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Relevance(関連性) ID学 vol.7

J. M. ケラー(著)・鈴木克明(監訳)『学習意欲をデザインするーARCSモデルによるインストラクショナルデザインー』(北大路書房)

この章は本当に読みにくくてですね、見てくださいよ、このあきらめ感。

もう一度(あとでもう一度戻ってくるからギブアップさせて)のフセン

今動いているコースがあるので、この本を早く読み終わってどう検証するか検討したいし、ほかにさらに実践的と思われる本もスタンバイしているので、それも早く読みたいし、そのほかにも喫緊で必要じゃないかと感じているトピックがインストラクショナルデザイン以外にいくつかあったりして、NOTEにも「もう一度」のフセンをはろうかと。


マクレランドの3つの動機

達成欲求
達成することに強い動機を持つタイプで、中程度の難易度のタスクを好む。簡単すぎると達成感を得られないし、難しすぎて失敗することは好まない。他人と競い合いながら、自分のやり方で挑戦することを好み、グループワークは好まない。

親和欲求
人との関係性に高い関心をもち、暖かくて満足できる人間関係を好む。グループワークを楽しみ、個人的賞賛よりグループの功績となることを好む。

権力欲求
他人の行動に影響を与えることを好む。成熟した権力欲求をもつタイプは、グループやほかの人に利益をもたらすために影響力を使うことを好む。ただし、未熟な場合、利己的、破壊的となることもある。

人はこれらのいずれか1つのみをもつわけではなく、2つ以上が強弱とともに共存し、学習スタイルと関係する。学習スタイルの一致が内発的動機を高めることにつながるという話。

コンピテンスと達成動機

ホワイトによれば、人間は平衡状態に置かれると退屈してしまうそうで、そのへんがコンピテンスの獲得とつながっている(らしい)んだけど、この図式って退屈から好奇心が引き起こされる「拡散的探索」(Berlyne)に似てると思ったりして、とにかく、ホワイトは相互影響動機付けをもちいてコンピテンスの獲得について説明している(らしい)。その相互影響動機付けはこんな感じで紹介されている。

たとえば、遊んでいる時でさえ、子どもは、その環境に影響を及ぼすことができることと、その反対に環境から自分が影響を及ぼされていることの両方を見つけることを楽しむようである。満足感情はこれらの相互作用を行っていることそれ自身。

ケラー・鈴木(訳), 2010, p.116

環境から受けた挑戦に潜在的能力を発揮して応えるという相互作用、でしょうか。人は適度の難易度のタスクに直面したとき、最も活発にコンピテンスの探索を行うという話につながる(らしい)。さらにですね、このコンピテンス動機と達成動機には共通項があって、達成動機の中核をなすのがコンピテンス動機だとする主張もあるそうで、とにかくですね、動機には生理的本能や不安感を満たしたり払拭したりしたいというもの(本能理論動因理論)から目的指向型(目的的行動場の理論)、有能でありたい、能力を発揮したいという欲求(達成欲求コンピテンス理論)までいろいろあるということでございますね。生理的な欲求など低字的な欲求が満たされた上で自己実現などの高次的な欲求が成り立つというマズローの欲求の階層理論というのもございました。

将来指向性と動機

将来指向性とは、レイノールの定義によると直近の目的を将来のための手段と捉えるというもので、将来の目的の価値が高ければ、また将来の目的との関連性が高ければ、直近の目的への動機も高まるし、逆に不安感が増す可能性もある(失敗したくないから)。将来の目的と直近の目的は1対1の線状の関係とは限らず、複数の直近の目的群が存在することもあって、お互いの関連性の強さ(緊張関係)を目的の強さとする点で、レビンの場の理論の改良と拡張だと書かれている。要するに道具的動機付けに分類される概念だよね、たぶん。

また、個人の将来の捉え方も動機付けに影響を与える。ある実験では、将来に肯定的な学生の場合、直近の目的の手段性の高さ(将来の目的との関連性の強さ)と学習意欲が相関関係にあった一方、将来に否定的な学生の場合、相関関係が見られなかった。将来をどう捉えているかによっては、手段性を高めても動機を高めることにつながらない可能性がある。

道具的動機と内発的動機

言語学習未成功者として、最近は内発的動機の大切さを見直している。ずいぶん前にモンゴルで、日本語の運用能力が高い学生は実のところ好きなことをやっているだけで、どうやって勉強してそんなになったの?と聞いたところで無駄だと書いた記憶がある。将来の目的のために勉強を工夫したり、計画したり、努力したりしているフシがないからだ。最近、いい年齢になってきて、これから華々しく世界で活躍する可能性もほぼ0%に近づいてきた今日この頃、たとえ道具的動機をもっていたとしても(先行研究として英語文献を読む、採用条件として英語で留学生を支援とか英語で講義とか英語能力試験の証明書がある、しかも証明書は2年以内とか期限付き、とにかくいい加減ストレスなく英語を使いたいなど)切羽詰まらないもので継続できない。道具的動機付けを高めるのはもちろん大切、でも内発的動機を高めるための工夫が重要なのではと思う。