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ありふれた街の悲劇。それが「ポンペイ(2014)」
あらすじはこちら↓
ローマ人に一族を虐殺されたケルト人騎馬族の生き残り、マイロ(キット・ハリントン)は、奴隷となり無敵のグラディエーター(剣闘士)へと成長していた。ある日、マイロはポンペイの有力者の娘、カッシア(エミリー・ブラウニング)の馬を助け、その瞬間二人は身分の差を超えて激しい恋に落ちる。
カッシアはローマからやってきた上院議員コルヴス(キーファー・サザーランド)にポンペイの平和と引き換えに婚姻を迫られていたが、その男はマイロの家族を彼の目の前で殺した男だった。
8月24日、ヴェスヴィオ火山がまさに噴火しようとしていた。果たしてマイロは降り注ぐ火山岩をくぐり抜け、熱雲が街を覆い尽くす前に、自由を手にし、愛する人を救いだすことができるのか―。
ギャガ 公式サイトより引用
世間での評判はあまりよろしくないが、史劇、アクション、パニック、ラブロマンス、あらゆるジャンルをいいとこ取りして、きっちりツボを押さえている佳作だと思う。(悪い言い方すれば「節操なし」)
あらすじは?
物語はローマ人の蛮行:一方的な殺戮から始まる。
少年マイロは、死屍累々の中でじっと息を潜め、首謀者への復讐を誓う。
うん、つかみはバッチリだ。
長じて、マイロは田舎町の闘技場での連戦連勝を買われ、
ポンペイの闘技場への栄転?する。
しかし打ち込まれた剣闘士の宿舎は「監獄」そのもの。
ならず者たちとのステゴロの殴り合いの中で、ポンペイ随一の剣闘士アティカス(演:アドウェール・アキノエ=アグバエ)と「強敵」という名の友情を結ぶ。どうせ明日は殺し合う運命なのだ。
しかし、マイロに、アティカスに、宿敵コルヴスに「死」のきっかけを与えたのは天変地異だった。
後述するブドウ豊作を祝う剣闘会の直後、地面の揺れとともにヴェスヴィオ火山が突如黒煙を噴いたのだ。溶岩が雨のように流れ下り、ポンペイの街を埋めていく。街の外に出る救命艇はごく僅か。浸水するタイタニックの図式。
さあ、あとはスピード感、逃げ惑う無力な群衆、怒涛のような爆発爆音の連発といったスペクタクルへと雪崩れ込むのみ。
そして、コルヴスへの敵討ち、マイロとミッシアの「天国で叶う恋」も又。
かくてボンペイは壊滅する。
後には、厚い溶岩の屍衣の下で保たれた、マイロとミッシアふたりが抱き合う姿だけが残される。
ポンペイの破滅と死後の名声とともに残る純愛。
もちろん、「バイオハザード」の監督とあって、アクションのキレも見事。
中盤の山場となるのが、ボンペイの名産であるブドウ豊作を祝う剣闘会。
この余興として、コルヴスのケルト人反乱鎮圧の演目が催される:
すなわち、金色に輝くローマ兵の扮装をした大人数の剣闘士を相手に、
マイロと、黒色に輝く肉体を持つアティカスは、多勢に無勢の戦いを挑みながらも、勝利を得る。
ここは、キューブリックの「スパルタカス」における
カーク・ダグラス対ウッディ・ストロードの決闘のオマージュだろうか。
そうに違いない。
死屍累々の中、勝利したマイロが執政官に向けて槍を投げつけるのも、
「スパルタカス」において(カークを倒し、しかしトドメを刺せなかった後)ストロードが観客席で踏ん反り返って見物しているローマの将軍ローレンス・オリヴィエに向かって槍を投げるシーンの、オマージュだろう。
要は。
アクションあり、ドラマあり、古典のオマージュあり、とバランス感覚の優れた
ちょっと泣けてちょっと興奮させてちょっとニンマリさせる、年末年始の暇つぶしに優れた史劇ではないでしょうか。
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