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夏の終わりの日の日記

夏が通り過ぎていった気がするので、少しだけ感傷的な話をしたい。
(見出し画像は完全に冬だけど、しっくり来たので)

一昨日、すでに亡くなっている母方の祖母が久々に夢に出た。晩年の姿だったので残念ながらちゃんと話すことはできなかったんだけど、おかげでいろいろなことを思い出した。お盆に帰れないからって言い訳だな、しばらく忘れていてごめんね。

母ひとり子ひとりで私の母を育てた祖母は、私たち孫をとても可愛がってくれた。

ひとり親で苦労してきたはずで裕福な暮らしをしていたわけではないし、私たちはとんでもなく田舎に住んでいたけれど、祖母は当時としてはわりとハイカラな人で新しいものやことが好きだったし、特においしいものには目がなく、それを私たちにも与えてくれた。

祖母にとって初めての孫の私は、下のふたりより少し多めに愛情を受け取っていたと思う。あくまで、時間的な意味でね。

小学生の頃は祖母が働いていた病院の院長先生のお宅で開かれていた英会話教室に通っていたので、帰りにふたりきりでシートにベルベットが張られた昔ながらの駅前の喫茶店でプリンアラモードを食べたり、東宝の劇場まで出かけて映画を観たりもした。

おばあちゃんと出かけた帰りにみんなで行ったお好み焼き屋さん、大好きだったな。まだあるんだろうか。

スイミングの帰りに行くミスタードーナツ(今でもOSAMU GOODS大好きだ)や大好きなケーキ屋さんのシュークリームも楽しみだったし、服や本もたくさん買ってもらった。

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祖母との思い出にはいつも、おいしい食べものが登場する。

グルメが過ぎた祖母は私が小学校の高学年になった頃に職場で倒れ、その後一度は回復したものの、大学生の頃にはもう話せなくなってしまっていた。

成人式の前撮りが祖母のいる施設の近くであったときに呉服屋さんに相談し、そのままの姿で一瞬だけ顔を出しに行かせてもらったら祖母は泣いていたけれど、まだ私のことをちゃんとわかっていたのかな。あのときも聞けなかったし、もうあちらへ行くまでは聞けないんだけど。その前に施設の催しに母の代わりに行ったときに嬉しそうにしてくれていたのは、今でも覚えているよ。

こうやって思い起こしてみると、祖母との思い出は数え切れないほどあって、与えられたものもそれはそれはたくさんある。

そんなことがあって昨日母に電話をかけたら、6時間も話す羽目になった。マジか。しかし母も言っていたが、私の素地は祖母に与えられたものでできているなと痛感する。

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今日、いつものジェラート屋さんへ行った。

私は食べたことのないものに対してわりと懐疑的だと思うんだけど、このお店ではそういうのを取っ払って食べている気がする。祖母が乗り移っているんだろうか。

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一昨日食べた、ほおずきとかね。

昨日そんなことを考えて、祖母も食べたいかもなとジェラートをお供え…は溶けてしまうのでできないが、代わりに両親が食べたらいいと送ることにした。

「細く長く、通ってくださいね」とお店の方に釘を刺されるくらいには好きで少し通い過ぎだなと一日あけた(一日しかあけてないのかよというツッコミはなしでお願いします)私はマスカットを食べられなかったんだけど、両親には無事届くようだ。よかった。

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代わりに食べたキーマンソフトは、夏の終わりにふさわしい味。
(私がいろいろ言うよりこだわって作られているのがわかるので、お店のInstagramを見てほしい)

夏の時期はいつも店内が賑やかでBGMに気づくことはめったにないが、日曜の夜は少し人が少なく、今日は聴こえた。 Roll With Itだ。私以外お客さんがいなくて、ちょっと鼻歌を歌ってしまった。アルバムが流れていて、そのままWonderwall、Don't Look Back in Angerと続いた。

笑っちゃうくらいちょうどいい感じに、夏を締めていった。

Oasisをすらすら口ずさめてしまうのは、祖母の娘である母の影響だ。「おいしい」「かわいい」「たのしい」を感じとるセンス、きっと私のDNAに刻まれている。

世の中の動きに心がやられがちだけど、個人的にはいい夏の終わりだなと思う。来年こそ、実家で鮎を食べたいけどね。

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