中国に対する台湾と日本の違い

■緊張から緩和へ
 中国はアメリカのペロシ下院議長が訪台することを知ると恫喝を開始。アメリカ軍は台湾付近に軍事力を集め不測の事態に備え、空母打撃群と空中給油機22機を台湾付近に展開させた。

 アメリカのペロシ下院議長が台湾を出たことを確認した中国は即座に軍事演習を開始する。この時、人民解放軍の弾道ミサイル5発が日本のEEZ内に撃ち込まれた。G7は中国に対して軍事演習を止めるように批判するが中国は動じない。日本は中国に対して電話で抗議するが、中国は日本の大使を呼び出してG7で批判したことを抗議した。

 人民解放軍と台湾軍は台湾海峡の中間線で睨み合うが、人民解放軍の軍事演習が終了したことで段階的に緊張は緩和へ向かっている。しかし台湾は警戒を解いておらず、台湾軍による軍事演習を行い中国に対して明確な意志を示した。

■日本と台湾の違い
 国際社会では軍事を背景にした外交が基本。何故なら法律は国内でしか通用せず国外では軍事力の世界。国家主権は行政・立法・司法で外交二権は外交・軍事。国外に自国の法律を持ち出せないので軍事を背景にした外交になるのが基本。だから政治の延長に戦争が有り戦争は政治の手段の一つになっている。これは国際社会の基本。

国家主権
国内三権:行政・立法・司法
外交二権:外交・軍事

 だが各国は常に戦争をするわけではなく、軍事演習などで軍事力を見せつける。これで軍事を背景にした外交になり、言葉による指導力が覇権になる。軍事を背景に言葉で脅して相手国に譲歩させる。これで戦争を回避しながら自国の国益を認めさせる。見た目は話し合いに見えるが、実際は脅し合いの世界なのだ。

台湾軍、再び実弾演習
https://www.afpbb.com/articles/-/3418846

 台湾は国際社会では独立国なのか中国の一部なのか立場が曖昧。だが台湾は日本とは異なり軍事を背景にした外交をしているのは事実。台湾の立場を簡単に説明すれば、戦前までは台湾は日本の一部であり台湾人は元日本人だった。日本はサンフランシスコ講和条約で北方領土(南樺太・千島列島)と台湾の領有権を放棄した。これは事実だが、領有権を放棄したが帰属先は未定のまま。

 帰属先が未定なので北方領土と台湾の領有権は宙に浮いている。ロシアは知っているから日本に領有権の放棄を求めるのだ。台湾は日本の領有権が失われ宙に浮いた立場。そんな時に大陸で内戦に敗北した国民党が台湾に逃げ込んだ。

 中国共産党から見れば国民党が台湾に逃げたので内戦の延長。さらに、“国民党が台湾に居るから台湾は中国の一部”と主張する根拠にされた。これで宙に浮いた台湾は、元日本人の台湾人と国民党の台湾人の二重世界になった。

 台湾は国際社会で曖昧な立場になっているが、それでも中国の軍事演習に対して軍事演習で返礼している。これは台湾が中国の脅しを拒絶し、中国の覇権に入ることを拒んだ証。これが普通の対応なのだが日本は異常な対応をしている。

南西方面の守り「目に見える形で強化」、首相から指示=浜田防衛相
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N2ZM3B4

 日本は中国から弾道ミサイル5発をEEZ内に撃ち込まれた。これで中国に電話で抗議。それに対して中国は、日本の大使を呼び出してG7での批判を抗議した。さらに日本は軍事演習で中国に返礼していない。南西方面の守りを「目に見える形で強化」するなら軍事演習を行うのが基本。だが日本は電話による抗議で終らせている。これは暗に、日本は中国の覇権を受け入れたことになる。

■中国の反応を見ると
 中国はアメリカのペロシ下院議長が訪台するまでは勇ましい言葉を使っていた。だがアメリカと台湾は軍事力を見せつけて対応する。台湾は譲歩せずペロシ下院議長を受け入れる。さらにアメリカ軍は戦う姿勢を見せた。だが、中国は戦争を売り付けたが戦争を始める覚悟は無かった。

挑発受ければ武力行使も 中国が22年ぶり台湾白書
https://www.sankei.com/article/20220810-3HWCKKTAP5P4FCXAMXJENNSEYQ/

 中国の台湾白書が事実ならば、今回のペロシ下院議長の訪台・台湾軍の軍事演習・アメリカ軍の展開は許容範囲内になる。結論を先に言えば、中国はアメリカと台湾に対して譲歩したことを意味する。

 中国は台湾・アメリカに戦争を売りつけて譲歩を迫った。“戦争が嫌なら譲歩しろ!”と脅したが、台湾とアメリカは無視どころか逆に中国に対して譲歩を迫ったのだ。こうなれば習近平の面子は潰れた。唯一の救いは、日本が弾道ミサイルをEEZ内に撃ち込まれても電話の抗議で終らせたことだ。皮肉なことに、日本の穏便外交が習近平の立場を救ったことになる。

■日本は普通の国になれ
 常備軍の総兵力は総人口の1%が限界。さらに人口比率の要素を加えると、自衛隊の総兵力は80万人が最大。さらに軍縮規模で50万人になる。今の自衛隊の総兵力は23万人だから軍縮規模以下の戦力。これでは日本単独で国防は不可能で、在日米軍が居るから国防ができるのが現実。

 だが日本は自衛隊の軍事演習で返礼することをしない。これではアメリカが日本の外交を行っていることになり、日本の政治家が意図しなくても、日本はアメリカの属国の地位になる。中国に対して目に見えることをするなら自衛隊の軍事演習で返礼すれば済む話。これは暴論ではなく国際社会では基本の返礼。

 日本は基本すらできないなら国土を守れない。ならば国民すら守らないだろう。実際に北朝鮮に拉致された拉致被害者すら救出しない。自国民救出で軍隊を使うことは正義。何故なら軍隊を用いて国民を救出することは義務だから反対する国は無い。

 だが日本は北朝鮮による拉致被害者を知っても、自衛隊に対して救出命令を出していない。この現実を見れば、中国が日本に侵攻しても国民を見捨てる可能性が有る。つまり中国が日本に対し、“戦争が嫌なら波照間島を放棄しろ”と言われたら見捨てる可能性が有るのだ。

 実際に中国が弾道ミサイルを日本のEEZ内に撃ち込んでも電話で抗議。この付近には波照間島が有るから、日本は中国に波照間島を放棄すると間違ったメッセージを送った可能性が有る。だからこそ日本は、自衛隊を用いた軍事演習で返礼すべきなのだ。

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