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それは「反響定位」と呼ばれていて、コウモリなどが自分の位置を知るために使っている

きちんと読唇する技術は耳の聞こえない人だれもが身につけられるものだとわたしは信じています。

イラク、アフガニスタンに派遣されたアメリカ兵を対象にした調査も行われている。ある調査によれば、兵士の中には、爆弾がしかけられていそうな場所を他より敏感に察知する人がいるという。 その場に少し不似合いな岩がある、ゴミが不自然に積み上げられている、といったごくわずかな手がかりを見つけだすのだ。

情報分析官

まずまずの1杯を淹れたいなら。お湯は沸騰させないほうがいい。理想の温度は96度くらいで、沸点(100度)の少し手前だ。96度になると、芳香を提供する分子がお湯に溶けはじめる。あいにく、これより温度が4度高くなると、苦み成分まで溶けだしてしまう(中略)エスプレッソ溶液にはトリメチルキサンチン(つまりカフェイン)分子があまりに多量に含まれているので(120〜170ミリグラム)、何も知らずに飲んだ客にカフェインを過剰摂取させないために小さなカップで供される。

デカルトの懐疑は、ベン・アンダーウッドの舌打ちに少し似ている。ふつうの人はそのやり方が本当にうまくいくなど信じられないため、試そうともしない(中略)懐疑はデカルトの独創性の秘密であると同時に、その信じがたい安定性の秘密でもある。このような読み方をすれば、『方法序説(※デカルト自身が試したいくつかの知性向上テクニックについて語るデカルト個人の証言。「人間には自分で自分の知性と自信を構築する能力がある」という単純なメッセージを伝える自己啓発本)』は自信を手に入れるための立派な教えでもある(中略)ベン・アンダーウッドが舌打ちで世界を見ていたテクニック(中略)つまりデカルトは、人間の身体の特性を発見(中略)デカルトの方法は(※ウィリアム・)サーストンやベン・アンダーウッド(※300年前から知られる反響定位。ダニエル・キッシュも教えている)の方法を思わせる ※引用者加筆.

ベン・アンダーウッドは、1992年にカリフォルニア州サクラメントで生まれた。生まれたときから網膜芽細胞腫という、珍しいガンを患っていた。子供がかかりやすい病気で、たいていは片目だけだが、ベンの場合は両目をガンに冒されていた。もし放置していたら、ガンはあっという間に転移するだろう。そのため、手術で両目を摘出するしか道は残されていなかった。ベンはわずか3歳で、完全に視力を失った(中略)4歳になるころに、ある奇妙なコツを身につけた。それは、舌を鳴らすという方法だ。ベンは、自宅のリビングでも、自分の寝室でも、キッチンでも、それにバスルームでも舌を鳴らした。「ベンはバスルームで舌を鳴らし、そして聞くんです」と母親は言う。「シンクを聞き、ゴミ箱を聞き、シャワーカーテンを聞く。とにかく何でも聞きます」 彼女は、これが息子にとって世界を見る方法だと気づき、積極的に行わせるようになった(中略)「『音を出しなさい』と、息子によく言いました。『とにかく何をしているときでも音を出すのよ』と。息子が見えないものをこちらから教えてしまうのは、息子に対してフェアではないと思ったのです」(中略)舌を鳴らす対象によって、反射する音が微妙に異なる。本能的な実験を繰り返したことで、ベンはその違いがわかるようになった。音がベンにとっての目になったのだ。間もなくして、ベンは周りの環境を音で理解するようになった。そして幼稚園に入るころには、音を頼りに自由に動き回れるようになっていた。停まっている普通車と、停まっているトラックを聞き分けられる。あるときなどは、サンダルの音だけで、5軒先から歩いてくる近所の人がわかったこともある(中略)それは「反響定位」と呼ばれていて、コウモリなどが自分の位置を知るために使っている。ベンは視覚を失ったが、代わりに「音で見る」という能力を手に入れ、普通の子供と同じように日常生活を送れるようになった。なんと自転車に乗って近所を走り、バスケットボールもするということだった。それにゲームの効果音を覚えることで、兄弟との勝負で勝っている(中略)私たちが知覚しているのは、トレーラーハウスの小さな窓から入ってくるものだけであり、何が入るかは遺伝子によって決まっている。

「主たる感覚のどれかを失った人の脳内では、使われなくなった領域のニューロンが他の役割のためにはたらき出す」(中略)外界から何も信号が送られてこないからといって眠っているわけではない。空いているその資産を、他の感覚や活動が利用しに来るのだ。目の見えない人の場合、視覚野は聴覚に接収される(中略)つまり音は、目の見えない人の脳内では二倍の力をもつということだ。これと逆のことも成り立つ(中略)以上のことから、「主たる感覚のどれかを失った人の脳内では、使われなくなった領域のニューロンが他の役割のためにはたらき出す」というたいへん興味深い結論が導き出された。

