目的を明確にしてトレーニングをする
昨日、高校生に「ダンベル買ったんですが、バドミントンに役立つトレーニングを教えて欲しいです」とリクエストを受けました。
諸々お話を伺って、いくつかトレーニングは紹介しましたが、このリクエスト自体に現状のバドミントンでのトレーニングの課題や、そもそものトレーニングに関する考え方で「もっとこうであったらな」と思う部分がありました。
今日はそんなお話。
●そもそも「なぜ」トレーニングをするのか
トレーニングをする前提がはっきりしない中で、トレーニングに時間をかけている学生をよくみます。
しかしながら、「なぜ」「何のために」トレーニングをするのか、をはっきりさせないままおこなっても効果はあまりないのではないか、と思います。
費やす時間が多くなれば、そのような意識でも効果は積み上がっていくのかもしれませんが。
その目的意識がなければ、モチベーションを維持する上でも、継続的・体系的にトレーニングをする上でも、効果があがりづらいのだと感じます。
▲上記の記事でも記載しましたが、トレーニングには原理・原則があります。
【原理】
●過負荷の原理|日常生活・通常でかかる負荷よりも高い負荷や刺激を与えること
●特異性の原理|強化をするための「目的」と「手段」を合致させる
●可逆性の原理|トレーニングによる効果は永続的なものではない(元に戻る)
このトレーニングの原理・原則は、立ち戻る「型」のようなものですね。
そもそもトレーニングは何のためにするのか、パフォーマンス向上に必要なトレーニング時間の配分をどのようにするのか、メニューの目新しさにだけ目を向けていないか。
それらをこの原理・原則に照らし合わせて、考えることがとても重要だと思っています。
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●意識をしぼって身体と向き合う
よく、あれもこれもと欲張って、「いいトレーニングはないですか」と問われることも多くあります。
しかしながら、本音を言えば「なにを重点的にトレーニングしたいか」を抜きにして、方法論を問われることが多く、その問いはあまり気持ちの良いものではないと思っています。
逆に、「〇〇が課題なので、いつも××のトレーニングを繰り返しやっているのですが、これを応用したりする方法や別のアプローチはないですか」と問われると、その後がとてもスムーズに進みます。
言うなれば、「自身の課題がどこにあって、その課題をどう解決しようと思っているから、この目的化がある」と明確な<目的意識>を持って取り組めているかの解像度が高い選手になればなるほど、このようなディスカッションが面白くなるのです。
選手自身が、なにを課題としているのか、どのように現状トレーニングをしているのか、どのステージを目指しているのか。
それぞれが少し違うだけでも、トレーニングの質や種類・量が異なります。
身体に意識を向け、トレーニングの目的の優先順位をどのように設定するのか、は非常に重要です。
それを背景として、コーチやトレーナーとお話ができると、より有効に自身の知見として、トレーニングの知見が溜まっていくのだと思います。
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●競技特異的なトレーニングのために必要なこと
そして、競技特異的(専門的)なトレーニングを考える際に必要なこととして、「意識を分散しすぎないこと」▲と「トップダウン型で考えること」▼が挙げられます。
まず、「意識を分散しないこと」とは、上記記事でも記載したように、意識を分散することで、技能が低下することが往々にしてあるので、今自動化できている部分の次のステップにのみ意識を集中して反復すること、が大切ということです。
初めからきれいなフォームやトレーニングができるわけではないので、今どこまでできているのか、次の段階はどうできるのが良いのか、これをディスカッションしながら、意識を一つずつ集中させ、統合・自動化することが求められます。
そして、競技現場でのトレーナー活動でもっとも大事にして欲しい、と学生トレーナーに毎回言っているのが、最後の「トップダウン型で考えること」です。
簡潔に言い換えるならば、「競技動作を分解して考えられるようになること」でしょうか。
競技動作は、とても複雑で複合的な動作が組み合わさって成り立っています。
また、対人競技であれば「きれいな動き」よりも、「相手を出し抜くための動き」を優先することもしばしばあります。
このような背景を捉えた上で、競技動作の「どの部分を強化するために」このトレーニングをするのか、を選手に明瞭かつ簡潔に説明し、示すことができるかが現場でもっとも求めれられることなのだと思います。
冒頭の質問への答えとして、OHS(オーバーヘッドストローク)での動きを強化したいのであれば、まず基本的にラケット側の肘を上げた状態での「しなり(運動連鎖)」を出すようなトレーニングをすることを提示しました。
運動連鎖がどこかで止まっていないか、あるいは力を減衰するような局面がないかなどを精査して、その部分にアプローチする。
あるいは、ランジを安定させたいのであれば、体幹が倒れない(つぶれない)ことを目的に、ダンベルをワンハンドで把持し、オーバーヘッドポジションでコート内のフットワークをしてみる。
すると、これまで体幹で誤魔化していた部分を脚のトラベリングでカバーしなければならないために、より移動範囲を大きくする必要がある。
このような、説明と例示(言葉と動き)が必要となってくるのだと思います。
なにを目的とするのか。
パフォーマンス向上に向けて、各動作の構成要素とそれぞれのつながりがどのようになっているのか。
これらを選手自身が理解し、トレーニング実践を通じて、自身の身体と向き合い続けることが大事ですね。
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今日はここまで。
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●藁科 侑希(わらしな ゆうき)
大学教員として、教育・研究現場で活動中。また、スポーツ現場でもトレーナーやコーチとして活動。選手や学びたい人にとって、最良のアドバイザーであることをモットーに、肩書きにとらわれない現場目線のサポートを模索中。 #西野亮廣エンタメ研究所 サロンメンバー
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【保有資格】
博士(スポーツ医学 筑波大学)
日本スポーツ協会公認バドミントンコーチ3
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツコーチ
日本障がい者スポーツ協会公認中級障がい者スポーツ指導員
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツトレーナー
NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
NSCA認定パーソナルトレーナー
高等学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
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