上位5%と下位5%という部族民も少数派であり、物事を単純にしている。人類の進化を遡れば、免疫寛容によって外敵であるウイルスを取り込んで進化してきた。進化そのものは狙ったものではなく、避けられないものであり、唯一の戦略なのだが、各部族の酋長はそうした戦術を心得ているから部族長なのだと私は理解している。中間層を形成する90%以上の人々にとっては、そうしたことを理解できないこと自体が身体的ストレスなのだと思う。免疫寛容による外敵の取り込みは、一歩間違えれば部族の消滅を意味するが、そうであるからこそ、非常に長期にわたって慎重に実施する必要がある戦術である。やれることをやり尽くしたら、あとは天に任せる。天は部族を狙う外敵、刺客である。映画『ラストサムライ』も『プロミスト・ランド』も、そうした戦術を取らざるを得なかった物語だ。ピダハン族の素晴らしさは、現実世界でそれを実現し、刺客を味方に引き入れたことだ。言語学者で認知科学評議員のダニエル・レナード・エヴェレット教授は、夜行性動物のように夜でも目が見えるピダハンの能力が、夜間に獣に襲われて殺されるか重傷を負うような教授の窮地を救ってくれたのだと感じている。実際、ピダハン族は教授を助けないという選択もできたはずだ。このことは教授自身が一番よく理解していることだろう。自分より劣っていると思っていた部族の特殊能力に命を救われると、考え方が変わる。
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