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アルマゲドンな東宝特撮「妖星ゴラス」_ 人事を尽くし天命を待つ、のみ。

この驚異に対して何もかも一致団結できないまま、ただぼんやりとした不安の中で日が過ぎている、今日この頃。

「何もかも予測できない、未知領域にある。」
という言い分はごもっともだが、まずは「人事を尽くして天命を待つ」べきではないだろうか。

昭和東宝特撮は(もう何遍も、言い尽くされていることだが)「現実には、ほぼあり得ない事態」に科学者・一般市民・政治家が連帯して立ち向かう勇姿を描き出す。
1962年公開の本作のテーマは、ずばり、ディープ・インパクトだ。

人事を尽くす。

1980年代、すでに宇宙開発が本格化していた頃、土星探検のために打ち上げられた宇宙船が、謎の新星「ゴラス」に衝突し遭難。
このゴラスが地球へ接近する:ブラックホールのように、星屑を飲み込んで、ぐんぐん成長している。

地球、消滅。
究極の事態がそう簡単に信憑性を得られるはずもないので、日本国政府の首脳(演:佐々木考丸、小沢栄太郎、河津清三郎)らは事態を先送りしようとするばかり。
ひとり、理系官僚(演:西村晃)だけは事態の緊急度を理解し、河野博士(演:上原謙)、田沢博士(演:池部良)らを招集し、直接、国連に働きかけて「地球ロケット化」プロジェクトを発足する。
重水素ならびに三重水素を利用したロケット推進装置を南極に設置し、100日間で地球を40万キロメートル移動させて軌道を変える作戦だ。

着々とブースターの建設は進み、尺にして二十数分を残して、地球移動作戦は開始、「なんだかわからんが大丈夫なんだろう」と、町は祝賀ムード。あれ?

天命を待つ。

実は重要な問題が残っていた:
例えゴラスの直撃は避けられても、ゴラスの強大な重力に、地球の空気が奪われてしまう「かもしれない」という恐怖。苦悩する田沢博士その他。

幸い、彼ら研究者の不安は、杞憂に終わった。
そのかわり、ゴラスが引き起こした大津波が、地球全土を容赦なく襲うのだが。

全世界問わず、地上の大部分が水没。
それでも日本が、最悪の事態は避けられたと
「我々は勝利した」の大本営発表を繰り返して、映画は終わる。


本作の脚本を書いたのは「マタンゴ」「世界大戦争」「美女と液体人間」「ゴジタ対ヘドラ」といった東宝特撮映画を担当した木村武(馬淵薫)。
労働活動家という出自&筒井康隆との親交 のためか、
本作でも文明への諦観とも言うべきシニカルな視点から物語を展開させ、悲壮感溢れるオチを提供する。
モスラやゴジラといった王道(関沢新一・脚本)とはまた異なる味があることが、観れば、お分かりいただけるだろう。この週末にぜひ。


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ドント・ウォーリー
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