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第三話: 妖精との再会、そして...
頭がパンパカパンになっているわたしを見かねて、
「ちょっと新鮮な空気を吸いに行こう」
と、パブに居た一人が釣りに誘ってくれた。
釣りの場所は、偶然にもそのお家が向こう岸に見える場所だった。
もちろん、たくさんの念を家に向かって送っておいた...
この頃のゴールウェイは、夕方7時でもまだまだ明るい。
夕暮れ時の太陽が、ゴールウェイの海の表面を優しく照らしていた。
釣りを引き上げて、海岸沿いを歩いていた時、ずっと待っていた幸運の速報が届いた。届くはず、だった。
「この部屋に興味を持ってくれて本当にありがとう。私達は残念ながら、他の女の子を選んだわ。家主がフルタイムワーカーを好むだろうというのが理由。この結論になってしまったこと、心からごめんなさい。もし私達に何か少しでも助けられることがあれば、遠慮なくいつでも言ってね。幸運を祈っているわ。- Brid」
今まで数々のお部屋見学をしているけど、選ばれなかったときのショックと言ったら結構大きな精神的ダメージがある。人間的に受け入れられていないような、そんな気分。本当は返事を返すべきだったけど、そんな心の余裕は残っていなくて、結局返せていなかった。。。
と、そのタイミングで、ピーナッツの魔法がよく効いているのか、アイツから着信が。。
「うん、実は希望の家がとれなかった。だから、今からきみの家に行っていいかな...?」
「もっちろん!今夜ならいつでもいいさ!きみの都合のいい時に扉を開けてきてよ!」
ということで、あのピーナッツ妖精に会いに、また黄色いドアを開けたのだった。。
「やあ、久しぶりだね。元気にしてたかい?僕は元気だよ!まぁ、まずはワインでもどうだい?」
と言って、そのピーナッツ妖精は、赤ワインをもちこに注いだ。
「ことの始まりをもう一度伝えようか。実は先月末、家主とご飯に行ってね、彼女は今月から家賃を100ユーロ上げると言ったんだ。だから、空き部屋を貸し出そうと思ってね。きみが住んでくれるなら、もちろん大歓迎。ハウスメイトを探すのは本当にめんどくさいからね。たくさんの応募が一気に来るのも大変だけど、他人が何人も見学しに来るって本当にストレスなんだよ。時間も取られるし、僕は忙しいからね。前も言ったとおり、週の2.3日は太極拳を教えにコーク、ダブリンに行っているんだ。だから、そのときはきみがこの家貸し切りだよ。シャワールームもきみ専用みたいなもんだ。僕はいつもスタジオで浴びてきちゃうから。この家の家賃が700ユーロになったから、平等に一人350ユーロ。それでどうだい?もし部屋をもう一回見たかったら、もう思う存分見てってよ。」
「わかった。この部屋を取りたいよ。引越しの日にちはいつがいい?」
「部屋にある僕の少しの荷物を片付けなきゃいけないから、来週の月曜日はいかがかな?」
来週の月曜日... ホステルの部屋もキープしているのが月曜日までだったから、なんともちょうどいい。。
そんなことで、もう絶対ここに一度住む運命なのかもと思わざるを得ないスムーズな展開は続き、もちこは覚悟を決めるのでした。
もちろん、引っ越す前に、友達を何人か家に連れて行って、出来るだけの策はとりましたよ。
ということで、このピーナッツ使いの妖精と送る愉快?な毎日がスタートするのでした...。
(つづく)
【アイルランドで最初に出会った妖精のおはなし】
▼前回までの流れはこちら▼
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