日本で出版されたアジア関連書籍の感想。時には映画などの書籍以外の表現方法を取り上げます。わたし自身の中華圏での経験も折り込んでご紹介。2018年までメルマガ「ぶんぶくちゃいな」(…
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#天野健太郎
【読んでみましたアジア本】読者がこの本を手にしたとき、ミステリーのトリックが始まる。:雷鈞・著/稲村文吾・訳『黄(コウ)』(文藝春秋社)
本当に偶然だったのだが、9月末の東京出張のとき、ちょうどその週末に台湾で「第6回島田荘司推理小説賞」の授賞式が開かれるんですよ、と耳にした。つまり、7人目の島田荘司さんのお墨付き中華ミステリ作家の誕生である(第3回にグランプリが2人出ているので、6回目の今回選ばれる人は7人目となる)。
この賞が日本で一般に知られるきっかけになったのは、2017年に香港のミステリー作家、陳浩基さんによる『13・6
【読んでみました中国本】現代から過去へ、香港のリマーカブルな時代をたどる推理小説:「13・67」陳浩基・著/天野健太郎・訳(文藝春秋)
先週、「『英雄本色』が放映3日間で興行収入2017万人民元(約3億4000万円)となった」という記事が中国の新聞に流れていた。
香港映画「英雄本色」は1986年、今では世界的な名監督の1人となったジョン・ウー(呉宇森)の出世作である。日本では「男たちの挽歌」というタイトルで、1987年で公開された。
日本では劇場公開後にビデオになってからこの映画はバカ売れした。ちょうど公開時にわたしは仕事を辞