情報分析官

反響定位とは、音とその反響を利用して、さまざまな物体を発見し、位置を特定することである。物体にはね返って送信者の戻ってくる音波からは、物体の距離、大きさ、動き、速さといった情報が得られる。

情報分析官

ドイツでは、目の不自由な女性は、触診の専門家になる訓練を受ける。彼女たちは触覚が発達しているので、専門医よりも的確に腫瘍を見つけることができるという。このように、「普通」から逸脱することで、優れた能力を獲得することができる。知覚にイノベーションが起こり、まったく新しい世界を体験できるようになる。

情報分析官

脳の貴重な領域は、どれも別の機能で使えるようになっている(中略)視覚に障害のある人の中にはエコロケーション〔反響定位。音波を発し、その反響によって物体の位置などを知ること〕を使って歩きまわれるようになる人もいる(中略)エコロケーションの達人は大きなものの形や動き、位置がわかる(中略)視覚が使われないと、ほかの機能が取って代わる。脳は貴重な領域をただ遊ばせておくことはしないのだ。

情報分析官

ぼくはブラインドサッカー(視覚障害者のサッカー)の小説を書いている関係で、全盲の知人も多いのだが、「焼肉の焼け具合? 分かるよ。だって、脂がバチバチはねなくなってくれば焼けてるから」と、本当に問題なく焼け具合を判断している人もいることも注記しておきたい(中略)みんな自分の持っている感覚を総動員して生きているわけで、1つの感覚の性能のみで全体を語るのには慎重でなければならない(中略)生物学的には様々な意味で「正常」と「異常」に分かち難い多様性が、まさに連続性をもって分布しており、それも進化の中で培われたものである可能性が高い(中略)女性の中に、事実上の「4色覚」といえる人たちが稀にいることを、ケンブリッジ大学のモロンとニューカッスル大学のガブリエル・ジョーダンの研究グループが示している(中略)通常の3色覚よりももっと細かく色弁別する人たちがいたというものだ(中略)その一方で、4色覚の当事者は、3色覚者には同じ色に見えるものが違って見えてしまうわけだから、そういう人もまた色のコミュニケーションにおけるマイノリティになりうる(中略)人を襲う捕食者も、カモフラージュされている場合が多い(中略)例えば、狩猟採集生活をしていた頃の祖先に思いを馳せてみよう。リーダーが、狩に赴くグループを編成する際には、投槍の名手や、勢子として走ることができる者、獲物を運ぶ力自慢といった様々なことに秀でた人々に加えて、カモフラージュされた獲物や、こちらを狙う肉食獣を誰よりも早く見つけることができる「目がいいやつ」(つまり、それは今で言う色覚異常である)も一緒につれていきたいだろう(中略)2色型は、明暗を使ってものの輪郭を見分ける明度視に秀でている(中略)色覚が実はものの輪郭を見るための神経回路をそのまま流用しており、輪郭を見る能力を犠牲にしている(中略)カモフラージュしているものに対しては2色型のほうがより強い(中略)特に森の中で日が差さない暗いところに行けば行くほど、2色型が有利で、3倍近く効率がいいんです。統計的にもきちんと有意です(中略)ヒトをサーベイすると、まず2色型、眼科の言葉では2色覚が一定数存在

情報分析官

女性には並外れた色覚が備わっている可能性がある(中略)ずば抜けた色覚で色の世界を見るパターンを四色覚(四色型)という。ふつうの人が一〇〇万色を見分けられるところが、四色覚を持つ遺伝的女性ならば一億色となる(※女性の5〜15%あるいはそれ以上)(中略)※引用者加筆.

情報分析官

脳回路が自らを調節するのは不意をつかれたときだけである(中略)外耳の軟骨は(片耳だけであっても)音をかすかに反響させる構造になっていて、音の位置を判断する手がかりを与えている。ただしそれは、脳がその手がかりを的確に拾い上げられる状態であれば、の話だ(中略)この技法は「エコロケーション(反響定位)」と呼ばれ、要は環境中の物体に音波をぶつけてその反響を聞き取っていた

