【愛知旅行記 #3(終)】ここはテーマパークです。
今、再びの中京へ
午前10時30分頃。我々は中京競馬場にいた。
前日の記事でも記載した通り、馬券のプラス収支を目指してリベンジをしに来たのだ。
しかし、私自身はもう昨日の時点でプラスなので馬券を買う気はなかったのだが、ギャンブルとは恐ろしい。
いつの間にか手元に第3レースの馬券が握られている。
もうこうなったら次も買わざるを得ないよね、ということでさらにプラスにするべくパドックに赴いた。
3日目
結局……
今日は1,000円を支払うことなく駐車をしようと、『JRAの駐車場』をあらかじめ調べてそこに向かった。
昨日カーナビの指示に従って向かった場所とは大きくかけ離れた場所に、JRAの駐車場はあった。
誘導されるままに大きなゲートに差し掛かると、気になる文字が。
「駐車料金1,000円 前払い」
……あ、JRAの駐車場でもお金必要なんだ。
急いで財布を取り出し、ゲートで千円札を手渡した。おそらくこの時自分は筆舌に尽くし難い表情をしていたと思う。
思い返すと、駐車場を調べた時にはっきりと料金が記載されていた気もするが、JRAなら無料だろうという思い込みが邪魔をした。浅はかとはこのことを言う。
浅はかさを払拭すべく、駐車をするまでなぜ中京では駐車にお金が必要なのかを考えていた。
停車する頃に結論を出すことができたのだが、今まで車で訪れた競馬場は電車では行けない場所にある競馬場だった。
車でしか行けないところでわざわざ駐車料金を取るとなると、クレームの嵐が巻き起こるだろう。(もちろん周囲の個人で運営している駐車場はその限りではない)
しかし、今回来ている中京競馬場や以前訪れた東京競馬場は電車で行ける競馬場である。
特にこの2場なんて駅直結なのだから車での利便性は薄れるのだ。
そんな所で駐車場無料なんてしたら、来場者が分散せず駐車場のキャパオーバーを起こすだろう。
なまじ電車での来場を見越して、駐車場を大きく作っていないとなるとなおさらである。
特に電車で行ける距離にない新潟競馬場や、公営競馬になるが高知競馬場の駐車場の大きさを見ると、よりそう思わされる。
昨日からもやもやしていた駐車料金について腹落ちしたので、意気揚々と競馬場に入場した。
幸先良し
駐車場から中京競馬場の東口から入場すると、JRA70周年の冊子を手渡された。
格好良い装丁に、内容はリーディングジョッキー同士、若手騎手同士の対談、各界の競馬好きに夜思い出の名馬語り。過去の名馬を5つのテーマに沿って紹介するコーナーなど競馬好きとしてはつ読み込んでしまうものとなっていた。
冊子を受け取って、いざ馬券を買わんとしたのも束の間。競馬場に来たらまずすべきことがあることを思い出した。
それは「Welcomeチャンス」というやつである。
これはなにかというと、スマホのアプリ上でルーレットを回し、当たると何かしらの景品と交換できるものである。
今まで、大体4回ほど回していたが当たったことがなかったので、半分期待と半分諦めの気持ちで回してみた。
するとどうだろう。初めて当たったのである。
景品は一般的なボールペンだったのだが、名馬の名前とシルエットが印字されていた。
名馬の名前は『ミスターシービー』。1983年のクラシック三冠馬である。
菊花賞での、当時はタブーとされていた京都競馬場の4コーナーの上り坂からの追い込みで人気を博した馬で、今でも根強い人気がある。
ミスターシービーの追い込みに賭ける思いで、馬券でも外すこともあれど最後の追い込みで勝ちをもぎ取ろうと決意を新たにした。
フラグ
今日は新聞がないので、自分の勘に頼るしかない。
当初はそれが不安だったが、昨日『人気にはあまり逆らわない方が良い』ということを一日通して学んでいた私は、オッズの推移を確認しつつ、大体2番人気、3番人気の馬から買っていた。
なぜ1番人気ではないかというと、実力を見誤られている馬が時たまおり、過剰に人気していることもあるからだ。
もちろん順当に人気順で決着することもあるが、もとより買う馬券はワイドである。
安パイだと思われる2番人気、3番人気を買った方が的中率を稼げると思ったのだ。
するとどうだろう。配当は大きくないが、手堅く勝ちを掴んでいた。
ミスターシービーのような鮮烈な勝ち方ではないが、それでも勝ちは勝ちである。
これで調子に乗った私は、賭け金の金額を少し上げた。
こういうことをしていると、ツキに見放されるのである。
大失態
もう、あまりにもショックだったため何レースかを忘れてしまっているが、私は失態を犯してしまった。
