夫との出会い【うつ病2人#2】
今の夫、圭介と出会ったのは、まだ私が元気だった、大学生の頃だった。
私たちは同じサークルに所属している同期だった。
私は人生でモテたことがなく、もちろん彼氏がいたこともなかった。
恋愛感情ってなんだろう、なんで周りの友達は付き合ったり別れたりをそんな簡単にできるんだろう、そして私にはなぜそれがないんだろう、とモヤモヤしながら、いつしか21歳になっていた。
そんな3年生の夏休みのある日、突然圭介からご飯に誘われた。それまでほとんど接点はなかったけれど、噂好きのサークル内で圭介の悪口を聞いたことがなかったこともあり、私の中で圭介の印象はよかった。
食事の日取りを決めてからの1週間、私は考えに考えた。
食事に誘われるということはそういうことなのか。
いや、私の思い上がりなのか。
でも、もし告白なんてされちゃったらどうしよう。
考えすぎて疲れた結果、当日の雰囲気と直感に任せることにした。
圭介に連れて行ってもらった店は、カジュアルな居酒屋だった。
はじめて入る店にわくわくしながら圭介のおすすめを食べ、お酒を飲み、たくさん話した。面白いくらい話題が尽きなかった。
きちんと話したのはほぼ初めてだったのに、気づいたら3時間経っていた。
帰り道は雨が降っていた。
傘を忘れた私は圭介の傘に入れてもらい、自宅まで送ってもらっていた。
「よかったら、付き合ってください。」
来るかなという予感が少々、でも突然に言われた驚きの方が遥かに大きい、そんな告白だった。
「私でよければお願いします。」
自然と口をついて出たのはこの言葉だった。
初対面で3時間も楽しく過ごせる人だもの、一緒にいたら絶対に楽しいだろうな。
こうして、私たちはカップルになった。