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長野県上田市 「無言館」を訪ねて

先週、11/13〜11/14に一人で長野県へ旅行しに行きました。
今回長野に行きたかった理由の1番の理由は、
祖母のおすすめで、戦没画学生慰霊美術館 無言館に行きたかったからです。

ここには、戦時中、絵の道を志した若者や美大出身で、夢の道半ばで戦争によって人生を閉ざされた多くの芸術家たちの作品が展示されている。

今回、無言館を訪れてみて、
1つ感情が移入したのは、今の私と同じく23歳の兵士の話です。
彼には、姉がいました。姉は嫁いでおりましたが、絵が大好きな弟のために嫁ぎ先から弟あてに仕送りを送っていたのです。
「あんたはいつか、芸術家になるのよ。パリに行ってめいっぱい勉強してきなさい」そう弟に投げかけたそうです。私は、その彼の作品(葡萄と林檎)を見て、目頭が熱くなりました。

なぜ、未来ある若者が無駄に命を捨てなきゃいけなかったのか
なぜ、彼が人◯しの片棒を担がなきゃいけなかったのだろうか
なぜ、昔の人は日本に愛国心をもてたのだろうか

そんなことを一人考えながら、北陸新幹線に乗り、帰りました。
最後に、館長の言葉を添えます。

あなたを知らない





遠い見知らぬ異国くにで死んだ画学生よ

私はあなたを知らない

知っているのはあなたが遺のこしたたった一枚の絵だ



あなたの絵は朱い血の色にそまっているが

それは人の身体を流れる血ではなく

あなたが別れた祖国のあのふるさとの夕灼やけ色

あなたの胸をそめている父や母の愛の色だ



どうか恨まないでほしい

どうか咽なかないでほしい

愚かな私たちがあなたがあれほど私たちに告げたかった言葉に

今ようやく五十年も経ってたどりついたことを



どうか許してほしい

五十年を生きた私たちのだれもが

これまで一度として

あなたの絵のせつない叫びに耳を傾けなかったことを



遠い見知らぬ異国で死んだ画学生よ

私はあなたを知らない

知っているのはあなたが遺したたった一枚の絵だ

その絵に刻きざまれたかけがえのないあなたの生命の時間だけだ





窪島誠一郎

一九九七・五・二(「無言館」開館の日に)

https://mugonkan.jp/about/


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