「わらしべ人生」をサル学から解釈すると……
自分の「わらしべ人生」を成り立たしめている理由として、私が人と群れるのを拒む志向を持っていることがあると思います。もし人と群れていないと不安な性格であれば、このようなふらふらとした、どこに向かっていくか分からない人生は歩めないでしょう。
私は生物学者の今西錦司(いまにし きんじ)の本が好きなのですが、彼の主張は動物にも社会があるということです。ヒトの社会もその延長にあります。京都大学の「サル学」のことを聞かれたことがあるかもしれませんが、今西錦司はその礎を築いた人です。サルや、あるいはウマなどは群れを作る動物ですが群れと群れの間や、群れの中にいろいろな社会関係があり、それを動物の個別観察によって明らかにするのが今西錦司やそのグループの研究手法です。
そうして観察すると、群れからはぐれて行動するサルやウマなどがいることが分かります。動物社会の中ではぐれる個体が一般的に見られるということは、そういう存在が何かしらその社会に必要とされているということでしょう。
ヒトの社会でも同じで、基本的には群れの中で行動するヒトが多いですが中にははぐれるヒトもいます。きっとは私はそういうはぐれるヒトのひとりなのでしょう。こういうヒトは群れにいることを志向するヒトにはできない大胆な行動をしたり、あるいは群れと群れの間をつなぐような行動をしたりできますので、そうすることが求められているんだと思います。自分で方向性を決めずに、人との出会いで人生を決める「わらしべ人生」は、動物の生理にのっとった生き方と言えるでしょう(大げさ過ぎますね)。
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