね。
でもまあ単純なんですよ。
生まれてきてよかったと思うときはどういう時ですか、と言ったら、今日か昨日言っていたのは、ふかふかの布団に顔をグッと埋めたときにあ~って思いました、と言ったときに、そうそう、それでいいんだよ、そうでしょうって。
じゃあそういう瞬間を増やすにはどうしたらいいの、みたいな話になっていって。
仕事のことを頑張りすぎず、自分らしく生きるべきかな、嫉妬しない方がいいのかな、とか。
そうそう、そうしたらなんかこの幸せの瞬間、また味わえるんじゃない?ああ、なるほど、と言って、ただそういうことなんだよね。
そういうことですよということを言ってます。
何かを達成することではないんだよ、ということでね。
こういう図ですね。
治療のゴールがわかっていないと逆算しにくいので、今何をすべきか、このゴールということです。
◾️ライフステージ
人生というのはライフステージがあって、その時その時で違うんです。
10代だったら10代の脳という課題があるし、20代だったらまだ脳が成長してない、成熟しないけど若者、覚えなければいけないこと、社会的に覚えなければいけないこと、山積みで苦しい。
今までと世界観がガラっと変わるので、社会が変わる、社会に出ていくということは、学生から社会に出ていくということでガラっと変わりますから、苦しいです。
この繊細な時期、青春の時代に一緒に伴走をしてくれるのが治療者であることもあるし、伴走してくれるのが何かの小説だったり、映画だったり、俳優だったり、YouTuberだったり、インフルエンサーだったりするんでしょうけど、そういう時期だということです。
30代は結婚、仕事が決まる、とか。
40代は子育て、中間管理職。
50代は子どもが思春期で親の介護、あとリーダーとか。
60歳になったら引き継ぎの問題、介護の問題。
70代になったら少し稼いで自分の健康のことに気をつけて死んでいくという、ただこれだけなんですけど。
これ毎に時々の初心といって、年代が変われば価値観も変わっていくので、20代で悩んでいた悩みというのが40代で同じことが起きるということはあんまりなかったりするよね、ということになります。
もし同じような問題を抱えているのであれば、もうちょっと成熟しなければいけないということにもなってきます。
かといって10代が10代らしい悩みをせずに、ヤングケアラーみたいに親の介護の問題を考えていたら、やはり背伸びしすぎていて後で反動が来てしまうし、その時代、その年齢にとって必要な痛みというか、慣れるための痛みというものを味わうということもあるよね、みたいな話をしています。
◾️無我
患者さんは、永遠に今の時間が続くと思ってる時が多いので、そんなことはないよね、と。
だから無常無我なんですよね。
時間は流れていく、世の中は変わっていく。
無常なんですよね。
そして無我、自分でさえ変わっていく、自分というのはない、ないんだということです。
無我。
僕は日本人の中のYouTubeをやってる精神科医の中の、益田裕介という肉体、その器にたまたま益田というもの、僕らしいものが考えてるものが入ってるみたいな感覚なんです。
たまたまそこにいるというか、借り物の身体が動いていて、それが何かちゃんと達成する、ちゃんと社会の歯車として機能している状態というか、世の中のためになっていればいいんじゃないかなという風に思っているというか。
無我とはそういうことなのかなと僕は思っています。
欲望や感情に支配されず幸せという感覚や感情を追いかける、達成感を追いかける、というのではなくて。
そういうこととは違うのよね。
そういう中で脳内でブワッと何かが起きる、そこではないものが無常無我だと僕は思ってるので。
そういうことをどうやったら達成できるだろうと考えてるというのが無常無我であり、無常無我を理解するためのライフステージという感じです。
結局何に悩んでいるのかということですけど、葛藤状況というのは悩むんです。
こっちがいいのかな、あっちがいいのかな。
でも葛藤状況というのはもう結局どう考えてもわからないことがあるので、あとは諦めるということしかないんです。
執着から離れるというか、どっちかでいく。
悩む、葛藤ではなくて、解決できる問題を考えるし、分解していって、これができるのか、あれができるのかとインプットしながら問題解決をしていくということ。
AI時代とはそういうことですから。
AIに身体を貸すみたいな感覚が無常無我に近いんだろうなと思ったりしています。
という話でした。
何かちょっと小難しい話を最後にしちゃいましたけど、今回は、仕方がないとか、生まれてきてよかったということを理解してもらうということでこの動画を撮りました。️
◾️本日の宿題
今回の宿題は、あなたにとって仕方がない、生まれてきてよかったと思える瞬間は何ですか、ということを宿題にしたいと思います。
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