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POLYGLOTに学ぼう vol.3

Marianna Pascal from TED* talks

「英語で上手にコミュニケーションをとることに、英語のレベルは関係ない」と、様々なエピソードを聞かせてくれる彼女の話は、わかっているつもりでも、つい抜け落ちている心理を指摘する。


うまく話せない原因

ピアノが大嫌いな娘と、うまく話せずもがく英語学習者との共通点。

・レッスンへ行くのを嫌がる
・模範と自分を比べて、やる気をなくす

ピアノを習ったことがある人は、よく分かると思う。先生の前でうまく弾けない、あの瞬間が嫌で(そもそも練習していないからだが)、子供にとって、ピアノのレッスンは人生の危機である。

また、理想のピアノと自分のピアノのギャップ、そこへたどり着くまでの道のりを思うと、あまりにも遠くて、やる気をなくしてしまう。

他人からのジャッジを恐れて、積極的に話せず、縮こまってしまう。流暢な英語と今の自分の英語とを比べて、永遠に話せるようにならないんじゃないかと絶望する、というのと同じだ。

うまい/下手 を分けているものは何か

薬局のカウンターに2人薬剤師がいる。かたや英語も薬の知識も豊富だが、英語ネイティブである彼女を意識し、緊張している。もう片方は、英語のレベルは低いが、とくに緊張することもない。アドバイスを求めた時、薬を適切に選んでくれたのはどちらか。それは英語のレベルが低い薬剤師のほうだった、という例だ。

前者の薬剤師が集中していたのは、彼女自身が話す英語だろう。一方、後者は相手の話をよく聞き、それに答えることに集中していた。その結果、簡単な英語を使い、タスクを達成したわけだ。

他人のジャッジを気にする、というのは、要するに自分に意識を向ける、ということだ。しかし、会話は相手に意識を向けなければ円滑に運ばない。この薬剤師のように、相手の話をよく聞くこと、そして、結果を出すために英語を道具として使うこと、これがうまい/下手を分けているのだろう。

英語はどこの言葉か

英語でなされる会話の96%が、ノンネイティブスピーカーを含む会話だというデータがある。英語はもはや私たちの言葉ではない、あなたたちの言葉だ、と彼女は言う。そうだとすれば、「英語のモデル」など、もうどこにも存在しない、ということを伝えたいのだと思う。

多くの学校で、英語が道具としてではなく、マスターするべき芸術のようにあつかわれている。読解テストで、内容理解ができているにもかかわらず、スペルミスで減点になるように。間違いを数え上げ、その先にあるタスク達成がおざなりになっている。その英語に対する態度が、社会にも持ち込まれるのことは問題だ、と彼女は言う。

英会話マルチタスクの結果

このようなストレスのもと、仕事をするとどうだろう。仕事で達成しなければならないタスクにプラスして、きちんと話さなければならない、間違えてはいけない、語彙は、文法は、発音は... とマルチタスキングになってしまい、脳がシャットダウンする。そこで起こるのは

1.相手を聞かない
2.知っているはずの言葉が出てこない
3.自信がなさそうに見える

次に自分が言うべきことを考えて、相手の話を聞かない。これは、かなり思い当たる。また、自信がなさそうに見えることが、英語ではなく、仕事の能力の問題だと解釈されてしまう恐れもあるという。

結論

はじめの、ピアノが大嫌いな娘、ひいては英語学習者のうまく話せない原因を振り返る。間違いを恐れる、評価を気にするというのは、相手ではなく自分に注目しているということだ。会話は相手に集中しなければ成りたたない。また、ネイティブの英語を正とし、比較すること。これは広い世界を見たとき、無意味だということがわかる。英語はあくまでもコミュニケーションのツールである。英語をどのように話したかではなく、タスクが達成できたかどうか、が重要なのだ。

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色々思い当たる節が...