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子どもの可能性

事業所には不登校の子もいる。
行けなくなった理由はまだ分かり得ないけれど、その子もどうしたら良いのか悩んでいるのはわかる。
スタッフ全員がなんとかしてあげたいと思っている。

3年生からの2年間を何もしないままに過ごしている。
あまりに勿体ない。
おしゃべりも上手で、人に教えることもできる。
小さい子には無条件で優しく接することができて、本当に可愛らしい。
負けず嫌いな一面は、最初の頃認めることができなかったけど、最近はそれを全面に出すようになった。

文字を書くことも、数字を見るのも嫌で、嫌と思ったら絶対にしないという頑固さもある。
なんだか、昔の自分と重なるところもあって、気になるのだ。

スタッフの心配はやはり勉強に関して。
学校に行かなくても今はYouTubeもあるし、どんな手段でも学ぼうと思えば学べる。
けれど、基礎的なことは入れておく方が、後々選択肢も増えて、やりたいことも見つかるかもしれないという想いはある。

その子にとって何が面白いだろうか、何をしたら楽しいだろうか、日々考えながら、あれやこれやと試してみる。できる、大丈夫という気持ちを持てれば、もっと伸びていくはず。
地頭は良いのだ。

少し前にスタッフと一緒に15(イチゴ)というゲームをした。
簡単に言うと、31までの数字を5枚〜7枚使って15を作るゲーム。
四則を使って計算能力を高める。

その時は数字アレルギーがあることを知らなかったから、ゲームとして楽しめるだろうと軽く誘ってみた。
しかし、やっていくうちに顔はどんどん曇り、頭が痛いと言い、カードに描かれた+や×の記号を見るのもイヤとなる。
もう少しで過呼吸になりそうだった。
そして、嫌なことをされたことへの怒りと自分への不理解に対しての虚しさだろうか。目に涙を浮かべていた。
自分が思ってるよりずっと根は深かった。

翌日来れるか心配したけど、大丈夫だった。
そして、管理者たちが対策を考える。
設定した項目にポイントを付ける。
その日できた項目のポイントを付けていく。
ポイントが貯まったら好きなものを自分で買える。
「できたよ手帳」を本人と一緒に作る。
何ポイントにするかも考えてもらう。
本人にとって挑戦となるものはポイントも高い。

管理者の一人は遊具や資材、教材選びの嗅覚に優れていて、今日そのうちの一つがピタリとハマる。
足し算力が身につく計算パズルだ。

来所してしばらくしてからやってみないか誘ってみる。
一枚解いたら10ポイント。ハマればポイントが稼げる。
まずは3マス(10級)から。1から3までの数字をタテヨコに同じ数字が重ならないようにはめていく。使う数字を足した数が太枠の中に書かれている。
その数字しか入らないというところから埋めていくのがコツだ。
最初はルールが理解できてなかった。
3マスは3枚やって4マス(9級)に挑戦する。
4枚やったところで火がついたようで、これ面白いといって15枚をやり切った。9級クリアだ。
どこから答えを出せば良いかのヒントは最初と足し算パターンが変わったところの数回。
あとは自力でどんどん解いていった。
今日1日で今までの何倍もポイントを稼いだ。
数字を見るのもイヤだったのにできるのが楽しいと言って、ぶつぶつ言いながら集中してやっている姿を見てニヤニヤした。

楽しいと思えばいくらでもやれてしまう。その瞬間を垣間見れて嬉しくなった。
子どもの可能性は無限大。
間違えても良いということもその中で体得していく。

掛け算割り算もほぼできないままに過ごしている。
これを機に少しでも興味を持ってくれたら良いな。
管理者と次どんな教材を買うか考える時間もまた楽しかった。

一人一人ひとつひとつ困りごとを解決していく。
地味だけど、その積み重ねしかない。

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