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2020年12月の俳句。

ポインセチア ほんのり季節 巡り来る

キッチンの どこかでクリスマス やっている

キッチンにいたとき どこからか 小さなクリスマスの旋律が聞こえて来た。
どこから聞こえてくるのか、テレビでもなく、電話からてもなく、タイマーのアラーム音でもない。
耳を澄ますと それはヒキダシの中から。
引き出しをあけると そこにクリスマスカードがあった。まだ封も切っていないのに
何かの誤作動か、突然に鳴り出すような しかけがあったのか 不思議だった。


手に腹に 焚火いただき 持ち帰る

ミリミリと 水の音して 焚火燃ゆ

最近 焚火ブームである。
現在は暖房というと エアコンやファンヒーターなど リアルな火から遠ざかっていたが、
だからこそなのか 人々はリアルなものを求めているらしい。
焚火という歌にもあるように 昔は焚火というのは身辺に普通にあった。
小学校の頃に祖母が起こしたたきびにあたって 登校したことを憶えている。
御宿町では昔は海女さんがいて、海から上がると焚火を焚いて
冷えたからだを温めていた。
先日 NHK-BSでやっていた「たましいの焚火」という番組を見ていて、焚火のパチバチという樹のはゼル音に混じってミリミリという音が流れていることに気づいた。
まるで水の音の様だと思った。木材に含んでいた水分が高温で蒸発していく音なのかもしれないと想像してみたりした。


駐車場の 海は冬日を 照り返す

駐車場の サーファーの声 冬の朝

海水浴は夏だけのものだが サーフィンは 年中無休のようだ。
真冬でもサーファーは冷たい海の中に入って行く。
あれは人間じゃないとも思える。
以前「寒くないんですか」と 聞いたことがある。
「そりゃあ 寒いですよ。」とその人は言っていた。
でもそれよりはるかな魅力があるのだろう。今日もいい波を求めてサーファーたちがやってくる。


ブル一機 砂浜均す 歳の暮

冬の海 日野枢まで ブルの音

海水浴シーズンや年末年始が近づくと 砂浜にブルトーザーが入るのは例年のことだ。
おそらくは砂浜を均しているのだろう。例えば台風などがフクト波打ち際の砂は 陸地に向かって吹き上げられるために 陸から海に降りる斜面が急なものになる。
それを以前のようにもどすには砂を陸から海側に押し戻してやらなければならない。
砂浜が美しく 歩きやすいものであるにはそれなりの努力が必要らしい。


シャッターのごと カサリと枯れ葉 床に落つ

トネリコの今日は枯れ葉を 降らしけり

治療室の窓ぎわにシマトネリコの鉢植えが枝を広げている。
この機は常緑樹で山などでは風邪にそよく姿が美しいと言われている。が 室内で育てるときには落ち葉が比較的おおいのが ちょっと面倒なところだ。
それでも木の葉が落ちる音を聞くのはまれである。
それがある日カサリというはっきりとした音と共に木の葉が床に落ちるのを聞いた。まるでこれで あなた 「一句 作りなさい」と言われたように。


シモニタネギ 届けばさても すきやきか

ネギの香に 包まれながら ねぎづくし

箱に入ったシモニタネギの束が届いた。
今日はネギづくしで行くことになった。その日の当番のヘルパーさんが すきやきやネギのぬたやらネギの料理を三点ほど作ってくれた。キッチンはネギの香りいっぱいになり。
きっとヘルパーさんのからだにもネギのにおいがしみ込んだに違いない。
帰宅したら おまえなんだか ネギくさいぞなどと言われたかもしれない。

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