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2022年1月の俳句。

初凪や 宿の学生あふれ出す

初凪は 元日の海がおだやかに凪わたること。


歳玉を やる子も失せて 太平洋

昨年まで歳玉をやっていた姪っ子も 東京の会社に就職し、今年は歳玉をやる子もなくなってしまった。
下の句のに太平洋を置いたのは 歳玉をあげた場所が 海辺の太平洋を望める私の家であったことと 歳玉をやるという関係が終わって ぼうぼうと広がる太平洋のような気分を表している。


弾き初めや グリンスリーブスは トレモロで

弾ひき初ぞめは 新年に初めて琴や三味線などを弾くことをいったが、近年では西洋楽器も含めて いうようになった。
ここではマンドリン仲間の四人組の自宅での 初練習のことを句にしてみた。


小ちさき町にも 雪の街 雨の街

新しき 半纏の紺 寝間に掛け

寒鴉かんがらす 夜よ 明けたぞよと ふれ回る

寒鴉かんがらす 寒中に見る鴉のこと。
冬の中の早朝の寒気の中を穏やかに鳴きながら飛んでいる 一羽の鴉を見かけた。
その姿がどこか神々こうごうしくもあり、「さあみなさん、夜も開けましたよ」どんなに寒くとも背筋を伸ばして 今日という一日を始めましょう」とでも ふれ回っているかのようだった。


冬雲雀 どこかで 布団叩いてる

冬雲雀ひばりは 冬の雲雀のこと。
河原などでは 暖かい日に鳴きながら 舞い上がる姿を認める。
布団も冬の季語であり、一般に 季重ねといって 通常は 一句に季語を複数入れることを良しとしないが、どちらかがはっきりと優先される季語であることが 船名であれば 問題はない。
この句の場合は冬ということばが着いている冬雲雀の方が 季語としての主体と考えればよい。


笹鳴きや 体温計は チチと鳴き

冬の鶯は藪の中で チャッチャと舌打ちするように鳴く。これを笹鳴きという。
雌雄共にこの地鳴きをして いるが 春になると 雄だけが ホーホケキョと鳴くようになる。
最近の脇差し用の体温計といえば 時間節約型の電子体温計がもっぱらで 十数秒で結果がでたことを伝えるアラーム音が鳴る。
しかし注意していないと聞き逃してしまうような小さな音の物も少なくない。
あれは本人よりも 傍にいる人の方がよく聞こえるような気がする。
「ほら 今鳴りましたよ。聞こえませんでしたか。」などと言われないようにしたいものだ。


ヘルパーの 今日が初日に 寒卵

ヘルパーにも 経験豊かな人もいれば 経験の浅い人、中には 今日が初めてという人もいるかもしれない。
在宅訪問型の場合は その家に何度か訪問したことのあるヘルパーに着いて 一度経験を積んだ後で 一人での訪問となるのが普通のようだ。
それでも一人で、それが初日とあれば格別かもしれない。
サービスを受ける側の方も自分にとって 初めてのヘルパーとなれば 最初は手探りのお付き合いである。
そのヘルパーの人柄や 何が得意なのか しばらくは手探りしながらのお付き合いとなる。
寒卵かんたまご 鶏卵は完全食品とも呼ばれ 特に寒中の物は 栄養豊富で 生で食べるのが良いとされ 昔は 珍重された。


オルゴルの ゼンマイ巻いて 春を待つ

オルゴルはオルゴールのこと。
春は英語でスプリングというが、スプリングには スプリングベッドのように ボンボンと弾んでくれるば ねじかけのスプリングを連想させる。
ゼンマイもスプリングとしてのばねも機械を構成する部品の形として どこか 響きあうものを感じさせてくれる。

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