原田病について

初めまして。

20代半ばです。原田病という病気を患っていました。今はとりあえず寛解しています。

珍しい病気で、同じ病気と戦っている方の声を見つけることはまれ(森まゆみさんの「明るい原田病日記」何周読んだことか、何百回「原田病」とツイッターで検索したことか・・・)。でも確実に情報を求めている方はいると思うので、書いてみることにしました。

原田病は自己免疫疾患のひとつ。メラニンをつくるメラノサイトという細胞を、免疫が誤って外敵と認識し、攻撃してしまう病気です。視力障害、頭痛、難聴などの症状が見られ、ステロイド 投与による治療が一般的です。


まずは、発覚したときのことを書いてみようと思います。思い当たる節がある方、眼科に行ってみてください。どんな病気も、早期発見が本当に大事です。


2019年6月初旬の某日。仕事終わりに見え方に違和感を覚える。なんとなく景色が歪んでいるような感覚。前日あまり眠れていなかったので「疲れているのかな」と思って放置。このときはそんなに気にならなかった。

翌日目覚めると、「あ、やっぱり変」と感じる。景色が全体的にグニャりとした感じ。焦点を合わせてようとしても、ぼやけてしまい、パソコンやスマホの文字は、画面に顔をうんと近づけないと識別できない。「目悪くなった?夜スマホしてたから?」と焦るが、あまりにも急激なので何かがおかしいと考える。夜、マンションから外をぼんやり眺めると、近くのコンビニの看板の文字が緑色に見える(本当は白色)。片目ずつ見てみると、"グニャり具合"が一段と増す。「明日朝起きて、同じだったら病院に行こう」と決める。

案の定翌朝も症状は変わらず、朝一番で近くの眼科に行く。待合室に貼ってある「黄斑浮腫」のポスターを見て、「もしかしてこれかも?」と思う。ポスターには方眼紙のマス目が書いてあり、それが曲がったり、歪んだりして見えたら疑いがあるとのことだった。

いよいよ診察。私はわりと目が良い方で、この数日前の健康診断でも裸眼で両目1.0〜1.2あった。なのに、上から2番目くらいになるともう見えない。しかもさらに怖いのが、レンズを何枚入れても見えない。結局「視力が出ません」といわれ、総合病院に紹介状を書いてもらった。帰り際、先生に「視力戻りますか?」と聞いたところ「正直どこまで悪くなるか分かりません」と返ってきた。「まずもっと詳しい検査をして、病名を特定する必要があります」

総合病院は初診だったので、やたら待つ。諸々の検査や診察を終えた時には、夕方4時だった。看護師に「昼は食べた?」と聞かれる。「まだ食べてないです」と答えると、「何か食べた方がいい。一息ついたら、病気についての話があるので、戻ってきてください」と言われる。「家族の方がいるなら、一緒に」とも。

私、そんな悪い病気なのかな。当然食欲も湧かない。このときは、家族にも、当時付き合っていた彼氏にも連絡する気が起きなかった。家族には病気が分かってから知らせよう、少しでも家族が不安な時間を少なくしたい、という思いから。彼氏のことは、なんとなく信用してなかったから。「それがどうしたの?」と言われそうな気がしていた(案の定、この2ヶ月後に別れることになる)。その代わりに、学生時代からの友人に電話した。いわゆるくされ縁の友人。不安に押しつぶされそうで、話しながらちょっとだけ涙が出た。

1時間ほどして眼科病棟に戻る。診察室に入ると、眼底写真を見せられる。「ぶどう膜炎の一種、原田病です。2週間〜1ヶ月の入院治療が必要です」。大量のステロイド を使うこと、原因は分からないこと、治療には長い時間がかかること、完治するかも人それぞれということ。聞いたことない病気だったのと、多分少なからずショックだったからだろう。診察室を出た時には、病名を忘れていて、会社の上司や家族に連絡するために近くにいた看護師に慌てて聞いた。

この日は休みをもらって病院に来ていたので、まず上司に電話した。開口一番「え!じゃあ、あのプロジェクトはアウトだな」。そのとき私は、比較的重要なプロジェクトを任されていたが、最長1ヶ月入院、しかもその後もステロイド で免疫力が落ちるため療養が必要とのことだったから、スケジュール的に私が担うことは難しくなったのだ。

正直、私はそれにほっとしていた。自分の実力を超えるプロジェクトを任され、周りのフォローもあてにならず、そして何より自分を追い詰めていた。それでも無我夢中でやっていた。やるしかなかったから。でも、こうなったらもう物理的にやれない。それが分かってほっとしていたのは事実だった。

それでも、体調を気遣う言葉なくいきなりプロジェクトの話をされたときは、やっぱりショックだったな。実際今こうして、1年近く経って書いていても、あのときの「グサっと刺された感じ」は生々しく覚えている。悪気はなかったんだろうけど。「うちの部署はファミリーだから!」といつも豪語するような上司だったから尚更、「何がファミリーだよ」と思った。

電話では、「そうですよね。申し訳ありません」と気丈に、誠意を込めて謝ったけど、電話を切った後、1時間くらい涙が止まらなくて病院の中庭から動けなかった。いろいろなことがショックだったんだと思う。これが闘病1日目の思い出。


・・・とここまで、発覚当日のことをだーーっと書きました。もう1年も経つと思うとあっという間。ちなみについ先日、ステロイド 治療が終わり、そのおかげか体調は結構良いです。視力に関しては、数値上はほぼ元どおりになりました。暗いところが見えにくいなど「見え方の質」はちょっと落ちたなと思いますが、日常生活に支障はほとんどないです。

「原田病に苦しむ方のためになる情報を書きたい!」といっていたわりには、ただの振り返り日記で恐縮しとりますが(スミマセン)、今後は、辛かったステロイド 副作用、見え方の変動、これは原田病の症状なの?と疑問だった体の変化、などについてゆるゆると書いていければと思います。

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