見出し画像

武蔵野東学園で話題の発達障害/自閉症児教育とは?評判口コミと進路実績

武蔵野東学園は自閉症児の教育において、国際的にも注目されている学校法人です。混合教育と生活療法という特殊な教育システムを駆使して、多くの自閉症児を社会自立へと導いてきました。

一方で、進学校としても知られており、東大などの難関校の入試では、高い合格率を示しています。

本記事では、様々な点で成果を挙げている武蔵野東学園について解説し、近年の進路実績と卒業生から寄せられた評判口コミを紹介します。

発達障害児に向けた一般的な教育手法とは異なる、独自の自閉症児教育を開発した武蔵野東学園に興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。


武蔵野東学園はどんな学校?

武蔵野東学園はどんな学校?

武蔵野東学園は、自閉症児と健常児の混合教育で世界的に注目されている学校法人です。

自閉症児教育の先駆けとして1965年に幼稚園を開園して以来、小・中・高と自閉症児の社会自立を目標とした道を整えてきました。

ここでは、学校法人武蔵野東学園が運営する学校施設と、シンボルマークに込められた教育への想いを解説します。

学校施設

武蔵野東学園は、1964年に武蔵野東幼稚園(現在の武蔵野東第一幼稚園)の認可を受け、翌年に幼稚園を開園したのがはじまりです。その後、1976年に武蔵野東関前幼稚園(現在の武蔵野東第二幼稚園)と武蔵野東小学校の認可を受け、組織としての名称を学校法人武蔵野東学園に変更します。

学校法人として、自閉症児の成長に応じた自立へのサポートを行うために1983年に武蔵野東中学校を開校すると、その3年後の1986年には武蔵野東技能高等専修学校(現在の武蔵野東高等専修学校)を開校しました。

日本国内において子どもが成人するまでサポートできる学校施設を開校した武蔵野東学園が、次に着手したのはアメリカです。1987年には、アメリカのマサチューセッツ州に姉妹校として「ボストン東スクール(Boston Higashi School)」を開校し、国際的な評価も高めていきます。

シンボルマークに込められた想い

武蔵野東学園のシンボルマークは、羽ばたく鳥と力強く両腕を上げる人間をモチーフとして形作られています。切り絵による躍動感あふれるダイナミックなフォルムは、鳥の翼であり希望の輪を作る人の両腕です。力強くしっかりとした土台の上にみなぎる生命を感じさせます。

両腕を挙げて力強い飛翔を見せるのは、もちろん子どもたちです。そして、土台となるのは武蔵野東学園の教師と父母であり、培ってきた教育理念です。

このシンボルマークは武蔵野東学園の理念と理想、子どもたちへの想いが浸透・定着することを願って作られました。

武蔵野東学園の教育理念と方針

武蔵野東学園の教育理念と方針

武蔵野東学園の教育理念の根幹となっているのは「心の教育」と「自立教育」で、子どもたちが社会的に自立できることを目的としています。

ここでは、武蔵野東学園の教育理念の概要と特色ある自閉症児教育のはじまりについて、解説します。

教育理念

武蔵野東学園の教育理念は「心の教育」と「自立教育」を2本柱としています。

「心の教育」は健常児と自閉症児が生活を共にするという武蔵野東学園ならではの特殊な教育環境で育まれます。つまり、健常児にとって自閉症児の存在は多様性の認識につながり、思いやりの心が育つだけでなく、自閉症児の挑戦する姿が大いに刺激となるでしょう。

一方、自閉症児は思いやりのある健常児に受け入れられ、共に活動する経験から自信をつけ、自分と異なる健常児に関心を持つと共に刺激を受けます。

「自立教育」では、幼稚園の入園早々からできるだけ親の手助けを借りないような訓練が行われ、小・中・高校生年代では目標達成への挑戦と、その目標設定の習慣づけが育まれます。

