【交換日記】ドリトル先生と小学生のわたし
2019年7月26日 伏見ふしぎ
テーマ:本
交換日記なんていつぶりだろう?小学校以来かもしれない。他の子に合わせて「うれc→」とか書いちゃうような独特の文体でやっていたかもしれない。あんまり得意じゃなかったな。うん。
そういえば小学校の時が一番本を読んでいた。亡くなった祖父が読書家だったので、ほぼ毎週末近所の本屋に2人で行った。漫画以外ならなんでも買ってくれた。図書館に行く時もあって、帰りにロッテリアのフライドポテトを食べた(祖父の好物だった)。
学校の図書室にもたくさん行った。
覚えている範囲で好きだったのは『こまったさん』『わかったさん』『コロボックル』『はなはなみんみ物語』『ライオンと魔女』『空色勾玉』各シリーズ、岩波少年文庫もたくさん読んだ。
その中で何度も何度も読み返したのが『ドリトル先生』シリーズ。小学3年生頃に出会った衝撃は忘れられない。すぐさま全巻買い集めたっけ。
先日、仕事の資料を探しに行った本屋でヒュー・ロフティング作『ドリトル先生航海記』の新訳本が新潮社から出ていたので即買いした。
動物と話せる博物学者のドリトル先生が色んな冒険に出る同シリーズ。次々に襲い来るトラブルを、持ち前の機知と優しさと大らかさ、そして動物たちの大活躍で乗り越えていく話。動物たちもそれぞれ個性があふれていて、目立ちたがり屋だだったり頑固だったり喧しかったり。動物可愛い!だけじゃないところがすごく良い。小学生の私は、それはもうワクワクしながらページをめくっていた。
『航海記』は行方不明となったインディアンの植物学者を探しにブラジル近辺の不思議な島へ航海に出るというエピソードが軸となっている。
冒険に出た話も良いのだが、先生の家があるイギリス・パドルビーの描写が好き。雨が多く湿っていながらもどこか温かく、沼地や湿地など聞きなれない地形、動物園のある広い庭、台所で食べるソーセージや厚く切ったベーコン、お茶の時間、暖炉——今でも地図が描けるくらいはっきりと、パドルビーにあるドリトル先生の家を想像できる。
想像をしながら読み進めていたら、ちょうど会社の同僚から「ロンドン旅行に行ったのでお土産を渡したい」との連絡があった。
わたしもいつかイギリスに行ってみたいと思い、パドルビーがどこにあるのか調べてみたら想像上の町だった。少しほっとした。わたしのパドルビーが覆ることはもうない。(そういうことってありませんか?)
旧訳本は実家にあるのでしっかりと比較してはないが、新訳本は言い回しがすっきりして読みやすくなった印象。旧訳本の、どこかぎこちなく古臭い文章もそれはそれで好きだったけど。これも改めて調べてみたら旧訳者が井伏鱒二だった。(意外!)
読んでいる場所が幼い頃寝ていた二段ベッドの上から通勤電車に変わっても、ドリトル先生と動物たちは変わらずそこにいて、本を読む楽しさを何度も思い出させてくれる。
そういえば小学生の頃に限らず、「この本が面白いよ」と他人に勧めたことがほとんどないし、勧められた本を読むこともあまりなかった。読書はあくまでも本の中にだけ開かれた体験だった。
でも最近は人が勧める本を読むのが好きだ。先日はぐりこが力作した「おすすめ本リスト」をもらい、そこ載っていた『マリー・アントワネットの日記 Rose/Blue』(吉川トリコ)をとっても楽しく読んでいる。人に勧めるのは得意ではないのだけど、好きなものについて説明する時に、好きなところや好きな理由をもういっかい考え直す行為はとても良い。
ぐりこは子どもの頃から何度も読み返している本ってある?
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