真のアドレリアン:アドレリアンの分類
前回からの続きで、本論文内容の紹介はこの記事で最後となります。
真のアドレリアン
アドレリアンの分類表には『真のアドレリアン』という表記はありませんが、著者はここで改めて「真の」アドレリアンについて考察しています。
ドライカースをはじめ、一部では『真の(true)』アドレリアンという言葉を使っているものの、明確な定義はありません。この定義についてはNASAPのような専門組織がすべきとしながらも、Len Sperryはアドラー心理学の独自のアプローチたらしめる5つの核となる前提条件を提示しています。
人は唯一であること(個性記述的なオリエンテーション)、全体論、目的論
人は善でも悪でもない(本質は中立である)
人は自らの行動と運命を決定し、その責任を負う(やわらかい決定論)
人は共同体感覚を基準として、所属を求め、意味を見出すために努力する(優越性を追求する)
人は性質や能力によって決まるのではなく、それらを使用する(使用の心理学)
おそらく、アドラリアンⅠ、アドレリアンⅡ、アドレリアンⅢはこれらの前提を支持するため、彼らは真のアドレリアンであると著者は述べています。
アドレリアンであるべきか否か
さて、これでそれぞれのタイプの概説を終えました。最初の記事でも述べたように、これらのタイプの判別は他人を判別するためのものというよりも、自分がどの立ち位置でコミットするかを考えるためのツールとして活用できそうです。
著者が述べているように、アドラー自身も類型化について懐疑的ではありながらも、教訓としての価値があるため部分的に用いていました。重要なのはこれらを使って何をするか、どのようにアドラー心理学を自分の活動に取り入れるか。自分の臨床を考える上での糧にしていきたいと思っています。
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