このように「心の教育」と「自立教育」の両輪で、社会で自立できる人間を育成するのが武蔵野東学園の教育です。

特色ある自閉症児教育のはじまり

武蔵野東学園が自閉症児教育をはじめたのは、設立時に5名の自閉症児を受け入れたことがきっかけです。卒業生の話によると、創設者の北原キヨさんは自閉症児のことを「みんなよりほんの少し心の弱い子」と穏やかに諭してくれたと言います。

以来、健常児と自閉症児が共に学ぶ「混合教育」と、独自の自閉症児教育システムである「生活療法」によって、日本国内はもちろん世界にも例のない学園として注目を浴びるようになりました。

他に例のない武蔵野東学園の自閉症児教育

武蔵野東学園の自閉症児教育

独自性が強いと言われる武蔵野東学園の自閉症児教育は、生活療法・集団教育・混合教育・社会自立のための教育・家庭と学校の連携という5本柱で構成されています。

ここでは、それぞれの柱について解説します。

「できること」を伸ばす生活療法

生活療法とは、自閉症児の「できること」を伸ばす指導方法です。
つまり、自閉症児の生活行動をトータルで観察し、「できること」を見いだして能力を伸ばしていきます。「できないこと」に対しては、日常生活に支障がなくなる程度まで徐々に習慣づけをするところを目標とする方針です。

一般的な自閉症児教育では、「できない」に対しての教育が主となりますが、武蔵野東学園では「できる」から自己肯定感を高める教育を行い、自閉症児の関心を外部に向けさせます。他者とのコミュニケーションに興味を示さない自閉症児の特徴を踏まえた、武蔵野東学園ならではの教育方法です。

自閉症児のみのクラスを編成した集団教育

通常の自閉症児教育は教師と生徒のマンツーマンで行われますが、武蔵野東学園では、自閉症児のみのクラス編成による集団教育となっています。なぜなら、子どもにとって最良の教師は子どもだからです。

子どもは自分と同じような子どもがどうしているかが気になり、刺激を受けたり真似をしたりします。自閉症児も同じであり、入園当初は大人の言葉に反応しなかった子どもたちも、同じような特徴を持つ子どもの中にいると不安が和らいでいくようです。徐々に大人の言葉に反応しはじめ、それが連鎖反応を生みます。

やがて、ほとんどの生徒が教師の問いかけに答え、しっかりと授業ができるようになります。

健常児と自閉症児が同じ園舎で学ぶ混合教育

混合教育は集団教育の発展した形と言えます。つまり、自閉症児の集団教育による類似性への関心が、混合教育では健常児へと向けられるのです。自閉症児の関心は拡大発展し、健常児の影響を受け、真似をしたいと思う子どもも出てきます。

一方、健常児にとっても自閉症児との交流は多様性を学ぶ絶好の機会です。自分と異なる特徴を持つ人間を認め、その素直さ・一途さに影響を受ける子どもも少なくありません。

武蔵野東学園では、健常児と自閉症児が自然と交流できるよう教室は交互に配置され、給食や団体競技は合同で行われています。

最終目標を実現させる社会自立のための教育

武蔵野東学園の教育における最終目標は社会自立です。

自立に向けた取り組みは幼稚園時の片付けや掃除などからはじまり、小・中・高の炊事・洗濯・買い物へと拡大していきます。こうした社会自立に向けた指導は健常児も自閉症児も同様です。

やがて自立のための学習は、身だしなみ・挨拶・電話応対などの社会ルールの習得へと展開し、社会の一員として受け入れられるような社会適合教育を行います。同時進行で、就労に関わる知識と技術の職業教育も行われるため、大人の社会人として認めてもらえる可能性は非常に高くなるでしょう。

