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「日本の美を子どもたちに(2)」〜Sense of Transience & DESIGN Thinking

美とデザインの幼児教育〜レッジョ・エミリア市の実践
 
 幼児教育の分野で国際的に注目を集めるレッジョ・エミリア市。日本では子どもたちの創造的な活動やアトリエリの存在がクローズアップされがちですが、それは表面的なことで本質ではありません。レッジョの人々をこのような教育に駆り立てたものは何だったのか?そこにこそレッジョの幼児教育を理解する上で重要なポイントがあります。それは、第2次世界大戦時にファシストによって支配された経験です。レッジョの人々は、権威に従順に迎合することの危険性を学び、民主的な社会の担い手となる自律した市民を育てるために幼児教育が重要であるという結論に達し、その中心に「美」を据えました。それは、単なる視覚的な美しさを求めるのではなく「美」の概念が子どもたちの感性や行動の発達にも影響及ぼし正義や倫理観を育てると考えたからです。そして、もう一つの重要な戦略が「プロジェッタ・ツィオーネ」 です。これは、日常生活において子ども主体の反省的活動を促し、問題解決思考を育てることを目的としました。日本では「プロジェクト型保育(学習)」と訳され、既に多くの実践がありますが、この「プロジェッタ・ツィオーネ」を英語に訳すと「デザイン(DESIGN)」であり、レッジョでは幼児教育に「デザイン(思考)」を取り入れていたとも言えるでしょう。つまり、レッジョの幼児教育の本質は「美」と「デザイン(思考)」にあり、これこそ私たちが学ぶべき真髄なのではないでしょうか。

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