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IELTS読解問題とEJU読解問題について考えたこと
IELTSの読解パートを毎日ちまちまと練習している中で、英語試験受験者として、日本語試験対策担当者として、決定的に思ったことがあるので書く。スキミングとスキャニングの話。
スキャニング信奉者
私はスキャニング信奉者です。思えば大学受験の年に受けた某予備校の夏季講習で、英語の先生が「読解は全部読むな。段落の1行目だけ読んで、問題に挑め」と言ったことが始まりだったように思う。そして、たしかにその方法でうまくいったのである。じゃなければ信奉者にはならない。
7年前、ちょっとTOEICをがんばった時期がある。はじめは読解問題の多さにヘロヘロになって見事に10問以上残して時間切れだったのが、数ヶ月後には残り10分で見直せるまでになった。そのときは、某参考書の「文法問題は全部読むな。パターンで解け」という教えにしたがってやったら、文法問題の正答率が上がったため、読解もそんな感じで拾い読みする訓練をしたのかもしれない(あまり覚えていない)。とにかく、ここで私のスキャニング信奉はしっかりと根付いたのである。
IELTSとスキャニング
IELTS Academic 14で、はじめて60分制限で問題を解いてみた。TOEICとは比べ物にならない長ぁーーーい文章で(そもそも文章の種類が違うんだけれども)全部読んでいたら時間が足りないとスキャニング。1回目の正答率は、意外と悪くなかったんだけど(うふ)、でも自信を持って答えた問題は少ない。だって、拾い読みでは歯が立たないんだもん。
拾い読みで歯が立たない理由
・話の流れが見えない
・文脈がないと、単語の意味を判断しきれない
・文脈がないと、知らない単語の意味を推測できない
・文脈がないと、急に出てきた概念名や研究者名で「なにそれ?」となる
大学入試の英語読解文章のレベルがどのくらいだったのか知らないけど、拾い読みで対応できるレベルだったのだろう。TOEICのビジネスメールやパンフレットもしかりである。
意味のわからない文章を60分も読み続けるストレスが半端なくて、全文読みに切り替えたら、なんということなく60分で納まった。もちろん正答率もかなり上がった。要するに、まっすぐ読むことさえできれば時間内に解ける設定なのである。それぐらいの読解力は最低持っていてね!ということなのでしょう。
スキスキャ能力
ここで思うのがスキミングとスキャニングという言葉の意味。この言葉を知ったのは、日本語教師養成講座だと思うけど、おそらく誰しも受験戦争を潜り抜けてくる中で、なんとなく知っている概念だと思う。私たちは(私は?)「試験 → 制限時間 → 速読 → スキミング/スキャニング」という発想をするけど、本来は違う。「文章を理解する上で、スキミングとスキャニングを駆使しているんだぜ、私たちは普段から」ということだったはず。「スキミングとスキャニング無くして読解無し」的な。ただ、目標言語の場合、読解中のスキスキャ能力が低下してしまうんだな。だからトレーニングが必要だよね、ということだと思う。決して「キーワードを探してピンポイントで解答する力」ということではない(のかもしれない)。
EJUとスキスキャ能力
EJUの読解対策ではどうだっただろう。語彙力や練習は学生個々の努力にかかってくるので、授業ではとくにテクニックについて(ちょっと強引なくらいに)確認した。たしかに「著者が言いたいことを選べ」などは、本当に最後の1文を読めばわかるということがあるけど、本当にテクニックってそんなに大切なんだろうか。テクニックだけできちんと解答できるんだろうか(できないと思う!断言)。
結局は本来のスキスキャ能力を育てることが、一番大切なんじゃないだろうか。そういう視点で、もう一度過去問と授業の分析を行ってみたいと思う。