家庭での指導も行う保護者と教師の連携

武蔵野東学園では、保護者と教師の交流の場が多く設けられ、緊密な情報交換がされています。なぜなら、保護者と教師の連携は自閉症児の社会自立教育に欠かせないからです。

ほとんどの保護者が自閉症児を育てるのは初体験となるため、経験豊富な教師のアドバイスが参考になります。一方で、教師は対象児童の家庭での様子をもとにアドバイスし、学校での指導方法を適宜調整していきます。

家庭は生活リズムを確立していく場であり、学校は集団の場で起こりうる自閉症児のコミュニケーション問題を解決へと導く場です。自閉症児の社会自立は、保護者と教師の緊密な連携なくして成し得ることはできないのです。

武蔵野東学園卒業生の評判・口コミ

武蔵野東学園卒業生の評判・口コミ

社会的な評価が高い武蔵野東学園ですが、混合教育と生活療法、社会自立教育などを主とした指導方法について、実際の生徒からの評判はどうだったのでしょうか。

ここでは、3人の卒業生から寄せられた武蔵野東学園の実態を評判・口コミをもとに紹介します。

混合教育の経験が大学でも活きている

武蔵野東中学校を卒業して学芸大学付属高校へ進み、現在は東京大学で法律を学んでいます。ここでは、障害者や外国人・LGBTなどの少数派、マイノリティと呼ばれる方々の人権について考えることが多いのですが、僕には武蔵野東中学校時代の混合教育で一緒だった友達との体験があるため実感を伴って語れます。

また、友愛会の会長として生徒の意見をまとめて先生方に諮った経験で、チャレンジ精神が養われました。どちらの経験も大きな財産で、将来的にも活きてくると思っています。

混合教育により、実感を伴ってマイノリティと呼ばれる方々の人権について語れるようになったという評判口コミが見受けられました。

武蔵野東学園の多様性を認める教育が、大学での法律学習に大いに活きているようです。また、学芸大学付属高校から東大という進学コースは、武蔵野東学園の高度な教育システムの成果と言えるでしょう。

中学時代のプランノートが社会人になってからも役立っている

現在はスポーツ用品メーカーに勤めています。上司や先輩にPDCAが大事とよく言われるのですが、これが武蔵野東中学時代のプランノートとまったく同じだったので驚きました。

中学3年間のプランノートによる学習の計画・実行・確認・反省の繰り返しは、自分の中にしっかりとインプットされて、今、社会人として仕事をこなすうえで本当に役立っています。

武蔵野東中学校時代のプランノートによる学習計画が、社会人として仕事をこなすうえでのPDCA(Plan計画・Do実行・Check振り返り・Actionそれに対する行動)として活かせているとの口コミが確認できました。

武蔵野東学園で行われている自立を目的とした現実的な教育が、社会人になってから実を結んでいるのが分かります。

特別進学学習で効率よく勉強できた

高校受験は僕にとって初めての体験でしたが、特別進学学習でどんな内容をどのくらい勉強したらよいかを手取り足取り教えてもらいました。おかげで時間短縮できて良いペースで受験できました。また、探究科で夢の実現に向けて現実的に何が必要かを教わったことが大きかったです。

それまで夢に対して非現実な側面からばかり考えていたのですが、現実的な社会のスキルを学んだことで着実に夢の実現に近づいています。

特別進学学習のおかげで高校受験がうまくいったことと、探究科で夢の実現に向けて何が必要かを具体的に教わったと語る口コミが寄せられています。

特別進学学習では、受験者としての環境を整えて自覚を促します。夢の実現に向けた現実的な側面からのアドバイスは、まさに武蔵野東学園が長年培ってきた子どもたちの「社会自立」に向けた取り組みと言っても過言ではないでしょう。

武蔵野東学園卒業生の評判・口コミまとめ

卒業年度は異なる3人ですが、共通しているのは武蔵野東中学校での学びや体験が、高校受験をはじめ大学での勉強や社会人として仕事をこなすうえで大いに活かされている点です。