(※コーネル大学教授、数学者のウィリアム・)サーストンは意識的に、かつ丹念に世界を想像する能力を発達させた。訓練を重ね、2次元の映像を頭のなかで縫い合わせる努力をした結果、ついに世界を3次元で見られるようになった。しかし、これほど実りある取り組みなら、ここで止める必要はない。サーストンは同じテクニックでさらに先へ進めることに気づいた。3次元の映像を組み合わせて4次元で見る術を身につけ、4次元の映像を組み合わせて5次元で見る術を身につけた。サーストンはこのアプローチによって、3次元の場合でさえ、それまで誰にも見えなかったものが見えるようになった(中略)サーストンがいう4次元と5次元で見えるとは、どういう意味だったのだろう?(中略)偉大な物理学者、ジョン・ドルトンは、自分自身の体験から色覚異常を発見した(中略)色覚異常を説明する言葉が考案される以前にドルトンの視点から語られた話は、不条理演劇に似ている(中略)1790年、ドルトンは植物学に興味をもちはじめた。花の色を見分けるのには苦労したが、それほど深く傷つくことはなく、必要なときは助けてもらえた。ただ、花の色がピンクか青かを尋ねたときは、相手の顔に「ばかにしているのか」と言いたそうな表情が浮かんだ。ドルトンにはその理由はわからなかったが、追求したことはなかった。じつのところ、色をめぐる会話がいつも微妙に噛み合っていないことには気づいていた。ドルトンが1792年秋に驚異的な特徴を備えたゼラニウムを発見しなければ、誤解はいつまでも解けなかっただろう(中略)これが、色の知覚に関する実験研究の出発点である。この研究によって、ドルトンは色覚異常とその遺伝的特質を明らかにすることができた(中略)ドルトンの強みは並外れた推論力ではなく、何かがおかしいことを感じ、解明されるまで問題を投げ出さない能力である(中略)色覚が正常な人は真に受けない。サーストンが5次元で見えるといっても、サーストン以外の人にはなかなか信じられない(中略)本当のところサーストンに何が見えていたのかはわからないが、その数学の業績を前にすれば、私に見えないものが見えていたことは間違いない。サーストンの文章の書き方を見ると、自分に見えているものを私たちに教えようとしていることがうかがえる。彼は、それを直接見せたくてもできないことがわかっていたので、数学に取り組んだのだ。※引用者加筆.

情報分析官

色覚異常の雄のオマキザルは、葉や樹木の表面にいるカムフラージュした昆虫をとてもじょうずに見つけ、タンパク質を探しているときなど大手柄を立てる。このオマキザルの事例が、色覚異常の男性で観察される事例とぴったり重なる(中略)米国陸軍航空隊の軍事演習でカムフラージュした大砲を空中から特定する任務に際し、ひとりの隊員がひとつ残らず見つけ出したのに対し、ほかの隊員たちは手こずった

情報分析官

第一次および第二次大戦では、どちらの陣営も色覚異常の兵士を求めた。カモフラージュに惑わされずに正体を見抜くことができるからだ(中略)ハンターの一人が色覚異常なら、彼は潜んでいる肉食獣や背景に溶け込んでいる獲物を見つけるのが得意だろう(中略)実は社会はこの原理に基づいて編成されている。

情報分析官

デカルトが最初にたどりついたのが2元論。世界は物質と霊魂(思考)だけからできている。それ以外は存在しない(※カント、ヘーゲル、マルクスも大きくはデカルトの弟子)(中略)(※1637年の『方法序説』)という本の「まえがき(ディスコース)」でデカルトはこのことを書いた(中略)「だから神はもう要らない」とまでは、はっきり書かなかった。書かなかったのだが、そう言っているとほとんど同じだ(中略)そうしたら、デカルトは招待先のスウェーデン王宮でヒ素を飲まされて殺されてしまった(中略)殺したのは、ローマ・カトリック教会の司教 ※引用者加筆.

フランスの哲学者デカルトは朝が遅かった。午前の半ばまで寝て、目が覚めてからもベッドのなかで考えたり、書いたりして、十一時かそこらまでぐずぐずしていた(中略)この気楽な独身生活は、一六四九年にとつぜん終わった。その年、スウェーデン女王クリスティナの宮廷に招聘されたのがきっかけだ(中略)もっとも寒いといわれた冬にスウェーデンに着いたデカルトは、女王への講義を午前五時から行うようにと告げられる。デカルトはそれに従うしかなかった。しかし、その早い時間と厳しい寒さは彼にとって過酷だった。新しいスケジュールを始めてほんの一ヶ月で病に(中略)そのまま十日後に息を引き取る。

自閉症精神病質(サイコパシー)に関する文献の多くは、自閉症精神病質(サイコパシー)の能力をコウモリの反響定位能力に例えています。私自身、個別にお返事する時間がないのですが、「マインドウィスパリング スペース 調べたいワード」でnote内検索していただければ、詳しく検証した記事が見つかると思います。

関連リンク↓

https://note.com/wandering_1234/n/n1bc0bcd4a121

https://note.com/wandering_1234/n/na26aee5496a8

https://note.com/wandering_1234/n/n885e64e551ed


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