順調に勝ちを掴み、一度ワイドで4,000円当たった時があった。
すぐ払い戻しに行けば良かったのだが、次のレースも勢いそのままに賭けてみようと思い、パドックに足を向けたのである。
しかし、次のレースは外れてしまい、仕方なく払い戻しをするかと思いズボンのポケットを弄ったところ、馬券が何枚か出てきた。
私は基本的に諦めが悪いので、結果を知っていて、外れていてもワンチャンスがあるかもしれないと、払い戻し機に馬券をつっこむのである。
それで、ハズレが確定した馬券はゴミ箱に捨てていたのだが……
当たっているはずの馬券が見つからない。
ポケットから出てきた馬券を払い戻し機に差し込むも、全て「この投票券は返金できません」のアナウンスが流れるのみ。
全て外れ馬券なのである。
ここで、一気に焦りが出始めた。
同行者にも伝えて、足早に馬場の方に向かい、先ほどまでレースを見ていた場所の地面を隈なく探してみる。
この日は風が強い日ではなかったので、どこかに飛ばれされているはずもないと思っていたが、数分探してみても見つからない。
立っていた場所の近くにゴミ箱があり、そこを探してみても自分が持っていた馬券が見つからない。
ここでもう理解してしまった。
スマホをポケットから取り出す時に落としてしまったか、外れ馬券と間違えてゴミ箱に捨ててしまったのだと。
競馬場は新聞にしても馬券にしてもマークシートにしてもよくゴミが出るので、高頻度で溜まったゴミが回収される。
それにポイ捨てもいまだに多いので、馬券を購入する客の間を縫って清掃が行われている。
そうなると、床に落ちたら即ゴミ箱行きな上に、ゴミを捨てて20分過ぎたら、ゴミ箱に舞い戻ったとて捨てたものが見つかるわけもない。
ミスターシービーの追い込みのように馬券を当てまくると意気込んでおきながら、自分を追い込む結果となった。
空ろ
その後は、4,000円分を取り返そうと馬券勝負に挑むも負け続きとなった。
落ち着いて思案ができない状態でギャンブルに挑むほどバカなこともない。
その後2,3レースに挑むも全て外れてしまった。
結果的に昨日の分を合わせてもマイナス収支。
いつも通りの結果となった。
悔しさのあまり、余った時間はレースを見ずに競馬場を散策していた。
一度『クイックピック』と呼ばれる馬券の種類と賭け金を指定すると自動的に買い目を指定してくれる馬券(通称おみくじ馬券)を購入したが、当たったら三連単で100万円を超えるような馬券だったので、当然外れた。
しかし、これで少し気分も良くなり、馬券は買わなかったものの競馬場のフォトスポット巡りをすることにした。
最近の競馬場は客層が幅広くなり、女性客のみでの来場やカップルの来場も増えたためか、写真を撮れるスポットが多くなった。
その他、期間限定ではあったが競馬にまつわるフレームで撮影できるプリクラなんかもあり、競馬場の機能を残しつつテーマパーク化している。
そんな競馬場a.k.a.ギャンブルもできるテーマパークでギャンブルをせず楽しみ、競馬場を後にした。
帰路
結局「帰りがてら名古屋観光をしよう」という目論見はどこへやら。10レースの終わり頃になる15時頃に競馬場を出立した。向かうは出発の地・新潟県。
もう豊明市から高速道路に乗り、名古屋市を颯爽と過ぎて、すぐ岐阜県は瑞浪市に入った。
そこからはもう道なりである。およそ4時間以上をかけて新潟県に戻った。
ちなみになぜわざわざ新潟に戻ったかというと、愛知を楽しんだ余韻に浸りたかったのと、競馬の反省会をしたいがためだったからだ。
はっきり言うと、当たり馬券を紛失したのが堪えたのである。
もう二度とあんな失態はしないと心に誓い、馬券の管理方法を考えた。
もし、これから競馬を楽しみたい、競馬場に行って馬券を買いたいと希望する諸兄がいればお伝えしたい。
「馬券が入る『がま口』や『プラスチックケース』を持っていけ」と。
そして
「そのがま口やケースにお札は絶対入れるな。いつの間にか使っている」と。
あとがき
1日目が観光らしい観光だった分、2日目3日目が競馬オンリーのうっすい内容になりました。
#2、#3は正直私の独白に過ぎません。本当にこれは旅行記なのか、私にもわかりません。
昨年、沖縄や高知で観光地をエンジョイしていた男は何処へやら。いつの間にか一端のギャンブラーとなっているこの変わりようを、娯楽として見ていただければ幸いです。
ただ、また初心に却って観光地紹介の意義を果たす旅行記を書きたいと思います。ご期待ください。
ご清覧ありがとうございました。
(こんなこと言っておいてしれっとまた競馬の記事を書いています)
1日目↓
2日目↓