混合教育での自閉症児たちとの親密な交流、特別進学教室での受験対策、そしてプランノートによるPDCAなど、どれも武蔵野東学園で当たり前にやってきたことです。

武蔵野東学園の教育理念である「自立教育」と「心の教育」の2本柱は、自閉症児・健常児問わず、子どもたちの支えとなり着実に成果を挙げています。

武蔵野東学園の進学・就職実績

武蔵野東学園の進学・就職実績

武蔵野東学園は自閉症児教育が注目されていますが、その根底にあるのは子どもたちが卒業後にどのように生きていくかということです。そのため、進学・就職を問わず、学園としての教育体制を整えてきました。

ここでは、難関校への合格率の高さで知られる武蔵野東中学校と、武蔵野東高等専修学校の就職・進学の実績を紹介します。

武蔵野東中学校の難関校進学実績

幼稚園から小学校・中学校まで継続的な教育体制がある武蔵野東学園ですが、高校は専修学校となり普通科はありません。これは、それぞれの将来の方向性への高校受験を促すためです。

武蔵野東中学校を卒業した子どもたちは、個々の夢と適性に応じた選択をします。

1年生からの充実した教科指導と受験に向けた特別進学教室など、塾に通う必要がないほど充実した教育体制は、難関校合格にも高い実績を誇り、例年50名以上の合格者を輩出しています。ちなみに、2019〜2023年の5年間の難関校(偏差値65以上の進学校)合格者数合計は、308名です。

武蔵野東高等専修学校の進路実績

武蔵野東高等専修学校は技能習得を主とした専修学校なので、就職率が64%と若干高めですが、進学率も34.1%と決して低くはありません。健常児は35.3%が就職し、残りの62.7%は進学しています。

一方、自閉症児は企業就労と福祉就労を合わせた就職率が90%を超え、進学率は8.9%です。

こうした実績は、机上学習のみに留まらない幅広い「就労教育」が充実しているからこそ実現したものと考えられています。また、個々の特質を見抜き、特異な才能を伸ばす教育による進学率も見逃せません。

政治家や実業家も注目する武蔵野東学園の教育

政治家や実業家も注目する武蔵野東学園の教育

武蔵野東学園の独自の教育システムは、教育関係者だけでなく政治家や実業家からも熱い視線を送られています。

2008年には、武蔵野東学園の教育活動に感動した世界の大実業家ビル・ゲイツさんより、直筆の応援メッセージが送られています。また、2022年の6月には前首相である菅義偉さんが武蔵野東学園の混合教育を見学し、子どもたちに声をかけ、学園にとっても楽しい時間となったようです。

共生社会、多様化の叫ばれる21世紀、今後いっそう武蔵野東学園の混合教育への関心が高まっていくと予想されます。

まとめ

武蔵野東学園の教育理念は「心の教育」と「自立教育」です。他に例を見ない自閉症児教育の学園として財界や政界からも注目され、国際的にも高い評価を受けています。
その一方で、難関校への進学率が高いことも注目すべき点です。

混合教育と生活療法という特殊な教育システムは思いやりの心や自律心を育み、子どもたちの社会自立を支えてきました。卒業生の声からも自立に向けた教育が実を結んでいることが伺えます。

今後も、自閉症児教育の先駆けとしてはもちろん、自立教育と心の教育を重視した学園として、ますます注目され支援の輪も広がることでしょう。武蔵野東学園の教育システムが、世界の教育の在り方のモデルとなる日も遠くないかもしれません。

学園概要

  • 名称:学校法人 武蔵野東学園

  • 所在地:東京都武蔵野市緑町2-1-10

  • 設立:1964年11月

  • 創立者:北原キヨ

  • 学校・施設:
    武蔵野東第一・第二幼稚園/
    武蔵野東小学校
    武蔵野東中学校
    武蔵野東高等専修学校
    武蔵野東教育センター
    Boston Higashi School
    The Higashi Autism School,New Delhi

  • HP:https://www.musashino-higashi.org/


いいなと思ったら応援しよう!