探検記+スパイ小説+フィールドワーク報告=河口慧海『チベット旅行記』
以前、ここに書いた河口慧海(かわぐちえかい)『チベット旅行記』を読み終わりました。けっこう長かったのですが、とても面白かったです。自分が面白く感じるのは、文章や内容が面白いこともありますが、自分自身が探検にあこがれを持っているからだろうなと思います。慧海がチベットに行った目的は仏典を求めてでしたが、当時チベットは鎖国しており、そこに入っていくのに南からヒマラヤ山脈を越えていきましたので、チベットに入るまでは登山家のようなことをしなければなりませんでした。またそれだけでなく、チベットに入るために中国人だと名乗っていましたので、スパイのようなこともしなければならず、ある種のスパイ小説のようにも読めます。また旅の途中やあるいはチベットに入ってからの人間観察、社会観察が鋭く、すぐれたフィールドワークの報告を読んでいるような気にもなります。私は文化人類学も好きで、そういう興味からもこの本を面白く読みました。
(2022年2月1日、アメーバブログに投稿した記事)
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