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浮き球のデッサン:0147
これを描いた時、ようやくデッサンというのに触れられた気がした。
今から15年以上前に、デッサン教室に通っていた頃に描きました。
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お絵描き教室の先生が、美大の予備校も経営している方で、高校1年生、2年生の時、デッサンを学ばせていただきました。
2BやHBの鉛筆しか使ってことない僕は、3Hから5Bという9本の濃さの違う鉛筆を手にとり、コーラの瓶から書き始めました。
いや、全く最初は書けませんでした。
コーラの瓶は真っ黒になって、ガラスのツヤ感など見えず、その後のモチーフ…牛乳パックやティッシュ箱、円柱や直方体もてんでダメ。週一の2時間の講義がとても苦しかった。
なんとか3ヶ月通った時、浮き球と出会うわけです。
「今日はこれを描いてみましょう」
「ムリです」
僕は初めて描く前から諦めました。
太くて波に洗われてゴワゴワになった綱、その向こうの透明な浮き球。その奥にも黒く綱の影が映る。とてもじゃないけど、複雑すぎる。
「もうこうなったら、気になったところからひたすら描いてやれ。分かんないところはテキトーに描いてやれ」
僕は筆を取りました。
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描き始めてから今までとすっきり見え方が違っていました。
今までは目についたところを全てがむしゃらに描いていたけど、浮き球はもうお手上げの状態だったので、力を抜いてできるところ(この場合は網だったかな?)から始められました。
3回ほど授業を受けて、6時間で完成した時、ようやくデッサンに触れられたような気持ちになりました。
あれから15年以上経ちましたが、絵を描いていて詰まった時、浮き球を思い出します。
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夏の思い出にも、あるいは冬の灯りにも、ご自由にお使いください。