POLYGLOTに学ぼう vol.2
Chris Lonsdale from TED* talks in 2013
テーマは[だれでも6か月で第二外国語が習得できる]
早く、簡単に、効果的に外国語を習得することは、グローバルで山積する問題、環境や外交的孤立、戦争などを解決するための対話に非常に重要である。彼が提案する5つの原則と7つの方法を実行すれば、どんな言葉でも6か月でマスター可能だと主張する。
5つの原則
原則1:自分に関係があるものを学ぶ
人間は、必要となれば覚える生き物である。生き死にに関わることなら尚更だ。例えば、ハイキングをしていて、クマがいる痕跡があれば、注意を払うでしょ。*なぜクマの例なのかはじゃっかんの疑問
原則2:言葉を道具として使う
例えば、講習会に通って真面目に練習しても、まったく上達しなかった中国語のタイピングが、仕事で48時間以内にマニュアルを訳して送らなければならなくなった途端、一晩でマスターできたりするものだ。
原則3:理解可能なインプットが大切
中国の夜行列車での体験。ある警備員が、ジェスチャーや絵、表情などを交えて、まったく中国語が話せない彼と8時間も話してくれたそうだ。徐々に言葉がわかるようになり、2週間後には、部分的にネイティブの会話がわかるようになったという。インプット仮説を提唱した有名な言語学者、Stephen Krashen の話に触れながら、理解可能なインプットを続ければ、無意識に言葉が習得できると説明。
原則4:言語学習は身体トレーニング
言葉を学ぶというのは、知識の蓄積ではなく、むしろ肉体トレーニングに近い。どんなに語学の成績が良くても、聞きとるトレーニングをしなければ聞こえない。なぜなら、私たちの頭の中には耳慣れない言葉をシャットアウトしてしまうフィルターがあるからだ。スピーキングについても同じ。新しいスポーツをすれば筋肉痛になるように、顔に痛みを感じれば、あなたは正しくトレーニングしているということになる。
原則5:心理的な状態も鍵
不安や焦り、いら立ちを抱えていては学べない。ポジティブな精神状態は学びにも有効である。例えば、100% 理解しなければならないと神経を尖らせていては逆に何も学べない。完全じゃなくてもいいと、リラックスしていれば効果的に学ぶことができるのだ。
7つの方法
方法1:たくさん聞く
理解できた、できない、は気にしなくていい。とにかくたくさん聞くこと。
方法2:意味に注目する(形よりも)
ジェスチャーやボディラングエージも有効。まずは意味をつかむ。
方法3:覚えた言葉でメッセージを作る
文法はひとまず置いておいて、意味が伝わればいい。「 me, bath, now 」だって、目的は達成されるのだ。10の名詞、10の動詞、10の形容詞を駆使すれば、1000のフレーズができる。赤ちゃんのように、クリエイティブになろう。
方法4:基本をしっかりカバーする
英語は3000語で生活の98%をカバーすると言われている。この基本をおさえよう。例えば
1週目:What is it?/ How do you say?/ I don't understand
言葉を学ぶのに便利なフレーズを覚える
2週目:You/ That/ Me/ Give/ Hot
基本的な名詞や動詞、形容詞を覚える
3週目:Although/ But/ When
接続詞を覚える
方法5:チューターを探す
子どもは親の元で、たくさん間違いながら学んでいく。間違っても、うまくいかなくても理解してくれる、安全な環境である。そんな相手を作ろう。相手の条件としては
・理解しようと努めてくれる人
・間違いを指摘しない人
・正しい形で答えてくれる人
・勉強した言葉を使って話してくれる人
方法6:顔を真似る
発音しているときに、筋肉をどのように使っているのか、口の形はどうか、を観察して真似る。
方法7:イメージとリンクさせる
火=FIRE
火のパチパチいう音、熱、においなどのイメージとFIREという音をリンクさせて覚える。
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Stephen Krashen の名前が出たけれど(学習者の現在のレベル+α のインプットがいいと言った人)、彼の情意フィルター仮説やサジェストペディア(バロック音楽で神経をリラックスさせた状態で教える教授法)、Fon M(意味>形式)などを連想させる講演だった。しかし、これをもって「6か月で!」と断言するのは、いささか胡散臭い...
さらに、方法1の「たくさん聞くーわかってもわからなくてもー」の立ち位置はどこなんだろう。理解可能なインプットが大切という話との関連が見えない。理解可能なインプット(+α )+聞き流し、ということ?