アドレリアンであるかどうかの判断基準
先日から取り上げている翻訳論文について、『アドレリアン』の購読者も少ないので少しずつ内容をここで解説していきたいと思います。全文は雑誌をご覧ください。
アドレリアンというオリエンテーション
臨床心理学において、ある特定の理論を根拠にして活動する際、その元となる理論を「オリエンテーション」と言います。アドラー心理学をオリエンテーションにしている人のことを通例、アドレリアンと呼び、フロイト派ならフロイディアン、ユング派ならユンギアン、ロジャース派ならロジャリアンと呼びます。とはいえそれほどはっきり切り分けられるわけではなく、折衷派や部分的に概念を活用する等、様々な形があります。
アドレリアンの8つのタイプ
Len Sperryは、アドレリアンかどうかを判断する際の基準として、2つの軸から考えました。ひとつはコミットメントのレベル、つまりどれだけ理論を受け入れ、自身の活動のもとにしているかの視点。もうひとつは、自認しているかどうかの視点、すなわち自分はアドレリアンであると述べているかどうかです。
これらの視点から、以下のように8つのタイプに分類しました。
アドレリアンⅠ
ここではまずアドレリアンⅠについて記載します。
これはアドラー心理学の理論を保守的に受け入れており(コミットメント)、アドレリアンであることを自認しているというタイプで、以下の特徴があります。
アドラーの功績を認めている
アドラーが作った元々の形を維持する姿勢を認める
アドラーの基本的な成果を修正したり、拡張することにはほとんど価値がないと主張する
保守的であると言っても、疑いなく理論を受け入れている人から合理的に受け入れている人までいくつかのバリエーションがあり、概念を整理して体系化することを支持する人もいれば、概念を立証・実証しようとする人など様々いるとされます。「保守的なアドレリアン」でも濃淡があるわけですね。
日本においては野田先生に置き換えてみると面白い
この論文はあくまで「アドラー」に主眼を置いた内容になっていますが、日本においてアドラー心理学を紹介し、発展させた野田俊作先生の理論や考えが大きいので、我々がこのタイプについて考える際には「アドラーの理論」の部分を「野田俊作の理論」と置き換えてみると面白いと思います。
次の記事から、他のタイプについても順番に説明していきたいと思います。