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戦争と空爆は別物

■双方が戦争を否定
 アメリカとイランは対立しても戦争を否定している。双方が相手国を批判しても戦争を否定。これは嘘ではなく真実。だからアメリカとイランは戦争を否定する。

トランプ氏、イランと戦争でも「長引くことはない」 地上軍派遣は否定
https://www.afpbb.com/articles/-/3232319

■戦争と空爆
 外国と軍隊を用いて戦争するには準備が必用。現代戦では、兵士一人は一日で100キログラムの物資を消費する。陸戦ならば2万人規模の師団は一日で2000トン物資を消費する。空軍が一個師団を対地攻撃で支援すると4000トン消費する。

 陸戦で一個師団の支援を含んだ消費は6000トン。陸戦では5個師団で威力偵察だから半人前の戦力。10個師団が一人前の戦力になる。これに空軍の制空権確保の戦闘・地対空ミサイルによる防空戦闘・海軍まで含むと一日で10万トン消費することを想定する。

 これは第二次世界大戦規模の消費認識。第二次世界大戦までは、大砲の砲撃は一日で10万発消費することは基本。砲撃が7日続くことも基本だった。現代では第二次世界大戦規模は発生しないとしても、一日で1万トンから5万トンは消費する。

 毎日5万トン消費するなら戦争準備が必用。事前に生産して備蓄しなければ対応できない。そして戦場に近い場所に兵站基地を置く。さらに師団後方25kmに小規模兵站基地を置き、50km後方に中規模兵站基地を置き、100km後方に大規模兵站基地を置くのが基本。

 この基本を維持しなければ最前線の部隊は継続戦闘が出来ない。アメリカ軍の強さは、この基本を維持することだ。

 この戦争準備は隠すことはできない。毎日5万トン近い物資が移動する。陸路・空路・海路でピストン輸送が行われる。各地に兵站基地が置かれるから物資が山の様に積まれる。だから戦争準備を隠すことは出来ない。

 だが懲罰目的の空爆は別。現地部隊の補給部隊の物資だけで空爆ができる。基本的に15日間は連続作戦が可能。その間に増援の補給部隊が到着し、最大30日間は空爆可能になる。

■行うとすれば空爆
 トランプ大統領がイランを攻撃すると仮定すれば空爆になる。根拠は、現段階では戦争準備の物資移動と備蓄が確認されていない。戦争準備は基本的に半年必用になる。だが現段階では戦争準備は確認できない。ならばトランプ大統領がイランを攻撃するなら空爆になる。

■直接的な戦争と間接的な戦争
 国際社会では直接的な戦争と間接的な戦争に区分されている。直接的な戦争は軍隊を用いた戦争。間接的な戦争はテロ・ゲリラ・物資支援・義勇兵などを用いた戦争。

 戦前で言えば、日本と対立する蒋介石への物資支援と義勇兵フライング・タイガースの派遣。朝鮮戦争で言えば、中国が朝鮮戦争に人民解放軍を義勇兵として派遣した。これらは間接的な戦争に該当する。

 イランの革命防衛隊は正規軍ではない。革命防衛隊は宗教組織の私兵であり、国際社会では義勇兵扱い。だから革命防衛隊がシリア・イラクで活動することは間接的な戦争になる。さらに革命防衛隊がイエメンのテロ組織を支援することも間接的な戦争になる。

 イランはアメリカと戦争しないと発言。これは嘘ではない。イランは「アメリカと正規軍を用いた直接的な戦争はしない」と言っている。だが「間接的な戦争はしない」とは言っていない。イランは「間接的な戦争はする」と示唆しているだけ。

 革命防衛隊がテロ組織を支援し、テロ組織がアメリカ軍を攻撃することは間接的な戦争になる。だからイランは間接的な戦争でアメリカと戦える。言葉遊びの様だが、国際社会では直接的な戦争と間接的な戦争を区別する。

 だからトランプ大統領は、「イランと戦争しないが空爆するかもしれない」となり、イランは「アメリカと戦争しないがテロで対抗する」となる。これが国際社会の現実だ。

■双方は譲歩しない
 アメリカとイランは譲歩しない。イランは核合意のウラン濃縮を、6月末には基準を超える見込み。そうなればイランは違反行為になる。こうなるとヨーロッパはアメリカとイランの仲裁は不可能。

 イランがウラン濃縮の規定を超えたと宣言すれば、これは間接的な宣戦布告に該当する。これにトランプ大統領が空爆を決断するか否かの二者択一。トランプ大統領はイランを先制攻撃できる条件を持っていたが直前で攻撃中止。

 トランプ大統領が攻撃を決断しないと状況は悪化する。イランは既成事実を積み上げて有利になり、アメリカの地位が低下するだけ。

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