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金正恩は強気になる

■弾道ミサイル発射
 北朝鮮は5月4日に軍事を行った。この軍事演習で北朝鮮は短距離弾道ミサイルを発射。アメリカも短距離弾道ミサイルだと確認したが、国境を超えていないので違反行為にはしなかった。さらにアメリカは北朝鮮との交渉継続を明らかにした。

■アメリカが交渉継続する理由
 アメリカは北朝鮮が短距離弾道ミサイルを発射したが容認。これはトランプ大統領が制限戦争を採用しているので、北朝鮮が交渉を破棄しない限り交渉が続く。

制限戦争論:キッシンジャー(アメリカ)
「交渉と戦闘は段階的に推進すべき。戦略の目的は敵政治意志の譲歩であって敵軍の撃破ではない」

 制限戦争は軍事的圧力で相手国を脅し相手国に譲歩させる。だから容易には戦争は始まらない。仮に戦争が始まっても敵軍撃破は目的ではない。交渉が優先されるので、敵国が交渉に応じるように戦闘を加減する。この典型例はベトナム戦争。

 ベトナム戦争は制限戦争の典型例で、敵軍撃破しないから勝てる戦争も勝てなかった。何故ならアメリカ軍との戦闘で敗北した北ベトナム軍は国境の外へ逃げる。そこはアメリカ軍が攻撃しない聖域なので、北ベトナム軍は損害を回復できる。

 損害を回復した北ベトナム軍は何度もアメリカ軍を攻撃できる。アメリカ政府は北ベトナムとの交渉継続が優先で、戦場での勝利は加減していた。その結果アメリカ軍は勝利できずに終わってしまった。

 トランプ大統領は戦争を嫌っている。戦争を金の無駄使いと考えている様だ。これは国の金でも同じで、徹底して戦争回避を選んでいる。だからトランプ大統領には制限戦争の理論が最適。交渉で相手国が譲歩するなら良いことだと考えている。

■金正恩氏はロケットマン
 北朝鮮は代々アメリカに瀬戸際外交を挑んでいる。瀬戸際外交は相手国にコストが合わない小さな戦争を売り付け、相手国に戦争回避目的の譲歩を選ばせる。だから北朝鮮は常に強気。

 金正恩氏はトランプ大統領に瀬戸際外交を挑んだが失敗。何故ならトランプ大統領は制限戦争で金正恩氏に挑んでおり、双方が相手国の譲歩を求める策だった。これで金正恩氏の制限戦争は通用しない。

 金正恩氏はトランプ大統領の軍事的圧力で困った。苦し紛れに非核化を選んだら、トランプ大統領の軍事的圧力が段階的に下がった。金正恩氏としては時間稼ぎだったが、第二回米朝首脳会談で双方が譲歩できない段階になった。


 第二回米朝首脳会談が緊張の底で、これからは段階的に緊張が高まる流れは確定した。金正恩氏は新型潜水艦建造を臭わせてトランプ大統領を挑発。それでもトランプ大統領は無視。

■譲歩しないトランプ大統領
 今度は5月4日に短距離弾道ミサイルを発射。するとトランプ大統領は短距離弾道ミサイル発射を容認。これでも金正恩氏と交渉継続。これは金正恩氏の短距離弾道ミサイル発射を容認するが、トランプ大統領は譲歩しないことを意味している。

 トランプ大統領は非核化一択。だから金正恩氏が短距離弾道ミサイルを発射しても譲歩しない。金正恩氏はどうする?

 トランプ大統領が譲歩しないと理解すれば、金正恩氏は新たな軍事演習を行うだろう。国境を超えなければ良いのだから、短距離弾道ミサイルミサイルだけではなく、中距離弾道ミサイルを持ち出す可能性も有る。

■睨み合い
 トランプ大統領は制限戦争を選んだから交渉継続が基本。ならば金正恩氏は段階的に軍事的圧力を高めてトランプ大統領に譲歩を迫る。この睨み合いが続くだろう。そして段階的に緊張が高まり、どこかで限界を迎えることになる。

 限界は早くて半年後で遅くても一年後。それまでロケットマンが段階的に緊張を高めていく。そしてトランプ大統領も限界に達し、北朝鮮を攻撃することになる。

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上岡 龍次(うえおか りゅうじ)
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